長谷寺 (鎌倉〜日本)
鎌倉の景色を一望できるあじさいの名所
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綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず。日本を代表する女優たちのアンサンブルが光る本作は、古都・鎌倉を舞台に3姉妹と腹違いの妹との暮らしを描いた家族の物語です。個性豊かな4人の女性たちの生活と姉妹間の心の揺れを手間を惜しまない食事や四季折々の風景など、是枝監督らしい柔らかな時間の積み重ねで映し出しています。
4姉妹が暮らす味わいのある日本家屋をはじめ、劇中では鎌倉の美しい景色が登場しますが、あじさいの名所として知られるのが4姉妹の家がある江ノ電・極楽寺駅の1つ手前の長谷駅にある長谷寺です。736(天平8)年、徳道上人が十一面観音像を本尊として開山。赤いちょうちんが印象的な山門は昭和に復元されたものですが、その堂々とした門構えは鎌倉でも有数の風格を誇る四脚門として名をはせています。
観音山を上下2つのブロックに分け、諸堂宇を立体的に配置した境内は本堂や仏像、景色など見どころにあふれています。山のすそ野にある回遊式の庭園は、2,500株も植えられたあじさいをはじめ、桜や紅葉など四季折々の花木が植えられており、ライトアップされた光景はまさに「鎌倉の西方極楽浄土」。一方、上の境内には奈良の長谷寺と同じ1本の楠(くすのき)から彫られたという約9メートルの高さを誇る日本最大級の木造仏の十一面観音像が安置される観音堂があり、右手に錫杖(しゃくじょう)を持つ姿は長谷寺特有の形式といわれています。このほか、重要文化財の梵鐘(ぼんしょう)が突かれていた鐘楼や、源頼朝が厄除けのために建立したという阿弥陀堂など、歴史ある諸堂が建ち並びます。傾斜地を利用した「眺望散策路」を通ってたどり着く「見晴台」からは、『海街diary』のワンシーンのような由比ガ浜と鎌倉の街並みが一望できます。
家族を捨てた父が、のこしてくれた家族。
■Introduction
四姉妹が織り成す斬新でリアルな絆を描き、性別、世代を超えて熱狂的な人気を集めるコミック「海街diary」。この作品をどうしても自分の手で、と熱望し映画化に挑んだのは、2013年カンヌ国際映画祭審査員賞をはじめ、数々の賞に輝いた是枝裕和監督。そんな是枝監督のもとに、今を咲き誇る女優たちが集まった。長女に綾瀬はるか、次女に長澤まさみ、三女に夏帆、異母妹の四女に広瀬すず。さらに、大竹しのぶ、堤真一、加瀬亮、風吹ジュン、リリー・フランキー、樹木希林と、日本を代表する豪華俳優陣による贅沢な共演が実現した。海の見える街を舞台にそれぞれの想いを抱えながら、四姉妹が絆を紡いでいく、深く心に響く家族の物語を描いたヒューマンドラマ。
■Story
まぶしい光に包まれた夏の朝、三姉妹に届いた父の訃報。15年前、父は女と出て行き、その後、母も再婚して家を去った。三姉妹を育てた祖母もとうに亡くなり、広くて古い鎌倉の家には、彼女たちだけが残った。両親へのわだかまりを抱えた、しっかり者の長女の幸(綾瀬はるか)、そんな姉と何かとぶつかる次女の佳乃(長澤まさみ)、マイペースな三女の千佳(夏帆)。3人は父の葬儀で、腹違いの妹・すず(広瀬すず)と出会う。幸は「いっしょに暮らさない?」とすずを誘い、4人で新生活を始めることに。しかし、祖母の七回忌に音信不通だった母が現れ、一見穏やかだった四姉妹の日常に、秘められていた心のトゲが見え始める―。

おしゃれでちょっと不思議な夢の世界
ノスタルジックでおしゃれでちょっと毒があってヘンテコで…。ウェス・アンダーソン監督が生み出す世界はどれも独創的で楽しさにあふれていますが、ファッション、インテリア、音楽など細部までこだわった映像も見どころのひとつです。1965年のアメリカの小さな島を舞台に少年少女のひと夏の冒険を描いた『ムーンライズ・キングダム』では、灯台がある赤い家やツリーハウス、テントなど出てくる家も一風変わっていて、絵本の世界に迷い込んだ気分になります。
赤い家が描かれた絵のアップから物語はスタート。その絵の次に映るのは、たくさんのレコードがある2階の居心地のよさそうな部屋、さらにカメラが横にスライドすると現れるのは1階の赤いピアノの部屋、夫妻の部屋、リビング、キッチン、地下の娯楽室…。縦も横もおかしな間取りと、各部屋でむすっとした顔で双眼鏡をのぞいている美少女の姿にワクワク感も高まります。
そんな家の住人である双眼鏡の少女スージーと、ボーイスカウトを脱走した少年サム。母親の不倫や里親との不仲などそれぞれに問題をかかえた12歳の2人はなんと駆け落ちを決行! スージーの両親、警官、ボーイスカウトの隊長たちは全長約26キロの小さな島の捜索を開始しますが、ブルース・ウィリス、エドワード・ノートン、ビル・マーレイなど大物俳優たちがさえない大人を喜々として演じているのもかわいらしいですね。
森の中でテントを張り、本を読み、海で戯れキスをしたりと自然の中で自由を満喫するスージーとサムの逃避行は、やがてボーイスカウトの仲間たちの協力や史上最大の嵐の発生で思いもよらない方向へ向かっていきます。タイトルの『ムーンライズ・キングダム』とは、2人がたどり着く入り江のこと。ただの潮流口を「月が昇る王国」と名付けた2人のように、ピュアでロマンチックな物語をご堪能ください。
12歳、サムとスージーの“駆け落ち”がみんなに魔法をかけました。
■Introduction
『ファンタスティックMr.FOX』など、ユニークなセンスでファンを刺激し続けてきたウェス・アンダーソン監督作品。第85回アカデミー賞脚本賞、第70回ゴールデン・グローブ賞作品賞ノミネートをはじめ、数々の賞レースをにぎわせた本作は、ウェス作品最大のヒット作にして、最高傑作との呼び声も高い。島でたったひとりの警官シャープ役を演じるのはブルース・ウィリス。『ダイ・ハード』などのアクション映画で見せた“強い男”を封印し、独身中年男性の悲哀とおかしさを、絶妙な演技で魅せる。そのほか、エドワード・ノートンやフランシス・マクドーマンドなどが脇を固め、ウェス作品常連のビル・マーレイがスージーの父親役、ジェイソン・シュワルツマンが怪しいボーイスカウトの男役を演じる。さらに、『ダージリン急行』に続いて盟友ロマン・コッポラが共同脚本を手がける。
■Story
1965年、アメリカ北東部のニューイングランド沖に浮かんでいるニューペンザンス島。そこでボーイスカウトのメンバーとしてキャンプに参加していた12歳の少年サムは、ある日テントの中に“辞職願”を残して脱走する。サムがたどり着いた先に待っていたのは同い年の少女スージー。実はこの2人、幼いながらに“駆け落ち”をしたのだ。2人が出会ったのは昨年の夏のこと。地元の教会の催しで劇に出ていたスージーと、それを見に来ていたサムは意気投合し、1年にわたり文通でひそかに駆け落ちの計画を練っていた。落ち合った2人は、手付かずの自然が残る入り江を目指す。一方、2人がいなくなったことに気付いた大人たちは大慌て。ボーイスカウトのウォード隊長(エドワード・ノートン)、シャープ警部(ブルース・ウィリス)、そしてスージーの両親(ビル・マーレイ&フランシス・マクドーマンド)は、2人を追いかける。
