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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

黄金のアデーレ 名画の帰還
  • 黄金のアデーレ 名画の帰還
  • 『黄金のアデーレ 名画の帰還』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:ギャガ
  • ■価格:¥2,000+税
  • 監督:サイモン・カーティス
  • 出演:ヘレン・ミレン ライアン・レイノルズ ダニエル・ブリュール 他
 

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ベルヴェデーレ宮殿(オーストリア〜ウィーン)

オーストリアが誇るバロック美術の殿堂


ベルヴェデーレ宮殿(オーストリア〜ウィーン)

(C)shutterstock

オーストリアを代表する画家グスタフ・クリムトの絵画「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I」(黄金のアデーレ)の所有者としてオーストリア政府に絵の返還を迫った女性の実話を基 に、名画がたどった数奇な運命と、訴えを起こした女性の半生を描いた『黄金のアデーレ 名画の帰還』。オスカー女優ヘレン・ミレン演じる主人公のマリアと、ライアン・レイノルズ演じる若手弁護士ランディ。年の離れた2人組のスリリングな法廷劇と、マリアの家族の物語という2つの物語を緻密に組み合わせながら、戦争、国、人間の尊厳、自身のルーツといったテーマを訴え掛けます。

本作の争点となる絵画が展示されていたベルヴェデーレ宮殿は、18世紀初頭、オスマン・トルコ軍を撃破したプリンツ・オイゲン公の夏の離宮として建てられました。庭園を挟み上宮、下宮から成るこの宮殿は、バロック建築の巨匠ヨハン・ルーカス・フォン・ヒルデブラントが設計を手掛け、世界遺産のシェーンブルン宮殿と並ぶウィーン屈指のバロック建築物といわれています。映画に登場したクリムトの絵が展示されているのは、かつて迎賓館として使われた上宮で、最も有名な「接吻」をはじめとした20点以上に及ぶ世界最大のクリムト・コレクションの他、エゴン・シーレやオスカー・ココシュカなど19〜20世紀のオーストリア絵画を中心に構成されています。絵画はもちろん、曲線を生かした構造や、きらびやかな装飾などバロック建築ならではの館内も見応えたっぷり。特に「大理石の間」の天井に描かれた、イタリアの画家兼彫刻家カルロ・カルロネによるフレスコ画の立体感には目を奪われます。

イタリア語で「美しい眺め」という意味を持つベルヴェデーレ。ウィーンを一望できる景色の他にも、バロック造園技術の最高峰ともいわれる庭園や、オイゲン公のぜいたくな嗜好がうかがわれる、かつての居城であった下宮など、オーストリアが誇るバロック建築の美しさをご堪能ください。

クリムトが描いた、一枚の肖像画。
幸せな記憶を封印したウィーンで、私は<家族>を取り戻す―

■Introduction

“オーストリアのモナリザ”とたたえられ、国の美術館に飾られてきたクリムトの名画<黄金のアデーレ>をめぐり実際に起こった裁判をもとに、名画に秘められた数奇な物語を描く。実在の女性マリアを演じるのは、『クイーン』でアカデミー賞主演女優賞を受賞した名優ヘレン・ミレン。監督は『マリリン 7日間の恋』のサイモン・カーティスが務め、二つの国と時代をドラマティックに行き来し、判決の興奮とその予想外の余韻を描き切る。

■Story

20世紀が終わる頃、ある裁判のニュースが世界を仰天させた。アメリカに暮らす82歳のマリア・アルトマン(ヘレン・ミレン)が、オーストリア政府を訴えたのだ。それは“オーストリアのモナリザ”と称えられるクリムトの名画<黄金のアデーレ>を、「私に返してほしい」という驚きの要求だった。伯母・アデーレの肖像画は、第二次世界大戦中、ナチスに略奪されたもので、正当な持ち主である自分の元に返して欲しいというのが、彼女の主張だった。大切なものすべてを奪われ、祖国を捨てたマリアが、クリムトの名画よりも本当に取り戻したかったものとは─。

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わたしは、ダニエル・ブレイク
  • 日日是好日
  • 『日日是好日』
  • ■発売日:Blu-ray&DVD発売中
  • ■発売元:ハピネット/パルコ
  • ■販売元:ハピネット
  • ■価格:Blu-ray ¥4,800+税
  • 監督:大森立嗣
  • 出演:黒木 華 樹木希林 多部未華子
    鶴田真由 鶴見辰吾 他
 

(C) 2018「日日是好日」製作委員会

静かな“茶室”で繰り広げられる奥深き世界

エッセイストの森下典子が茶道教室に通う日々をつづった<日日是好日−「お茶」が教えてくれた15のしあわせ−>を映画化。黒木華演じる典子が、20歳から約25年にわたってお茶と向き合ってきた日々を、就職や恋、別れなどの人生の転機と併せて描いています。鎌倉時代、臨済宗を開いた栄西により広まり、安土桃山時代に千利休が礎を築いた「茶道」。日本の伝統的な様式にのっとって行われる亭主のもてなしは、静ひつながらも実にドラマチックで、お茶の魅力がたっぷりと味わえる作品です。

20歳の時にお茶を習うことにした典子は、同い年の従妹・美智子と共に武田先生の元へ出向きます。複雑な帛紗さばき、畳の歩き方、茶道具の置き方、お茶のたて方…。お茶にまつわる作法が不思議でならない2人は、「なぜ、そうするんですか?」と武田先生に問い掛けますが、「どうしてって言われても私も困っちゃう。意味なんかいいから、とにかくそうするの」と答える先生。「お茶はね、まず形なのよ。初めに形を作っておいて、その入れ物に後から心が入るものなのね」―。樹木希林演じる、おちゃめで優しい武田先生の言葉から始まったお茶のお稽古ですが、典子は回を重ねるにつれてその意味を少しずつ理解していきます。

自然が奏でる音、意匠を凝らした茶碗などの茶道具、掛け軸や生け花に込められた亭主の思い、所作の美しさ…。静かな茶室で繰り広げられるのは、五感のすべてを使った非日常の世界。映画を通してその奥深さを体感すれば、茶道がぐっと身近になり、これからの茶室の見方も変わるでしょう。

季節のように生きる。 ■Introduction

原作は人気エッセイスト・森下典子が茶道教室に通う日々をつづったロングセラー「日日是好日 『お茶』が教えてくれた15のしあわせ」。主人公の典子を演じるのは『小さいおうち』や『リップヴァンウィンクル』などの黒木華。典子と共に茶道教室に通ういとこの美智子役を多部未華子が演じる。さらに本作公開前に他界した樹木希林が、2人のお茶の師匠「武田先生」役を演じ、監督・脚本は『さよなら渓谷』『まほろ駅前多田便利軒』などの大森立嗣が務める。

■Story

真面目で、理屈っぽくて、おっちょこちょい。そんな典子(黒木華)は、いとこの美智子(多部未華子)と共に“タダモノじゃない”とうわさの武田先生(樹木希林)の元でお茶を習う事になった。細い路地の先にある瓦屋根の一軒家。武田先生はあいさつもほどほどに稽古を始めるが、意味も理由も分からない所作にただ戸惑う2人。「お茶はまず『形』から。先に『形』を作っておいて、後から『心』が入るものなの」と武田先生は言うが…。青春の機微、就職の挫折、そして大切な人との別れ。人生の居場所が見つからない典子だが、毎週お茶に通い続けることで、何かが変わっていった。

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