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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

マッチポイント
  • マッチポイント
  • 『マッチポイント』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売元:アスミック
  • ■販売元:KADOKAWA 角川書店
  • ■価格:¥1,800+税
  • 監督:ウディ・アレン
  • 出演:ジョナサン・リース・マイヤーズ スカーレット・ヨハンソン エミリー・モーティマーマシュー・グッド 他
 
 

(C) JADA PRODUCTIONS 2005

テート・モダン<ロンドン〜イギリス>

火力発電所から生まれ変わったロンドンの新名所


テート・モダン(ロンドン〜イギリス)

(C) BasPhoto - Fotolia.com

ロンドンの上流階級を舞台に野心家の男の成功と転落を描いた『マッチポイント』は、ウディ・アレンがホームグラウンドであるニューヨークを離れ、初めてロンドンでオールロケを敢行した作品です。ロイヤル・オペラハウスやサーチ・ギャラリー、スイス・リ本社(通称ガーキン)など上流社会に足を踏み入れた主人公のクリスが訪れるさまざまなスポットは、そのままポッシュなロンドンを体感できる観光ガイドとしても役立ちますが、中でもクリスがクロエとデートし、またクリスの“運命の女”ノラと再会したテート・モダンは、ロンドン観光には欠かせない人気のスポットです。

テムズ川を挟みセントポール大聖堂と向き合う形で位置するテート・モダンは、ピカソやウォーホルなどの巨匠からダミアン・ハーストや草間弥生など現代を代表するアーティストまで幅広く楽しめる7階建ての現代美術館。もともとは1952年から1981年まで“バンクサイド”という火力発電所でしたが、2000年にコンペを勝ち抜いたスイス人建築家、ヘルツォーク&ド・ムーロンが発電所の重厚な建物はそのまま、ガラス張りの2フロアを増築。上から自然光が降り注ぐ5層吹き抜けの巨大なタービンホールは圧巻の一言です。内部は撮影禁止のため、映画では倉庫を改造したセットが使用されたそうですが、劇中クロエが友人とお目当てのアートを求めて館内を探し回っていたように、実際もその広大さゆえ迷ってしまうほど。アート鑑賞に疲れたあとは1階のカフェや対岸を見渡せる最上階のレストランで一息つくのもオススメです。

2012年には旧オイルタンク部を改築したタンクが一部オープンし、2016年には同じくヘルツォーク&ド・ムーロンによるレンガ造りのタワーが完成予定とまだまだ進化を遂げるテート・モダン。既存の火力発電所のダイナミックさを生かしながら、まったく新しいアート空間へと変えた彼らのアイデアは、コンバージョン建築のよい見本といえるでしょう。

『愛に負けるか。欲に勝つか。それでも人生は、運が決める―』 ■Introduction

第63回ゴールデングローブ賞4部門、第78回アカデミー賞脚本賞にノミネートした魅惑のサスペンス。イギリスの上流社会を舞台に、愛欲の衝動、情熱、裏切りなど濃厚な人間ドラマが描かれる。本作では、生まれ育ったニューヨークでのドラマにこだわり続けてきた名匠ウディ・アレン監督が初めて舞台をロンドンに移し、撮影を行った。きまぐれな運に翻弄される主人公を演じるのは、『シャドウハンター』のジョナサン・リース・マイヤーズ。彼を誘惑するアメリカ人女性・ノラを『アベンジャーズ』シリーズのスカーレット・ヨハンソンが演じる。

■Story

ロンドンに暮らす元プロテニス・プレイヤーのクリス・ウィルトン(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、彼がテニスを教えている大金持ちの息子トム・ヒューイット(マシュー・グッド)と親しくなり、彼の妹であるクロエ(エミリー・モーティマー)と交際をはじめる。そんな中、トムの別荘に招かれたクリスは、トムの婚約者であるアメリカ人女性ノラ(スカーレット・ヨハンソン)と出会い、挑発的な彼女の態度に惹かれてついには関係を持ってしまう。ノラに惹かれつつも、憧れの上流階級への道を選んだクリスはクロエと結婚するが、ある日偶然再会したノラと再び関係を持ち始める。

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映画 ホタルノヒカリ 通常版
  • 映画 ホタルノヒカリ 通常版
  • 『映画 ホタルノヒカリ 通常版』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:バップ
  • ■価格:¥3,500+税
  • 監督:吉野洋
  • 出演:綾瀬はるか/藤木直人/手越祐也/板谷由夏/安田 顕/松雪泰子 他
 
 

(C) 2012「映画 ホタルノヒカリ」製作委員会

内と外、心と心をつなぐ日本の縁側

職場ではデキる女、けれども家に帰るとジャージでゴロゴロダラダラ。恋愛するより家で寝るのが何より好きという「干物女」の恋を描いた綾瀬はるか主演の『ホタルノヒカリ』。テレビシリーズでめでたくゴールインしたホタルとぶちょおですが、映画版では2人のその後が描かれます。

幸せいっぱいのホタルとぶちょおこと高野誠一の愛の巣は、目黒区柿の木坂にある昭和テイスト満載の一軒家。ことの発端はホタルが近所の居酒屋で知り合ったおっちゃんの家(実は高野の実家)に格安で住んでいたところに、職場の上司である高野が出戻ってきたことでしたが、几帳面なぶちょおとだらしない干物女のホタルという対照的な2人の生活は一筋縄でいくわけもなく…。いつも整然としたぶちょおの部屋と寝転がったまま欲しいものすべてに手が届く散らかり放題なホタルの部屋。庭を挟んだ2人の部屋は見事に真逆ですが、そんな2人の部屋をつないでいるのが縁側です。

洋風の家が主流の今、あまり見ることがなくなった縁側ですが、昔はここに腰掛けながらお茶を飲んだり世間話に興じたりと、近所の人々が気軽に立ち寄れる空間でした。家の中でありながらも戸外とゆるやかにつながれる縁側で、心と心を通わせたホタルとぶちょお。2人がビールを片手に語らう場面はこのシリーズ一の名シーンです。

さて、幸せいっぱいの毎日を過ごすホタルとぶちょおは、この映画版で新婚旅行へ出かけます。ローマやチヴィタなどの名所に胸をときめかすかと思いきや、ホタルは「部屋で思いっきりくつろげない、縁側でビールが飲みたい、早く家に帰りた〜い」と家が恋しい様子。2人の新婚旅行の顛末とともに干物女・ホタルのホテルでの過ごし方にも注目です。

『干物花嫁ゴロゴロ〜マ。』 ■Introduction

累計発行部数400万部を誇るひうらさとるの大人気コミックを原作に、二度にわたって実写化され、高視聴率をマークしたドラマ「ホタルノヒカリ」シリーズの劇場版。テレビドラマでゴールインを果たした干物女ことホタルと高野部長のその後が描かれている。主人公ホタルを演じるのは、ドラマ版に引き続き『ひみつのアッコちゃん』の綾瀬はるか。そのほか、『20世紀少年』シリーズの藤木直人、『大奥』の板谷由夏、『黒執事』の安田顕らオリジナルメンバーに加えて、『フラガール』の松雪泰子、『誰かが私にキスをした』の手越祐也などの新メンバーが登場する。

■Story

“干物女”こと雨宮蛍(綾瀬はるか)と“ぶちょお”こと高野部長(藤木直人)はめでたく結婚するも、ホタルは相変わらず自宅の縁側でゴロゴロと寝転がっている。そんな“トド新妻”と化していたホタルが、新婚旅行でイタリア・ローマへ行くことに。ところが、辿り着いたローマでイタリア版干物女・冴木莉央(松雪泰子)とその弟・優(手越祐也)に出会い、かつてない大騒動が巻き起こる。突然消息を絶ってしまったぶちょおを追いかけ、ローマから滅びゆく断崖の街チヴィタへ疾走するホタル。果たして2人は、イタリアで永遠の愛を手に入れることができるのか。

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