クラブ・エス ウェブマガジン

アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

キャスト・アウェイ
  • キャスト・アウェイ
  • 『キャスト・アウェイ』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
  • ■価格:¥1,429+税
  • 監督:ロバート・ゼメキス
  • 出演:トム・ハンクス
    ヘレン・ハント ニック・サーシー
    ジェニファー・ルイス ピーター・フォン・バーグ 他
 

TM & (C) 2000 DreamWorks LLC and Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.TM & (C) 2012 DW Studios L.L.C.. All Rights Reserved. ※2018年6月の情報です。

聖ワシリイ大聖堂(ロシア〜モスクワ)

ロシアが誇る美しき聖堂


聖ワシリイ大聖堂(ロシア〜モスクワ)

(C)bunyos

宅配便の輸送中に飛行機が墜落し、独り無人島に流れ着いた男のサバイバルを描いた、トム・ハンクス主演の『キャスト・アウェイ』。映画のほぼ半分以上が一人芝居という状況ながらもトム・ハンクスがさすがの演技力で物語を引っ張っていきます。映画冒頭、「時間通りに物事を進めるのが難しい」という文化のロシアで、常に効率を優先させる仕事人間の主人公が社員たちを叱咤(しった)激励していた場所がモスクワの「赤の広場」です。

ロシア古語で「美しい」という意味を持つ赤の広場は、旧ロシア帝国の宮殿、クレムリンと並び世界遺産に登録されている場所。レーニン廟(びょう)、国立歴史博物館、グム百貨店、カザンの聖母聖堂が集まるこの広場でひときわ目を引くのが、カラフルなクーポラを持つ聖ワシリイ大聖堂です。雷帝ことイヴァン4世が、「生神女庇護(しょうしんじょひご)」の日にカザン・ハーン国を征服したことを記念し、1555年から1560年にかけて建立されたビザンチン様式のロシア正教会は、有名なゲーム「テトリス」の背景画としてもおなじみです。

それぞれ高さが異なる8つの小聖堂が主聖堂を囲む形で形成されている聖ワシリイ大聖堂の内部は、多彩なイコンや華やかな装飾が施されており、迷路のような建物を進むごとに現れる繊細な壁画を眺めていると、あっという間に時が過ぎることでしょう。聖堂のシンボルであるクーポラが従来の半球型ではなくタマネギ型なのは、効率的に雪が落ちるように意図されたものですが、神様が天上に昇っていく様をろうそくの炎で表したともいわれています。「これよりも美しい聖堂が建てられないように」と、イヴァン4世は設計者のポスニク・ヤーコブレフの目をつぶした―。そんな逸話が物語る通り、聖ワシリイ大聖堂の美しい姿は建立から450年余りの時を経てもなお、人々を魅了してやみません。

世界の果てで 彼の旅が始まった…

■Introduction

『フォレスト・ガンプ/一期一会』でアカデミー賞を受賞したトム・ハンクスとロバート・ゼメキス監督が再びタッグを組んだヒューマンドラマ。飛行機事故で無人島に取り残された男の孤独な戦いの姿を描く。主人公の「フェデックス」社員チャックを演じたトム・ハンクスが、体重を25kg減量し、熱演を見せる。

■Story

“世界宅配便”「フェデックス」の敏腕システム・エンジニアであるチャック(トム・ハンクス)は世界中を駆け回り、システム上の問題解決に明け暮れていた。ある日、彼の乗った飛行機が事故を起こし、無人島に漂流してしまう。過酷な環境の中、4年が経過。ついに彼は無人島を脱出し、文明社会の現実へ戻る。だが、そこで彼を待っていたのは、さらなる厳しいもう一つの試練だった―。

ページトップ

彼女がその名を知らない鳥たち
  • 彼女がその名を知らない鳥たち
  • 『彼女がその名を知らない鳥たち 特別版』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売元:クロックワークス
  • ■販売元:松竹
  • ■価格:¥5,800+税
  • 監督:白石和彌
  • 出演:蒼井 優 阿部サダヲ 松坂桃李 竹野内豊 他
 

(C) 2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会

本能のままに生きる男女の成れの果て

読んだ後に「イヤな気分になるミステリー」、略して“イヤミス”小説の代表格の1人、沼田まほかる原作の作品。身勝手な女と、その女に執着する男のゆがんだ愛を描いた本作は、「共感度0%、不快度100%」というキャッチコピーが物語るように、登場人物は皆、最低な人間ばかり。嫌な女、下劣な男、ゲスな男、クズすぎる男を、蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李、竹野内豊らがそれぞれ演じています。

15歳年上の陣治を心底、軽蔑しながらも、働きもせず彼に依存する女・十和子。そんな十和子に異常なほどの執着を見せる不潔で下品な男・陣治。2人が暮らしているのは2LDKの古いマンションで、洗濯物やDVD、食べ散らかしたお菓子などでいつも散らかっている部屋は、彼らの混沌(こんとん)とした心をそのまま表しているようです。寝室を分けている2人の共用場所はリビング。そこで十和子は何をするでもなく、昔の恋人・黒崎に思いをはせ、陣治は仕事帰りの汚れた顔と作業着姿のまま、十和子のためにせっせと料理を作っています。しかしそんな毎日は、水島という1人の男の出現により思いも寄らない方向へと変化していくのです。

出世欲、性欲、独占欲、征服欲、自己顕示欲…。十和子と陣治、不誠実で薄っぺらい不倫相手の水島、身勝手なかつての恋人・黒崎。彼らの一方的な欲のぶつかり合いは嫌悪感すら抱かせますが、ラストには意外な事実が判明。全編に漂う“どす黒さ”がひっくり返る瞬間を、ぜひお確かめください。

あなたはこれを愛と呼べるか
■Introduction

沼田まほかるの同名小説を、『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』など、クライムムービーで高い評価を得た白石和彌監督が映画化。恋愛に依存せずには生きられない主人公の女・十和子を演じ、本作で日本アカデミー賞主演女優賞を獲得したのは蒼井優。相手役の下劣な男・陣治を阿部サダヲが演じ、蒼井優との初共演を果たした。さらに“ゲスな男”を松坂桃李が、“クズすぎる男”を竹野内豊が演じる。

■Story

15歳年上の陣治(阿部サダヲ)と暮らしながらも、8年前に別れた男・黒崎(竹野内豊)のことが忘れられずにいる女・十和子(蒼井優)。不潔で下品な陣治に嫌悪感を抱きながらも、彼の少ない稼ぎに頼って、働きもせずに怠惰な毎日を過ごしていた。ある日、十和子はどこか黒崎の面影がある妻子持ちの男・水島(松坂桃李)と出会い、不倫の情事に溺れるようになる。そんな中、黒崎が行方不明であることを知った十和子。「十和子のためなら何でもできる」と言い続ける陣治が自分を尾行していることを知り、黒崎の失踪に陣治が関与していると疑う十和子は、水島にも危険が及ぶのではないかとおびえ始める―。

ページトップ