聖ワシリイ大聖堂(ロシア〜モスクワ)
ロシアが誇る美しき聖堂

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宅配便の輸送中に飛行機が墜落し、独り無人島に流れ着いた男のサバイバルを描いた、トム・ハンクス主演の『キャスト・アウェイ』。映画のほぼ半分以上が一人芝居という状況ながらもトム・ハンクスがさすがの演技力で物語を引っ張っていきます。映画冒頭、「時間通りに物事を進めるのが難しい」という文化のロシアで、常に効率を優先させる仕事人間の主人公が社員たちを叱咤(しった)激励していた場所がモスクワの「赤の広場」です。
ロシア古語で「美しい」という意味を持つ赤の広場は、旧ロシア帝国の宮殿、クレムリンと並び世界遺産に登録されている場所。レーニン廟(びょう)、国立歴史博物館、グム百貨店、カザンの聖母聖堂が集まるこの広場でひときわ目を引くのが、カラフルなクーポラを持つ聖ワシリイ大聖堂です。雷帝ことイヴァン4世が、「生神女庇護(しょうしんじょひご)」の日にカザン・ハーン国を征服したことを記念し、1555年から1560年にかけて建立されたビザンチン様式のロシア正教会は、有名なゲーム「テトリス」の背景画としてもおなじみです。
それぞれ高さが異なる8つの小聖堂が主聖堂を囲む形で形成されている聖ワシリイ大聖堂の内部は、多彩なイコンや華やかな装飾が施されており、迷路のような建物を進むごとに現れる繊細な壁画を眺めていると、あっという間に時が過ぎることでしょう。聖堂のシンボルであるクーポラが従来の半球型ではなくタマネギ型なのは、効率的に雪が落ちるように意図されたものですが、神様が天上に昇っていく様をろうそくの炎で表したともいわれています。「これよりも美しい聖堂が建てられないように」と、イヴァン4世は設計者のポスニク・ヤーコブレフの目をつぶした―。そんな逸話が物語る通り、聖ワシリイ大聖堂の美しい姿は建立から450年余りの時を経てもなお、人々を魅了してやみません。
世界の果てで 彼の旅が始まった…
■Introduction『フォレスト・ガンプ/一期一会』でアカデミー賞を受賞したトム・ハンクスとロバート・ゼメキス監督が再びタッグを組んだヒューマンドラマ。飛行機事故で無人島に取り残された男の孤独な戦いの姿を描く。主人公の「フェデックス」社員チャックを演じたトム・ハンクスが、体重を25kg減量し、熱演を見せる。
■Story“世界宅配便”「フェデックス」の敏腕システム・エンジニアであるチャック(トム・ハンクス)は世界中を駆け回り、システム上の問題解決に明け暮れていた。ある日、彼の乗った飛行機が事故を起こし、無人島に漂流してしまう。過酷な環境の中、4年が経過。ついに彼は無人島を脱出し、文明社会の現実へ戻る。だが、そこで彼を待っていたのは、さらなる厳しいもう一つの試練だった―。