「課題タイトル」からイメージできること

令和7年度の設計製図試験の課題は「シェアハウス(木造)」となりました。
令和4年度の課題「保育所」に続き、木造かつ非住宅の課題となりました。
令和2年度においてもシェアハウスの課題が出題されています(「シェアハウスを併設した高齢者夫婦の住まい」)。
現在の社会情勢を鑑みると、「高齢者向けのシェアハウス」も予想されます。

①シェアハウスについて

「シェアハウス(共同居住型賃貸住宅)」とは、一般に「賃貸物件」に親族でない複数の者が、キッチン・浴室等を共用し、その他の部分を専用する形態を指します。
国土交通省をはじめ、国が進める施策(住宅セーフティネット／空き家活用等)の一つとして、現在も注目を集めています。

【想定される室】
・玄関、ＥＶ　 ・シューズクローク　 ・居間・食事室・台所　 ・多目的室、ホール、コーナー　 ・談話室　 ・交流スペース　 ・遊戯室、トレーニングルーム　 ・シアタールーム、防音室　 ・吹抜け　 ・和室　 ・個室　 ・パソコン室 ( コーナー )　 ・洗濯室　 ・洗面室　 ・脱衣室　 ・浴室　 ・シャワー室　 ・倉庫　 ・納戸　 ・食品庫　 ・バルコニー

【想定される屋外条件】
・屋外テラス　 ・屋外スロープ　 ・駐車スペース　 ・駐輪スペース　 ・既存樹木　 ・菜園　 ・ガーデニング用の庭　 ・植樹

 

②建築基準法等について

「シェアハウス」は、建築基準法上「寄宿舎」となり、特殊建築物の扱いとなります。
特殊建築物のため「防火」や「避難」に関する法令や、第一種低層住居専用地域にも建設可能であることから北側高さ制限等の法令も加味して学習する必要があります。

寄宿舎は第一種低層住居専用地域にも建設可能であるため、北側高さ制限も想定されます。 道路高さ制限は、近年の一級建築士試験では記入が求められているため、注意する必要があります。

容積率・建蔽率については、要求された面積を守って計画を行えば問題ありませんが、平成28年度の試験では法令に対する知識が不十分であったために守っていたつもりでのミスなど、多数の下限値違反(失格)が出ました。

 

③社会情勢を踏まえた知識

令和7年度試験の適用法令に関して、「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第69号)、同法の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(令和6年政令第172号)及び同法の施行に伴う国土交通省関係省令の整備等に関する省令(令和6年国土交通省令第68号)」に基づく法令の規定については、「令和7年4月1日現在において施行されているものを適用するもの」との発表が試験実施機関よりされています。

「ZEH」「LCCM」を初め、住宅の省エネルギー対策に関しては、国土交通省だけでなく、各省(経産省・環境省他)をあげた「国としての取り組み」となっています。

※ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは
外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅。
※国土交通省HPより抜粋

※LCCM(エルシーシーエム)(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅とは
建設時、運用時、廃棄時において出来るだけ省CO2に取り組み、さらに太陽光発電などを利用した再生可能エネルギーの創出により、住宅建設時のCO2排出量も含めライフサイクルを通じてのCO2の収支をマイナスにする住宅。
※国土交通省HPより抜粋

【図：ZEHイメージ図】

※HEMS(Home Energy Management System)とは
エネルギー消費機器をネットワーク化しエネルギー消費機器のオン・オフ、エネルギー使用状況の表示など、住宅におけるエネルギー管理を支援するシステム。

 

令和7年度設計製図試験突破にむけて

当学院では、当年度課題を集中的に対策する製図試験対策コースが7/13・7/16より開講します。
学科試験後からのスタートで確実な製図試験突破をめざすコースとなっており、各図面の作図プロセスを丁寧に指導した上で、当年度課題用途を踏まえ制作された当学院のオリジナル課題に数多く取り組み、時間内に合格図面を完成させる力を確実に養成します。
線1本の引き方からレクチャーし、受講生の作図途中の手元は講師が教室を巡回して確認・都度、アドバイスを実施するため、初学者の方でも安心です。
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