令和6年度 インテリアコーディネーター
二次試験 総評
令和6年度 インテリアコーディネーター2次試験 総評
全体の出題概要

プレゼンテーションは、集合住宅に住む 60 歳代半ばの男性から、居室とバルコニーのインテリアコーディネートについて依頼されたことを想定した課題でした。
趣味はペーパークラフトの制作・鑑賞で、時々友⼈2〜3⼈と会⾷することもあり、室内が⼀体的で開放的な空間になるようなインテリアが希望です。
作図はインテリア平⾯図1⾯と⽴・断⾯図3⾯で、これまでインテリア⽴・断⾯図は多い時でも2⾯でしたが、令和6年度は3⾯出題された異例の年となりました。
論⽂は、①〜③の空間の照明計画上の注意点について、それぞれ照明の要素から2つ選んで記述することが求められました。
記述にあたっては、どの要素を選んだかが分かるよう明確に⽰す必要があります。また、空間ごとに選ぶ要素については、重複について⾔及がなかったため、選ぶ要素が重なっても問題ないと考えられます。
なお、今回出題された論⽂とプレゼンテーションについて相互の関連性はありませんでした。
関連性がない場合、当学院では論⽂から解答することを推奨しています。
【 論⽂ 】
論⽂のテーマは「照明計画上の注意点について」です。照明をコーディネートする⽬的は、単に照明器具の明るさやデザインを選ぶだけでなく、その空間の⽤途に応じて適切で快適な視環境をつくるために照明の要素を考慮して計画することです。
記述の対象は、①⽞関・廊下・階段、②ダイニング、③寝室が指定されました。それぞれの空間について⽣活シーンを想定し、段落に分けて記述する必要がありました。
また、空間ごとに2つずつ選ぶ照明の要素については、重複することについて⾔及されていなかったため、選ぶ要素が重なっても問題ないと考えられます。
①玄関・廊下・階段は、安全性を重視した明るさや転倒リスクの軽減、来訪者を迎える配灯
②ダイニングは、⾷事を彩りよく美味しく⾒せる光源やダイニングテーブル等のレイアウトの変更に対応できる器具の選定
②寝室は、まぶしさに配慮した配灯や照明⽅式、リラックスできる⾊温度
についての記述が考えられます。
【プレゼンテーション】
計画のポイント
今回の計画は、5400 × 5400 という正⽅形の空間を要求条件にある「趣味コーナーと、D コーナーおよび L コーナーを視覚的に分けるために、適切なユニット式収納家具を配置する。」という内容を適切に読めたかどうかがポイントとなりました。
この条件を読み間違えてしまうと配置計画が⼤きく異なってしまい、平⾯図だけではなく、⽴・断⾯図3⾯全てに影響がでてしまいます。図⾯に記述するものも多く、また⽴・断⾯図が3⾯になったため、論⽂も含め 180 分で完成させるのはかなり厳しい試験だったと考えられます。
⽴・断⾯図については、苦⼿意識のある⽅が多いと推察されますが、過去問題で課題⽂の読み⽅や配置計画、作図を繰り返し練習し、⽇頃から対策をしておく必要があると考えられます。
ユニット式収納家具は、種類や仕様の指定はありましたが、設置する個数や前⾯形状の種類を組合せるのか、単体で計画するのか等細かい指定はありませんでした。どのように組合せるのか、いくつ設置すればよいのかという点について、インテリアコーディネータ―として依頼主の使い勝⼿を考慮した提案⼒が求められました。
出題とポイントは、下記の通りとなります。
① 居室について
- ゾーニングとして、Dコーナーと L コーナーを⻄側に、趣味コーナーは東側に計画し、 その間にユニット式収納家具を配置する計画が考えられます。
- ユニット式収納家具は「壁置き、⾃⽴置きも可」、仕様は「塗装仕上げ(背板含む)」とあるので、壁⾯設置だけではなく、仕切り収納としても考えられます。また、ユニット式収納家具は⾼さが H900 と H1200 の 2 種類ありますが、趣味コーナーとD・Lコーナーを視覚的に分けるように配置する必要があるため、H1200 のユニット式収納家具を配置するのが望ましいと考えられます。
② Dコーナーについて
- 椅⼦については、スタッキングチェアを置くスペースを確保する必要があります。
- ユニット式収納家具を「配膳台としても使える」ように配置する必要がありました。問題⽤紙の図表 -1 現況平⾯図の「キッチン開⼝部の腰壁⾼さFL+ 1100」を読み落とさなければ、H 900 のユニット式収納家具を配置することができたと考えられます。
③ Lコーナーについて
- 2⼈掛けソファの張地は⾊がオレンジ系と指定されているため、着彩する際に⾒落とさないように注意が必要です。
- 壁掛けTVは⻄側壁⾯に設け、正⾯にソファを設置することが適当であると考えられます。
④ 趣味コーナーについて
- 北側壁⾯に設置する造作の棚(扉付き棚、オープン棚、ガラス扉付き棚を組み合わせる)は、解答欄3(切断位置 B)で⽴⾯図、解答欄4(切断位置C)で断⾯図を描く必要があるため、計画段階でスケッチを描いておくとスムーズに作図ができたと考えられます。
- 趣味のための作業テーブルが、W1200 × D1200 と⼤きいため配置に迷った⽅もいたと推察されます。また、「南側」に配置を、「南側壁⾯」と読み間違えるとバルコニーへの動線を塞ぐ配置になってしまうため注意が必要でした。
⑤ バルコニーについて
- 折り畳み式の椅⼦やティーテーブル、デッキチェアは様々に組合せて使⽤することができます。例えば、普段は依頼主がデッキチェアの脇にティーテーブルを置いてくつろいだり、折り畳み式の椅⼦は、時々訪れる友⼈との会⾷時にティーテーブルを移動させて使うなど様々な使い⽅ができます。また、⼤きめの鉢植えが2個あるため、動線の邪魔にならないような配置にする必要があります。
⑥ その他のインテリア計画について
- 絵画については、「東側壁⾯」、「⻄側壁⾯」それぞれに配置する必要がありますので、⾒落とさないように注意が必要です。
- 観葉植物は、Lコーナーと趣味コーナーに⼤きめのものを⼀鉢ずつそれぞれに置く必要があります。サイズは⼤きめなので、1200 〜 2000 ㎜程度の⾼さのものを想定して配置することが望ましいと考えられます。
- 南側の開⼝部は、家具とのカラーコーディネートと出⼊りについて考慮した提案をする必要があります。カラーコーディネートについては、ソファの張地に⾊指定があるためその⾊との配⾊を考えて着彩する必要があります。また、出⼊りを考慮すると、上下操作するものより左右に開閉するカーテンやバーチカルブラインドを提案するのが望ましいと考えられます 。
作図のポイント
① インテリア平⾯図
- 「コーナー名」、「ユニット式収納家具の⾼さ⼨法と前⾯形状の種類」、「主要な家具の名称と⼨法」、「床の⽬地と仕上げ材」など記⼊するものが多い課題でした。⼨法については、主要な家具の⼨法は全て、ユニット式収納家具は⾼さのみと設問にあります。全てを記⼊しても減点になるとは考えにくいですが、今回は表現するものが多かったため、できるだけ余計なものに時間を掛けないようにする必要があると考えられます。
- ユニット式収納家具は、⾃分で前⾯形状の種類を選択し、平⾯図にもその種類を記⼊する必要がありました。
- 「床の⽬地」はこれまで「表現する」程度は要求されましたが、今回は「省略せずに表現する」となったため、カットラインなどを⽤いて省略した表現は減点となる可能性が⾼くなると推測されます。
- 床⽬地は、居室のフローリングの⽬地(幅 150)を南北⽅向に引いてその幅を活⽤すれば、バルコニーの 300 ⾓のテラコッタ調タイルを効率良く描くことができると考えられます。
- 床はフローリングのライトオーク、ソファの張地はオレンジ系、バルコニーはテラコッタ調タイルと指定されています。その他についても指定されたものにあわせて着彩する必要があります。
② インテリア⽴・断⾯図(3⾯)
- 各切断位置は解答⽤紙の平⾯図には⼊っておらず、問題⽤紙の平⾯図(1:100)で位置を測って確認する必要がありました。
- 解答⽤紙には同じ幅のグリッドが3つ並んでいるため、作図⽅向を間違えないように切断⽅向の向き、解答⽤紙の⽅位をしっかり確認して作図に取り組むことが⼤切です。描く⽅向を間違えると⼤幅な減点、あるいは不合格になる可能性が⾼くなると考えられます。
- 解答⽤紙の解答欄2のグリッドには南⾯の開⼝部、解答欄3のグリッドには北側のキッチン開⼝部の腰壁や開⼝部⾼さなどが⼊っていないため、図表 - 1の現況平⾯図で位置やサイズを測る必要がありました。ただし、解答欄2の南側⽴・断⾯図の開⼝部については、ウインドートリートメントをカーテンとシアーカーテンの組合せにすればシアーカーテンで隠すことができるため表現する必要はありませんでした。
- 着彩は平⾯図だけでなく、解答欄2の南側⽴・断⾯図にも施す必要がありました。2掛けソファの張地の⾊が「オレンジ系」、壁⾯と天井の仕上げ(ビニルクロス)はアイボリー⾊と指定されていますが、ウインドートリートメントやユニット式収納家具などの配⾊にも影響があるため⾒落とさないように注意が必要でした。
- 収納家具の断⾯は内部構成を適切に表現する必要がありますが、切断位置に引出しを計画してしまうと描き慣れていない場合、時間が掛かってしまうので、計画段階でスケッチを描いて検討しておく必要があります。
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