令和7年度 1級建築施工管理技術検定
第二次検定 総評

• ・問題１の設問１．経験記述(受検者の経験に基づく解答を求める設問)は、令和6年度(昨年度)より｢試験問題の見直し｣が行われ、設問に工事概要が示されることになり、昨年度と同様に非常に多くの項目や内容が一覧表で出題されました。
• ・経験記述(設問１．)の設問に示された工事概要は、主要構造が鉄骨構造の事務所ビルでした(令和6年度は主要構造が鉄筋コンクリート構造の共同住宅)。
  また、出題内容(テーマ)は、品質管理(品質管理上特に重点を置くべきと考える項目)でした。
• ・問題３のネットワーク工程表に関する出題では、建築工事(躯体工事)の他に設備工事の工程が示され、双方の関係が問われました。
• 全体的な難度は、例年並またはやや高めであったと考えられます。令和7年度は、特に問題１で得点を伸ばせたかが重要であったものと考えられます。

近年では、｢合理化｣または｢品質管理｣をテーマにした経験記述が毎年交互に出題されています。令和7年度の設問１は『品質管理上特に重点を置くべきと考える項目』という｢品質管理｣に関する出題でした。設問１の出題内容は、過去に出題された内容と類似していましたが、｢試験問題の見直し｣が行われ、設問に示された工事概要に対して解答する設問に変わったと共に、示された工事概要の主要構造は鉄骨構造であったため、解答に戸惑った受検者も多かったと考えられます。

 

また、設問２では過去にも出題がある『組織的な品質管理活動』が出題されました。問題１の難度は例年並またはやや低めの出題であったと考えられます。

近年の一般記述は｢仮設物の設置計画｣｢設備・機械を安全に使用するための留意事項｣｢災害の発生するおそれのある状況と防止対策｣が出題されていますが、今回は｢仮設物の設置計画｣が出題されました。設問３では、枠組足場を用いた棚足場が初めて出題されました。

 

また、令和7年度の出題は、『検討事項』の他に『理由』が初めて出題(過去の出題は『留意事項』)され、解答に戸惑った受検者もいたと推察されますが、出題内容の難度は例年並または、やや低めの出題であったと考えられます。

施工管理法(工程表の読取り)については、平成29年以降ネットワーク工程表が出題され、｢躯体工事に関する工程表｣または｢内装(仕上げ)工事に関する工程表｣が毎年交互に出題されています。

 

令和7年度は、事務所ビルの躯体工事に関する工程表でしたが、建築工事(躯体工事)の他に『設備工事についても施工条件』が示されました。特に施工条件を見落とした･勘違いした受検者も多かったものと考えられ、令和6年度の出題と比較すると難度はやや高めの出題であったと考えられます。

問題４は、｢躯体工事｣(令和6年は｢仕上げ工事｣)に関する施工上の留意事項が出題され、解答形式は、昨年同様に完全記述式で、４つの設問に対し各２つずつ記述するというものでした。

 

出題内容は、４問中３問が過去に同様の出題がありました。残りの1問の初めて出題された設問は、『鉄筋コンクリート構造建物の解体(外周部転倒工法)』でしたが、第一次検定(学科試験)の過去の出題内容を理解していれば解答できた内容であり、難度は例年並またはやや低めの出題であったと考えられます。

問題５は、｢仕上げ工事｣(令和6年度は｢躯体工事｣)に関する施工上の留意事項が出題され、解答形式は、昨年同様に五肢択一の選択式で、３つ(穴埋め部分)の正しい組合せを選択する設問が８つ出題されました。

 

３つ(穴埋め部分)を全て正しく理解していないと正解にならない問題形式ですが、３つの内１つが初めて出題された設問が目立ち、難度はやや高めの出題であったと考えられます。

「建設業法」「建築基準法」「労働安全衛生法」の３つの法律から各２箇所の条文の穴埋め問題(語群から選択して解答)が出題されました。建設業法は、初めて出題された条文でした。

 

また、建築基準法および労働安全衛生法の設問は過去に同じ条文の出題はあったものの、穴埋め箇所の多くは過去に出題されておらず、難度は高かったものと考えらます。