令和6年度 賃貸不動産経営管理士試験 総評
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試験総評
全体総評
●出題形式:
令和5年度11問出題された個数問題は、令和6年度は7問、令和5年度3問出題された組合せ問題は、令和6年度は2問と、
個数問題・組合せ問題の数は減少しており、出題形式による難化は緩和されました。
●出題内容:
各分野の出題数に若干の変更があり、特に5問免除の出題分野が令和5年度と比べて大きく異なりました。
また、いわゆる“過去問”が減少した反面、過去問の“周辺事項”に関する問題が増加した点が令和6年度の特徴でした。
令和6年度の賃貸不動産経営管理士試験は、形式面では、個数問題(※1)及び組合せ問題(※2)の出題数がいずれも減少したため、 令和5年度と比べて出題形式による難化は緩和されました。 なお、難度に影響はないことですが、例年選択肢以外は「ゴシック体」だった問題文が、令和6年度の試験では、問題番号以外全て「明朝体」に書体が変更されました。
一方、内容面では、令和5年度に比べて「賃貸住宅管理業法」の出題数が1問減少した反面「賃貸住宅の維持保全」の出題数が1問増加したなど、
各分野の出題数に若干の変更があり、特に5問免除の出題分野は大きく変更されました。
また、例年の賃貸不動産経営管理士試験は、過去出題項目(いわゆる“過去問”)だけでは合格点に届かず、
過去出題項目の“周辺事項”や、法改正・未出題項目などの“新規出題”でどれだけ得点できたかが合格の鍵を握っていますが、
令和6年度は特にその傾向が強まり、過去出題項目の“過去問”だけで解ける問題が減少した反面、
過去出題項目の“周辺事項”に関する出題の増加が特徴的でした。そのため、過去問を中心に学習してきた受験生にとっては「難しい」「解きづらい」という印象になったと考えられます。
以上から、令和6年度は特に、過去出題項目の“周辺事項”への対応力をどれだけ身につけていたかが重要でした。
(※1)
個数問題とは、「適切なものは“いくつ”あるか」と問われ、「2 2つ」というように、適切(不適切)な選択肢の数を答える出題形式です。
全ての肢を検討しなければならないため、一般的に難度は上がります。
(※2)
組合せ問題とは、「適切なものの“組合せはどれか”」と問われ、「2 イ、ウ」というように、適切(不適切)な選択肢の組合せを答える出題形式です。
1つの選択肢だけが分かっても正解には辿り着かない点が特徴です。
各項目の出題状況
<第1編:賃貸住宅管理総論>
令和5年度は5問免除対象で1問出題されていましたが、令和6年度は共通問題(問1~45)で1問出題されました(問41)。
令和5年の統計や、空家対策法の法改正の内容といった、近時のトピックスが問われました。問41は個数問題のため、かなりの難問であったと考えられます。
<第2編:賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理業法)>
令和5年度は18問出題されましたが、令和6年度は1問減少して17問が出題されました。もっとも、最大の出題数であることに変わりはなく、
合格のためには、賃貸住宅管理業法の習得・対策が必須であることも近年の傾向として変わりありません。
また、内容的にも、令和5年度から引き続き、近時の改正点が盛り込まれ、問題文の表現が難しくなり、細かい点が問われた、難度が上がった問題が散見されました。
<第3編:契約の基礎知識>
令和5年度と同様に1問出題されました。正解肢の「被保佐人」は初出題の内容でした。
<第4編:管理受託契約>
令和5年度と同様に「委任」から1問出題されました。確実に正解したい1問でした。
<第5編:賃貸借契約>
令和5年度から1問減少し、5問が出題されました。定番の「定期建物賃貸借契約」のほか、令和6年度は「賃借権の譲渡・転貸」が重視され、
この分野で得点できたか否かが、令和6年度は非常に重要であったと考えられます。
<第6編:金銭の管理>
令和5年度から1問増加し、5問が出題されました。「少額訴訟」や「賃料回収」といった民事訴訟・執行系の問題が重視されたほか、令和5年度は出題されなかった「保証」も1問出題されており、
第5編と同様に、この分野で得点できたか否かが、令和6年度は非常に重要であったと考えられます。
<第7編:賃貸住宅の維持保全>
共通問題としては、令和5年度と同様の7問が出題されたほか、5問免除対象のうち3問がこの分野を占めました(令和5年度から1問増加)。
令和6年度は未出題項目からの出題も目立ち、総じて難問が多い印象でした。
<第8編:管理業務の実施に関する事項>
共通問題としては、令和5年度6問の出題から令和6年度は7問と増加した反面、5問免除対象としては、令和5年度の2問から令和6年度は1問と減少しました。
定番の「原状回復ガイドライン」から2問出題された点は、例年通りでしたが、その他は第7編と同様に未出題項目からの出題が目立ち、難問も出題されました。
<第9編:賃貸不動産経営管理士>
令和5年度は共通問題で2問出題されましたが、令和6年度は共通問題として1問、5問免除対象として1問の出題となり、令和4年度の出題配分に戻りました。
内容的には、確実に正解したい2問でした。
令和7年度に向けた学習対策
国家資格となって4年目を迎えた令和6年度の試験では、賃貸住宅管理業法を重視した問題構成自体に変更はないものの、 問題文の表現や切り口を過去の本試験とは異なるものとして難度を高めたり、過去出題項目の周辺事項について、細かい点を問うことで応用力を試したりする問題が増加しました。
これらのことから今後は、知識の量だけでなく、問題対応力の強化を想定して対策を立てる必要があります。この点は令和5年度からの流れであり、
過去問対策は当然として、過去出題項目の周辺事項や新規出題に対しても問題対応力を伸ばすため、
様々な形式や内容の問題を解きこなすことが今後ますます要求されるものと考えられます。
インプットと過去問の繰り返しだけでなく、良質の問題を数多くこなして、知識をプラスしていくことが有効な対策となります。
この点で、出題傾向や過去問以外の問題の情報を得にくい独学では、これまでよりも一層合格が困難なものになるものと考えられます。
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