テート・モダン<ロンドン〜イギリス>
火力発電所から生まれ変わったロンドンの新名所

(C) BasPhoto - Fotolia.com
ロンドンの上流階級を舞台に野心家の男の成功と転落を描いた『マッチポイント』は、ウディ・アレンがホームグラウンドであるニューヨークを離れ、初めてロンドンでオールロケを敢行した作品です。ロイヤル・オペラハウスやサーチ・ギャラリー、スイス・リ本社(通称ガーキン)など上流社会に足を踏み入れた主人公のクリスが訪れるさまざまなスポットは、そのままポッシュなロンドンを体感できる観光ガイドとしても役立ちますが、中でもクリスがクロエとデートし、またクリスの“運命の女”ノラと再会したテート・モダンは、ロンドン観光には欠かせない人気のスポットです。
テムズ川を挟みセントポール大聖堂と向き合う形で位置するテート・モダンは、ピカソやウォーホルなどの巨匠からダミアン・ハーストや草間弥生など現代を代表するアーティストまで幅広く楽しめる7階建ての現代美術館。もともとは1952年から1981年まで“バンクサイド”という火力発電所でしたが、2000年にコンペを勝ち抜いたスイス人建築家、ヘルツォーク&ド・ムーロンが発電所の重厚な建物はそのまま、ガラス張りの2フロアを増築。上から自然光が降り注ぐ5層吹き抜けの巨大なタービンホールは圧巻の一言です。内部は撮影禁止のため、映画では倉庫を改造したセットが使用されたそうですが、劇中クロエが友人とお目当てのアートを求めて館内を探し回っていたように、実際もその広大さゆえ迷ってしまうほど。アート鑑賞に疲れたあとは1階のカフェや対岸を見渡せる最上階のレストランで一息つくのもオススメです。
2012年には旧オイルタンク部を改築したタンクが一部オープンし、2016年には同じくヘルツォーク&ド・ムーロンによるレンガ造りのタワーが完成予定とまだまだ進化を遂げるテート・モダン。既存の火力発電所のダイナミックさを生かしながら、まったく新しいアート空間へと変えた彼らのアイデアは、コンバージョン建築のよい見本といえるでしょう。
第63回ゴールデングローブ賞4部門、第78回アカデミー賞脚本賞にノミネートした魅惑のサスペンス。イギリスの上流社会を舞台に、愛欲の衝動、情熱、裏切りなど濃厚な人間ドラマが描かれる。本作では、生まれ育ったニューヨークでのドラマにこだわり続けてきた名匠ウディ・アレン監督が初めて舞台をロンドンに移し、撮影を行った。きまぐれな運に翻弄される主人公を演じるのは、『シャドウハンター』のジョナサン・リース・マイヤーズ。彼を誘惑するアメリカ人女性・ノラを『アベンジャーズ』シリーズのスカーレット・ヨハンソンが演じる。
■Storyロンドンに暮らす元プロテニス・プレイヤーのクリス・ウィルトン(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、彼がテニスを教えている大金持ちの息子トム・ヒューイット(マシュー・グッド)と親しくなり、彼の妹であるクロエ(エミリー・モーティマー)と交際をはじめる。そんな中、トムの別荘に招かれたクリスは、トムの婚約者であるアメリカ人女性ノラ(スカーレット・ヨハンソン)と出会い、挑発的な彼女の態度に惹かれてついには関係を持ってしまう。ノラに惹かれつつも、憧れの上流階級への道を選んだクリスはクロエと結婚するが、ある日偶然再会したノラと再び関係を持ち始める。