『住宅デザインのひきだし』
「住宅デザインのひきだし」は30年以上にわたり住宅設計に携わってきた建築家の高野保光氏が、上質な住まいの造り方を詳しく解説した一冊です。間取りにとらわれない居場所のつくり方や、手触り足触りから考えるディテールなど、暮らしから考える住宅デザインのヒントを多数、収録しています。本書のポイントは、そこでの上質な暮らしぶりが伝わるよう、全ページにわたり図面を着色し、庭の自然や住まい手の動作を描き込んでいるところ。これにより図面を読むのが苦手な人でも、細やかなアイデアの数々を、イラストを楽しむ感覚で理解することができます。内と外をつなぐ「敷地」、心地よさをデザインする「居場所」、機能と意匠の両立「部屋」、陰影をコントロールする「光」、暮らしやすさへのこだわり「細部」と、コンテンツは大きく5つに分かれています。高野氏は自然を感じる家造りが得意な建築家であることから、特に建物と庭の関係や、敷地と周囲の関係のつくり方を示した事例では、秀逸なアイデアや工夫の数々に思わずうなってしまうほど。最後にはコラムという形で、本書掲載の「つづら折りの家」に住まわれているご夫婦のお話を収録。建てる人、住まう人、両方の意見を知ることで、住宅デザインにおいて「心地よさ」に軸を置くことがいかに重要か、目的がより明確になります。これから家造りを検討している人はもちろん、ベテラン設計者が住宅造りの基本に立ち返るためにも役立つ一冊です。
『上質に暮らす おもてなし住宅のつくり方』
住宅はただ美しいだけの作品ではなく、毎日を快適に過ごせる家族の器でなければならない。そのような住宅を実現するためには、設計者による「細やかな気配り=おもてなし」が必要不可欠である。こう記すのは、住まい手に寄り添った住宅設計を数多く手掛けているリオタデザインの関本竜太氏。本書は、そんな彼が「おもてなし住宅」のつくり方を紹介した一冊で、建築実務者向けの専門雑誌に連載していた記事に加筆して再編集したものです。発行に当たって、実務者だけが手に取る難しい本ではなく、家造りを考えている一般の方々にも伝わりやすい本にしようと、イメージしやすくなるイラストや、プラン二ングのヒントとなる写真など、ビジュアルページを大幅に加えました。第一章では「プランニングから考える」と題し、周囲の環境に左右されないプライベート空間のつくり方や、同じ平面で家族が緩やかにつながるリビング・ダイニングのつくり方などを事例と共に紹介。第二章は「ディテールから考える」とし、ハイサイドライトで奥まで光を届ける手法、大型木製建具の存在感を消す工夫など、陥りがちな悩みに対する対処法を細かく紹介しています。特に読み応えがあるのが「リオタ式収納整頓術」。生活スタイルからクローゼットを考えたり、本のサイズに従って本棚を設えたり、“収納ありき”ではない発想の転換が学べます。実務者、建て主、建築業界を目指す学生と、幅広い人に手に取っていただきたい一冊です。