淡路夢舞台(日本〜兵庫)
“ANDO建築”が作り出す近未来ディストピアの世界

(C)photolibrary
世界戦争によって地上の99.6%が破壊された近未来を舞台に、感情のない人間の共同体<イコールズ>で感情を“発症”してしまった男女が、逃れられない死を前に葛藤する姿を描いたリドリー・スコット製作総指揮のSFサスペンス。本作の世界観を形作るのに貢献しているのが、日本を代表する建築家・安藤忠雄による建物で、大阪府立狭山池博物館、長岡造形大学、淡路夢舞台がロケ地として使用されました。
兵庫県淡路島北東部にある淡路夢舞台は、約28万平方メートルという広大な敷地の中に国際会議場、ホテル、庭園、植物館、飲食施設などを備えた複合施設です。1989年に淡路島の採掘場跡地を再生させる計画が発案され、自然との共生をテーマにしたプロジェクトとして、急勾配の斜面に1本1本植樹をすることから始まりました。1995年の阪神・淡路大震災により大幅な計画変更を余儀なくされたものの、2000年に竣工。ダイナミックな斜面を利用したランドスケープに溶け込むよう施設群を整備し、世界でも類を見ない「環境創造型プロジェクト」のリゾート施設となっています。
劇中には淡路夢舞台国際会議場、ウェスティンホテル淡路、野外劇場、コンクリートの格子で区切られた100面の花壇・百段苑などが登場。静ひつでスタイリッシュな映像と、安藤の幾何学的な建築が、近未来ディストピアの世界観をより際立たせています。
ここは、感情のない“ユートピア”
■Introduction『エイリアン』『ブレードランナー』などで知られる、SF映画の巨匠リドリー・スコット製作総指揮の下、『今日、キミに会えたら』でサンダンス映画祭の審査員大賞を獲得したドレイク・ドレマス監督が挑んだSFサスペンス。遺伝子操作により感情をなくした人類を、『マッド・マックス 怒りのデスロード』や『X-MEN』シリーズのニコラス・ホルトと、『トワイライト』シリーズのクリステン・スチュワートが演じる。リドリー・スコットが世界的建築家・安藤忠雄による建築物にインスパイアされ、日本を中心にロケを敢行。ドレイク監督が、感情のスイッチが入ってしまった人間の本質を描き出す。
■Story世界戦争によって地球の陸地の99.6%が破壊された近未来。生き残った者たちは「人類を滅亡させる最たる原因は感情だ」と考え、感情のない人間の共同体<イコールズ>をつくる。そこで暮らすすべての人間は管理され、愛情や欲望などの感情を“発症”してしまった者は強制的に隔離施設へ送られ安楽死させられることに。サイラス(ニコラス・ホルト)は、自分の中に感情が芽生え始めていることを自覚し、医師の診察を受け抑制剤を服用していた。あるとき、職場の同僚であるニア(クリステン・スチュワート)もまた、自分と同じ感染者であることを知り、2人は互いに引かれ合う。共同体にいれば、やがて捕まってしまうことを恐れ、2人は外の世界へ脱出することを決意するが…。