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試験総評

全体総評

 

●出題形式:
令和4年度13問出題された個数問題は、令和5年度は11問、令和4年度8問出題された組合せ問題については、令和5年度は3問となり、個数問題・組合せ問題ともに出題数は減少し、出題形式による難化は多少緩和されました。

 

●出題内容:
最も多い出題数である「賃貸住宅管理業法」の問題は、令和5年度も令和4年度と同様の出題数で、難度の高い問題も散見されました。
その他では、各分野の出題配分が変更されたり、近時の法改正点が数多く出題された点が令和5年度試験は特徴的でした。

 

 

令和5年度の賃貸不動産経営管理士試験は、形式面では、個数問題(※1)及び組合せ問題(※2)の出題数がいずれも減少したため、令和4年度と比べて出題形式による難化は多少緩和されました。ただ、全50問中、前半の30問で個数問題10問と組合せ問題3問が出題されて、問1から順番に解き進めた受験生にとっては「難しい」「解きづらい」印象になったと考えられます。

 

一方、内容面では、令和3年度から試験範囲となり、最多の出題数となっている「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(以下「管理業法」)に関する問題が、令和5年度もほぼ同数で出題され、内容的に難度の高い問題も散見されました。近年の本試験においては、管理業法への対応が合否の鍵を握ることがより鮮明となったと考えられます。
その他では、例年1問は出題されていた「保証」や「保険」が出題されなかったり、5問免除(問46~50)の出題分野が変更されるなど、多少の出題傾向の変化が見られました。
また、宅建業者による人の死の告知に関するガイドラインや令和5年度の民法改正(共有)といった、近時の法改正点も多く出題されており、例年通り新規出題に対する対応力も問われる内容でした。

 

以上から、過去出題項目からの出題を確実に正解した上で、管理業法や新規出題への対応力をどれだけ身につけていたかが重要であったと考えられます。

 

(※1)
個数問題とは、「適切なものは“いくつ”あるか」と問われ、「2 2つ」というように、適切(不適切)な選択肢の数を答える出題形式です。全ての肢を検討しなければならないため、一般的に難度は上がります。

(※2)
組合せ問題とは、「適切なものの“組合せはどれか”」と問われ、「2 イ、ウ」というように、適切(不適切)な選択肢の組合せを答える出題形式です。1つの選択肢だけが分かっても正解には辿り着かない点が特徴です。

各項目の出題状況

<第1編:賃貸住宅管理総論>
令和4年度は共通問題(問1~45)で1問出題されていましたが、令和5年度は5問免除対象で1問(問48)出題されました。国の政策に関して、基本的なコンセプトや理念を確実に押さえておく必要があると考えられます。

 

<第2編:賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(管理業法)>
令和3年度、令和4年度と同様に、非常に多く出題されました。「賃貸住宅管理業者の登録制度」「特定賃貸借契約の適正化のための措置等」ともに満遍なく出題され、内容的にも近時の改正点が盛り込まれる、例年よりも問題文の表現が難しくなっている等、難度の高い問題が散見されました。賃貸不動産経営管理士試験の合格のためには、管理業法の習得・対策が必須であることがより鮮明になったと考えられます。

 

<第3編:管理受託契約>
委任については、問5で1問出題された他、問7で「公序良俗」に関わる総合的な問題が1問出題されました。問7は難問でしたが、問5は確実に正解したい1問であったと言えます。

 

<第4編:賃貸借契約>
令和4年度から1問増加し、6問出題されました。問22で共有に関する令和5年度の民法改正事項が問われた以外では、「定期建物賃貸借契約」「修繕」といった定番の内容が多く出題されており、この分野で得点できたか否かが令和5年度試験では非常に重要だと考えられます。

 

<第5編:金銭の管理>
「賃料」「敷金」「分別管理」から1問ずつ出題された他、問11の正解肢では3年ぶりに「少額訴訟」について出題されました。
一方、例年1問は出題されていた「保証」の出題はありませんでした。会計の知識に関しても問18の「分別管理」の中で一定程度問われた点が特徴的でした。

 

<第6編:賃貸住宅の維持保全>
共通問題としては、令和4年度10問の出題から令和5年度は7問と減少した反面、5問免除対象としては、令和4年度は出題がありませんでしたが、令和5年度は2問出題され、出題傾向の変化が見られました。解きにくい問題も多少ありましたが、過去出題項目からの出題も多くあり、第4編と同様に、この分野で得点できたか否かが令和5年度試験では非常に重要であったと考えられます。

 

<第7編:管理業務の実施に関する事項>
共通問題としては、令和4年度4問の出題から令和5年度は6問と増加した反面、5問免除対象として令和4年度の4問から令和5年度は2問と減少しました。内容的にも、毎年必ず出題されていた「保険」の出題がないなど、出題傾向の変化が見られました。「原状回復ガイドライン」や税金の知識等を中心に、幅広く学習する必要があるという点は、例年通りであったと考えられます。

 

<第8編:賃貸不動産経営管理士>
例年、共通問題として1問、5問免除対象として1問、計2問出題されていますが、令和5年度は共通問題にのみ2問出題されました。過去未出題の内容も出題されましたが、確実に正解したい2問と考えられます。

令和6年度に向けた学習対策

国家資格となって3年目を迎えた令和5年度の試験では、管理業法を重視した問題構成自体に変更はないものの、問題文の表現や切り口を過去の本試験から変化させて難度を高めたり、法改正点等の新規出題に対する対応力を問う問題が増加しています。つまり、知識の量だけでなく、問題対応力の強化を想定して今後の対策を立てる必要があります。

 

過去問学習に加えて、応用力や新規出題に対する対応力を養成するため、様々な形式や内容の問題を繰り返し解くことが今後ますます重要になると考えられます。インプットと過去問の繰り返しだけでなく、良質の問題を数多く解き、知識をプラスすることが有効な対策になると考えられます出題傾向や過去問以外の問題の情報を得にくい独学では、これまでよりも一層合格が困難なものになると考えらえます。

試験対策講座

令和6年度 賃貸不動産経営管理士 Web講座

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令和6年度受験対策 『賃貸不動産経営管理士Web講座』では、本試験突破に向けて、短期間のうちに合格レベルの実力を効率よく身につけることを目的としています。試験を知り尽くした講師陣が、重要ポイントを基礎からわかりやすく解説。繰り返し何度も視聴しながら、理解を深めていくことにより、本試験攻略に必要な実力を身につけることができます。