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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

ザ・インタープリター
  • ザ・インタープリター
  • 『ザ・インタープリター』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
  • ■価格:¥1,429+税
  • 監督:シドニー・ポラック
  • 出演:ニコール・キッドマン ショーン・ペン キャサリン・キーナー
    イェスパー・クリステンセン 他
 

Film (C) 2005 Motion Picture JOTA Produktiongesellschaft mbH & Co. KG. and Universal Studios. All Rights Reserved.

※2016年9月現在の情報です

国際連合本部(ニューヨーク〜アメリカ)

コルビュジェ×ニーマイヤー。巨匠たちが生み出すモダニズム建築


パワーズコート(アイルランド)

(C)corbis_infinite

ニコール・キッドマン&ショーン・ペン主演の『ザ・インタープリター』は、一国の大統領暗殺計画を偶然耳にしたことから命を狙われる女性通訳と、彼女に疑いを抱きながらもその身を守る捜査官の姿を描いたポリティカル・サスペンスです。監督のシドニー・ポラックが、アナン事務総長(当時)に掛け合い、初めて国連本部での撮影が許可された作品だけあって、誰もいない夜の総会議場や通訳室、要人の部屋など、普段見られない数々の場所が作品にリアルな表情を与えています。

安全保障と経済・社会の発展を目的に、第二次大戦後の1945年に発足した国際連合(国連)。その本部はニューヨークの1番街、イーストリバー沿いにあります。アメリカ人建築家ウォレス・ハリソン率いる11人の建築家が関わった国連本部は、ドームを冠した総会議場ビル、川に面した長方形の理事会議場ビル、39階建ての事務局ビル、ダグ・ハマーショルド図書館の4つのビルから構成されており、流れるような流線型の総会議場ビルとシャープなガラスの事務局ビルによる対比は、ル・コルビュジェとオスカー・ニーマイヤーというぜいたくなタッグが生み出した、ニューヨークを代表するモダニズム建築です。

193の加盟国の代表団および関係者約1,800名以上を収容できる総会議場は国連の中心機関。ニコール・キッドマン扮(ふん)するシルヴィアが働く通訳ブースは、国連紋章が掲げられた議場を見下ろすように配置されています。会議では通訳たちが常時英語・フランス語・ロシア語・中国語・スペイン語・アラビア語による同時通訳を行っており、見学ツアーではこの総会場を間近で見ることができます。アメリカでありながら加盟国の国際領土である国連本部。訪れたら地下にある国連郵便局から手紙を送ってみてはいかがでしょうか。

過去を失った国連通訳 妻を失ったシークレット・サービス
「哀しみは、これで終わりにしたかった」

■Introduction

国連を舞台に、大統領暗殺計画をめぐって何者かに命を狙われることになった国連通訳の女性と、彼女に疑いの目を向けながらもその身を守るために行動する捜査官の姿をスリリングに描くポリティカル・サスペンス。主演は『めぐりあう時間たち』でアカデミー賞主演女優賞に輝いたニコール・キッドマンと、『ミスティック・リバー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したショーン・ペン。監督は『愛と哀しみの果て』でアカデミー賞監督賞を受賞しているシドニー・ポラックが務めるなど、最強の布陣で製作。国連内部でロケを敢行し、細部までリアリティにこだわった作りとなっている。

■Story

アフリカのマトボ共和国では、独裁的な大統領ズワーニが国を治める中、民主化を目指す多くの活動家の命が無残に奪われていた。マトボに生まれたシルヴィア・ブルーム(ニコール・キッドマン)は、現地のクー語の通訳として5年前からニューヨークの国連本部で働いていた。ある日、シルヴィアはズワーニ暗殺計画にまつわる会話を偶然耳にしてしまう。すぐさま当局に通報したシルヴィアだったが、それ以来、彼女の身辺では不穏な動きが付きまとうようになる。彼女を守るため、トビン・ケラー(ショーン・ペン)や女性捜査官ウッズらシークレット・サービスのメンバーが送り込まれたが、ケラーはシルヴィアが何かを隠しているような直感を抱き、彼女への疑念を強めていく。

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グッバイ、レーニン!
  • グッバイ、レーニン!
  • 『グッバイ、レーニン!』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売元:ギャガ
  • ■販売元:東映・東映ビデオ
  • ■価格:¥2,800円+税
  • 監督・共同脚本:ヴォルフガング・ベッカー
  • 脚本:ベルント・リヒテンベルク
  • 出演:ダニエル・ブリュール カトリーン・ザース 
    チュルパン・ハマートヴァ マリア・シモン 
    フロリアン・ルーカス アレクサンダー・ベイヤー 他
 

(C)X Filme creative pool GmbH

失われた国、東ドイツの市民の暮らしとは?

東西ドイツ分裂の象徴である「ベルリンの壁」が崩壊したのは、今から27年前のこと。最近ドイツ国内では、オスタルジー(ノスタルジーとドイツ語で東を意味する“オスト”を組み合わせた造語)が広がり、ベルリンにある東ドイツの暮らしをテーマにしたDDR博物館もにぎわいを見せています。ベルリンの壁崩壊という歴史的な出来事の渦中にいた家族の姿をユーモアたっぷりに描いた『グッバイ・レーニン!』は、まさにそんな東ドイツのリアルな暮らしが垣間見られる作品です。

祖国に忠誠を誓っている母が心臓発作で昏睡状態の間に、ベルリンの壁が崩壊。東ドイツは社会主義から資本主義へ、まるで灰色のキャンバスに鮮やかなペンキをぶちまけたように、急激にその色を変えていきます。そんな情勢を何も知らないまま8カ月が過ぎた後に目覚めた母ですが、“再びショックを与えると命取りになる”という彼女のために、息子のアレックスは東ドイツの「過去」を「現在」にすることを決意します。レトロな花柄の壁紙、ミッド・センチュリー風の家具、プラスチックのキッチン用品、東ドイツ製の車トラバントなど、日本でいう昭和のようなどこか懐かしさを感じさせる東ドイツ時代の暮らし。しかしそれを維持するのもなかなかに至難の業で、アレックスは母の好物のピクルスを手に入れるためにゴミ箱をあさり、生活用品はのみの市で物色、さらには映画監督志望の同僚に頼んで東ドイツのニュース番組まで製作。その涙ぐましい努力もどこかとんちんかんで笑えてしまうのです。

しかしアレックスの必死な努力もだんだんと行き詰まりを見せていきます。果たして母は、アレックスのうそに気付いていたのでしょうか? その答えを物語るような母の優しいまなざしと、孝行息子の思いに心が温かくなります。

ベルリンの壁は崩壊した。 だけど僕は母を守る壁を作ろうとした。 ■Introduction

激動の時代、その変化に翻弄される東ベルリンの家族の姿を温かくつづったファミリードラマ。ベルリンの壁が崩壊した時に昏睡中だった母親が、東西ドイツ統一直後、意識を取り戻すが、母にショックを与えないため、東ドイツが消滅していないように奮闘する息子をユーモラスに描く。ドイツでは公開当時、歴代の興行成績を塗り替える大ヒットを記録し、各国の映画祭でも絶賛され、数々の賞に輝いた。誠実さがコミカルな展開をもたらす主人公のアレックスを演じたダニエル・ブリュールは本作品で一躍注目を集め、その後ドイツ本国のみならずヨーロッパ各国の作品やハリウッド映画でも活躍。人気と実力を兼ね備える俳優として、その存在感を示した記念碑的な作品でもある。

■Story

テレビ修理店に勤めるアレックス(ダニエル・ブリュール)。彼の父は、10年前に家族を捨てて西ドイツに亡命してしまった。以降、母クリスティアーネ(カトリーン・ザース)は、その反動からますます東ドイツへの愛国心を強めていった。そんなある日、反社会主義デモに参加し、警察と衝突しているアレックスを目撃したクリスティアーネはショックで心臓発作を起こし、昏睡状態に陥ってしまう。その間にベルリンの壁が崩壊。そして8カ月後、クリスティアーネは奇跡的に目覚めるが、医師は「今度強いショックを与えたら、命取りになる」とアレックスに宣告。アレックスは母親を守るため、東ドイツの崩壊を隠そうと決意する。

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