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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

ギリシャに消えた嘘
  • ギリシャに消えた嘘
  • 『ギリシャに消えた嘘』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売元:バップ
  • ■価格:Blu-ray ¥4,800 円+税
  • 監督:ホセイン・アミニ
  • 出演:ヴィゴ・モーテンセン キルスティン・ダンスト
    オスカー・アイザック 他
 

(C) 2014 STUDIOCANAL S.A.

パルテノン神殿(ギリシャ〜アテネ)

約2500年前につくられた「美」の傑作


パルテノン神殿(ギリシャ〜アテネ)

(C)photolibrary

古代ギリシャ文明の中心地として栄えたギリシャの首都アテネ。その中心に位置するのが、オリンポスの神々を祭った「アテネのアクロポリス」です。「アクロポリス=高い丘の都市」という名が示す通り、ここは海抜約150メートルの岩山の上に築かれた神殿郡で、1987年には文化遺産として世界遺産に登録されました。数ある神殿の中でも、アテネの守護女神アテナを祭る戦勝記念堂として紀元前447年から約15年かけて建設されたパルテノン神殿は、ドーリア式建築の傑作として今もなお多くの人を魅了しています。

「美」を最大限に追及した建築といわれており、『太陽がいっぱい』の原作者として知られるパトリシア・ハイスミスの小説「殺意の迷宮」を映画化した『ギリシャについた嘘』では、観光でギリシャを訪れたアメリカ人夫妻のチェスターとコレットが、この神殿の景観について論じる場面も出てきます。大理石でできた外周の円柱は、東西に8本、南北に17本で、それぞれにはエンタシスと呼ばれる膨らみが付けられています。さらに柱全体は上部に向かうにつれて神殿内部へ少し傾いており、床も中央に向かってわずかに盛り上がるなど、シンプルな構造ながらさまざまな技巧が見られます。これは、柱頭から屋根の重力を受け止めるためや、神殿内の水はけをよくするためなどの実用的な効果だけでなく、直線で造るよりもなめらかで美しく真っすぐに見えるからという、視覚的な効果を狙った工夫です。また、人間が美しいと感じるとされる黄金比(1:1.618)を用いて造られたという説も。劇中、チェスターが「古代ギリシャ人は錯覚の達人」と語っていたように、人間の目の錯覚を利用して美しさを追求した古代ギリシャ人。約2500年前の彼らの素晴らしい知恵と工夫に驚かされます。

罠か、それとも愛か―。

■Introduction

『太陽がいっぱい』の原作者パトリシア・ハイスミスによるサスペンス小説「殺意の迷宮」を基に、『ドライブ』の脚本家ホセイン・アミニが脚本、初監督を務めた作品。ギリシャを訪れる米国人紳士に『グリーン・ブック』のヴィゴ・モーテンセン、その妻に『マリー・アントワネット』のキルスティン・ダンスト、紳士のガイド役の青年に『スター・ウォーズ』シリーズのオスカー・アイザックなど豪華俳優陣が共演。

■Story

1962年、ギリシャのアテネでツアーガイドをしている米国人の青年ライダル(オスカー・アイザック)は、パルテノン神殿で優雅な米国人紳士・チェスター(ヴィゴ・モーテンセン)と、その妻コレット(キルスティン・ダンスト)に巡り合う。リッチで洗練された夫妻に魅せられたライダルは、彼らのガイドを務めることに。ところがチェスターは大勢の投資家を欺き、大金を奪った詐欺師だった。その夜、チェスターが宿泊する部屋に、詐欺の被害者が雇った私立探偵が現われ、チェスターはその男を殺害してしまう。そして偶然ライダルがその後始末を手助けしたことから3人は共犯者となる。逃亡を図る3人だが、道中でライダルはコレットと親密な関係となり、嫉妬心に駆られたチェスターは平常心を失っていく。

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ハイジ アルプスの物語
  • ハイジ アルプスの物語
  • 『ハイジ アルプスの物語』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売元:株式会社キノフィルムズ/木下グループ
  • ■販売元:ハピネット
  • ■価格:DVD ¥3,900 円+税
  • 監督:アラン・グスポーナー
  • 出演:アヌーク・シュテフェン ブルーノ・ガンツ
    イザベル・オットマン クイリン・アグリッピ
    カタリーナ・シュットラー マキシム・メーメット 他
 

(C)2015 Zodiac Pictures Ltd / Claussen+Putz Filmproduktion GmbH / Studiocanal Film GmbH

雄大なアルプスでの豊かな暮らし

世界中で広く愛されているヨハンナ・シュピリによる児童文学「アルプスの少女ハイジ」。日本では1974年に放映されたテレビアニメでおなじみですが、本作は『ベルリン・天使の詩』『ヒトラー 〜最後の12日間〜』で知られるスイス出身の名優ブルーノ・ガンツを迎え、原作の舞台であるスイスで撮影された実写版。アニメで親しんだ世代が“ハイジ”と聞いて思い浮かべるのが、干し草のベッドや、とろ〜りチーズをのせたパン、搾りたてのヤギのミルクなど大自然ならではの豊かな暮らし。本作でもアルプスの雄大な自然を背景に「ハイジの世界」を存分に味わえます。

“人嫌い”のアルムおんじが暮らすのは、山の中腹に建つ小屋。暖炉のあるダイニングとベッドしかない簡素な住まいに、突然、叔母に連れられて孫娘のハイジがやってきます。最初は疎んじるおんじでしたが、やがて1つしかなかった食事用の椅子は2つに、屋根裏の干し草置き場はハイジのベッドにと変化していき、寡黙ながらもハイジを思うおんじの姿に心が温かくなります。ところがハイジは図らずも、富豪ゼーゼマンの一人娘クララの遊び相手として、アルプスから遠く離れたフランクフルトの豪華な家で暮らすことに。たくさんの使用人やふかふかのベッド、きれいな洋服、柔らかい白パンなど、アルプスとは真逆の裕福な生活を体験しても、やっぱり思い出すのは山での暮らし。大きな瞳をくるくると動かしながら、元気いっぱいに山で跳びはねるハイジの姿が印象的だからこそ、その対比が際立ちます。

オーディションで見いだされたスイス生まれのハイジ役アヌーク・シュテフェンをはじめ、キャストもハイジの世界にぴったりで、大人も子供も素直に楽しめる作品です。

また会えたね、ハイジ。 ■Introduction

スイスの作家ヨハンナ・シュピリによる児童文学の名著「アルプスの少女ハイジ」を、本国スイスで新たに実写映画化。主人公ハイジを演じるのは、500人の候補の中から選ばれ、本作が映画デビューとなるアヌーク・シュテフェン。アルムおんじには、『ヒトラー 〜最期の12日間〜』などで知られ、2019年惜しまれつつ亡くなったスイスの名優ブルーノ・ガンツ。同じくスイス生まれのアラン・グスポーナー監督が、本物のアルプスの風景と共にハイジたちの暮らしを描く。

■Story

ハイジ(アヌーク・シュテフェン)は、アルプスの山で暮らす祖父・アルムおんじ(ブルーノ・ガンツ)の元に預けられる。頑固だけれど優しいおんじとすぐに打ち解け、アルプスでの日々を楽しんでいたハイジだったが、ある日お金持ちのお嬢様・クララ(イザベル・オットマン)の話し相手として、都会のフランクフルトへ行くことに。足の悪いクララは車椅子生活を送っていたが、明るく素直なハイジに励まされ、元気を取り戻していく。ところが、クララとの友情を深めていく一方で、おんじの待つアルプスが恋しくなってきたハイジ。そんな時、夜中に幽霊が屋敷中を歩き回るという騒動が持ち上がる─。

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