令和7年度 設備設計1級建築士講習 修了考査 総評
- TOP
- 講座一覧
- 設備設計1級建築士
- 設備設計1級建築士インフォメーション
- 令和7年度 設備設計1級建築士講習 修了考査 総評
総評
全体概要
法適合確認は、法改正に伴う問題が、電気設備で2問、輸送設備で1問出題され、過去問題の知識だけでは対応できない内容でした。その他にも、空調・換気設備と電気設備では、初出題の問題が各1問出題され、全体として例年よりもやや難度が高かったと考えられます。設計製図は、【必須問題】・【選択問題】ともに例年とほぼ同様の出題内容でしたが、本番を想定した手描きのトレーニングを繰り返し行い、各設備や方式を正しく理解し、状況に応じて対応できる力がなければ、4時間以内に解答を仕上げるのは難しかったと考えられます。
「法適合確認」について
出題構成
空調・換気設備、給排水衛生設備、電気設備、輸送設備:各5問、計20問
特徴的な出題
【問3】機械換気設備(計算問題)
機械換気設備の問題は、これまで文章四択問題で出題されていましたが、今回は、表から必要な条件を選択し、「必要有効換気量」を算出するという新しい形式でした。「人口密度」や「天井高さ」など、従来にはなかった条件で、かつ算定に不要なものも含まれていたため、理解が不十分だと正答が難しい問題でした。
【問12】雷保護設備(図解問題)
今年、法改正のあった避雷設備の問題が出題されました。改正内容の理解に加え、設問に示された平面図・立面図を正確に読み取り、メッシュ法・回転球体法・保護角法及び引下げ導線についても確認しながら、自ら解答を導く力が求められました。
【問14】防災電源と耐熱配線(図解問題)
従来の簡易的な回路構成図ではなく、複雑な単線結線図から 耐熱配線の種類を判断する問題でした。また、「直流電源装置」や「HIV(二種ビニル絶縁電線)」などの新しいキーワードが出題され、正確な知識が求められる難度の高い内容でした。
【問15】防災設備融合(文章四択問題)
選択枝Bで「高層建築物への受雷部配置」が初めて出題されました。旧JISには記載のない高層建築物の受雷部領域に関する問題であり、設問中に示された構造体の条件などに惑わされずに「不適切な理由」を探し出すのが難しい内容でした。
【問18】エスカレーター(図解問題)
この問題も法改正に伴う新規出題でした。近年のエスカレーター事故の再発防止を目的として、周辺部の安全対策が強化されたことを背景に、大幅な法改正が行われています。細部の隙間寸法などの規定を正確に理解していないと解けない問題でした。
「設計製図」について
出題構成
必須問題10問、選択問題各3問(空調・換気、給排水衛生、電気から1つ選択)
課題条件『設計課題:市街地に建つ本社事務所』
延床面積・階数 : 6,950㎡・地上6階、塔屋1階
空調熱源機 : ガス直だき吸収冷温水機2台
空調方式 : 空調機(インテリア・ペリメーターゾーン分け)、FCU(4管式)+外調機の併用(2管式)
給水方式 : 高置水槽方式(上水・雑用水系統の2系統、供給立て系統は便所系統と給湯室系統の2系統)
排水方式 : 汚水・雑排水・雨水を分ける分流式
受電方式 : 本線・予備線2回線受電方式
必須問題
【特徴的な出題】
必須問題の問1では、例年と同様の「建築物全体の空気調和設備の計画」に関する問題でしたが、「快適な室内環境の創造に配慮した要点」と「CO₂排出量削減に配慮した要点」という条件が初めて出題されました。
必須問題の問3「空調冷熱源設備容量及び空調温熱源設備容量」では、配管損失及び装置負荷係数、経年係数、能力補償係数が具体的に明示されました。
選択問題
【特徴的な出題】
空調・換気設備の計算問題では、コイル能力の算定において経年係数の条件が付加されました。給排水衛生設備の計算問題では、雨水貯留槽の有効容量に関する問題が平成30年度以降で初めて出題されました。電気設備の照度計算では、計算照度の上限値の指定や小数点以下の記入条件が付加されました。いずれの設備でも問題文を丁寧に読み、条件に沿って解答する必要がありました。