
柔らかい曲線とモザイクで描き出された近未来都市住宅

「まるでタルト菓子のようだ」――。天才画家・ダリに、その独創的な美しさで感嘆のため息をつかせたのは、守衛室となる予定だった入口の小屋でした。
スペイン有数の観光スポットとして知られる世界遺産・グエル公園は、建築家アントニ・ガウディが理想とする都市住宅の姿を形にする試みとして、1900年から建設が始まりました。もともとは、ガウディのパトロンだったエウセビ・グエル伯爵が「19世紀のイギリス式庭園都市を手本に、ブルジョワ向け近未来住宅地を設計してほしい」と依頼した分譲地区だったのです。
丘の中腹にある約15ヘクタールのエリアは石灰岩を用いたマンポステリアの壁で取り囲まれ、土地の形状を活かして列柱の上に陸橋を作る方法で建設されました。
市場になる予定だったドリス式列柱のホールの上には、ベンチに囲まれた広々とした中央広場があり、あちこちに施されたガウディの弟子・ジュショールの手による粉砕タイルのモザイクが華麗な印象です。シュロの木を模したような斜めの粗石列柱をはじめ自然素材が多用されており、ほぼすべてがガウディらしい柔らかな曲線で統一されているのも特徴。
本作では、カタルーニャの文化を研究するヴィッキーが、修士論文のインスピレーションを得るために、何度もこの公園に足を運びます。
しかしガウディの進みすぎた発想と自然との共生という価値観は当時理解されず、14年間の建築期間中、60区画のうち売れたのはガウディとグエル自身の購入によるわずか2つだけ。1922年には市の所有になり、現在はガウディが一時住んだ家が、彼の記念館として公開されています。
最高にセクシーでスリリングなラブ・バカンスが始まる--』 ■Introduction
監督は、女心を熟知する魔術師、ウディ・アレン。激情的な天才肌・マリア・エレーナ役には、本作でアカデミー賞助演女優賞を受賞したペネロペ・クルス。奔放で型にはまらない情熱家、クリスティーナには『マッチポイント』『タロットカード殺人事件』に続き、本作でウディ・アレン作品では主演3作目となる、スカーレット・ヨハンソン。婚約者がいながらもフアン・アントニオに惹かれ、悩むヴィッキーを繊細に演じるのは『フロスト×ニクソン』のレベッカ・ホール。そしてフアン・アントニオ役には、『ノーカントリー』でアカデミー賞助演男優賞を受賞したハビエル・バルデム。さらに、『トランスフォーマー』シリーズのケヴィン・ダン、『エイプリルの七面鳥』のパトリシア・クラークソンなど、ウディ・アレンのもと豪華キャストが集結した。
■Storyヴィッキー(レベッカ・ホール)とクリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)は親友同士。ヴィッキーは慎重派で、堅実な彼と婚約中。一方のクリスティーナは恋愛体質な情熱家。2人はアメリカを離れ、ひと夏をバルセロナで過ごすことに。ある日、2人はセクシーな画家、フアン・アントニオ(ハビエル・バルデム)と出会う。クリスティーナが一目で恋に落ちる一方で、ヴィッキーも少しずつ、戸惑いながらも彼に惹かれていく--。ヴィッキーの悩みとは裏腹に、順調につき合いだしたクリスティーナとフアン・アントニオ。そこにフアン・アントニオの元妻、美しく、激しいマリア・エレーナ(ペネロペ・クルス)まで現れて…。惹かれあう4人の関係は予想不可能な怒涛の展開へ…。