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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

クレイジー・リッチ!
  • クレイジー・リッチ!
  • 『クレイジー・リッチ!』
  • ■発売日:ブルーレイ&DVDセット発売中
  • ■発売元:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • ■価格:¥3,990 +税
  • 監督:ジョン・M・チュウ
  • 出演:コンスタンス・ウー ヘンリー・ゴールディング
    ミシェル・ヨー オークワフィナ 他
 

(C) 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND SK GLOBAL ENTERTAINMENT

マリーナベイ・サンズ(シンガポール〜マリーナ地区)

風水にもこだわったシンガポールのランドマーク


マリーナベイ・サンズ(シンガポール〜マリーナ地区)

(C)photolibrary

『マイ・フェア・レディ』『プリティ・ウーマン』など、ヒロインがとびきり素敵に変身するシンデレラ・ストーリーはいつの時代も乙女心をくすぐるものです。ニューヨークで大学教授を務めるヒロインと、シンガポールの御曹司との恋を描いた『クレイジー・リッチ!』は、現代を生きる女性の価値観を通して“身分の違う恋”を描いた一作。ハリウッド映画で「アジア系の俳優が中心の映画はヒットしない」というジンクスを破り大ヒットした作品です。

劇中、ラグジュアリーな舞台として何度も登場するのがシンガポールのランドマーク、マリーナベイ・サンズです。イスラエル系カナダ人の建築家モシェ・サフディの設計によるもので、マリーナ・ベイを望む約15万5千平方メートルの敷地に、世界最大級のカジノ、ホテル、ショッピングモール、コンベンションセンター、劇場などを備えた統合型リゾート。2010年4月に開業しました。

風水を取り入れた建築が数多く存在するシンガポール。ここマリーナベイ・サンズの設計や主要デザインにも、風水コンサルタントの意見が多数、取り入れられています。建物の中でもひときわ目立つ“タワー1、2、3”は、トランプのカードを55階の高さまで積み重ねた様がモチーフ。この3つのタワーを風水で縁起がよいとされる「入」の字型にするため、最大傾斜角は52度に設計されています。これはイタリア・ピサの斜塔の傾きのおよそ10倍。さらに“タワー1”の傾斜角度は26度で、2と6を足すと「8」になるという風水の繁栄の数字になぞらえているといいます。もう一つ特徴的なのが、高さ200メートルで3つのタワーを連結し、世界最長の片持ち梁(はり)が突き出した57階の屋上庭園“スカイパーク”です。展望台、レストラン、バーなどが併設されたスカイパークの中でも、世界最大の屋上プール“インフィニティ・プール”は巨大な山の頂上にある湖を表現しており、ホテルの宿泊者だけが利用できる特別な場所。エッジの見えない全長150mのプールから、360度に広がるシンガポールの絶景を、まるで宙に浮かんでいるかのような感覚を味わいながら堪能できます。この他、劇中にはガーデンズ・バイ・ザ・ベイやアンシャン・ヒル、ニュートン・フード・センターなどシンガポールの見どころがたくさん登場。目もくらむような豪華な世界をお楽しみください。

私の彼はスーパーセレブ
愛してるだけじゃダメみたい

■Introduction

世界の富裕層が住むシンガポールを舞台に、ニューヨーク出身の母子家庭で育った大学教授のレイチェルと、その恋人で不動産王の御曹司ニックの恋愛を描くラブコメディー。主人公レイチェルには台湾系米国人女優のコンスタンス・ウー、恋人のニックには本作が映画デビューとなるマレーシア出身のヘンリー・ゴールディングを抜てき。ハリウッド映画ながらアジア系俳優が主要キャストを担う。監督は『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』を手掛けたジョン・M・チュウ。

■Story

生粋のニューヨーカーで大学教授のレイチェル・チュウ(コンスタンス・ウー)は、長年の恋人ニック・ヤン(ヘンリー・ゴールディング)が親友の結婚式に出席するというので、一緒にシンガポールへ向かうことに。出発当日、空港でファーストクラスに案内されたレイチェルは、自分の恋人がシンガポールの不動産王の御曹司で、社交界の女性たちから人気の独身男性であることを知る。そんなニックの恋人としてシンガポールの地に降り立ったレイチェルには、セレブ女性からの嫉妬の視線が突き刺さり、さらには、2人の交際をよく思わないニックの母親(ミシェル・ヨー)が、2人の仲を引き裂こうと画策し始める。

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天才作家の妻 -40年目の真実-
  • 天才作家の妻 -40年目の真実-
  • 『天才作家の妻 -40年目の真実-』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:松竹
  • ■価格:¥3,800 +税
  • 監督:ビョルン・ルンゲ
  • 出演:グレン・クローズ ジョナサン・プライス
    クリスチャン・スレーター マックス・アイアンズ
    ハリー・ロイド アニー・スターク
    エリザベス・マクガヴァン 他
 

(C) META FILM LONDON LIMITED 2017

“糟糠(そうこう)の妻”の秘めた本音とは?

原題は『THE WIFE』、邦題は『天才作家の妻 -40年目の真実-』が示す通り、この映画は“妻”が主人公の物語で、演技派のグレン・クローズが、世界的な作家の夫を献身的に支える妻を演じています。熟年になっても仲むつまじいジョセフと妻のジョーン。しかし2人の関係は、ジョセフがノーベル文学賞を受賞したことで変化していきます。なぜジョーンは、夫の晴れ舞台を前に顔を曇らせ、微妙な表情を見せるのか。記者が投げ掛けたある疑惑の謎は、ノーベル賞の授賞式開催とともに徐々に明らかになっていきます。

終着点の見えない展開は、まるで薄氷を踏むように繊細でスリリング。いっときも目が離せないのは、ひとえにジョーンを演じたグレン・クローズの力でしょう。本作を含め、アカデミー賞にノミネートされること7回。70代になりさらに円熟味を増した名女優は、夫への愛、諦め、嫉妬、怒りなど、熟年女性の複雑な感情を巧みに表現しています。かつて小説家を志していた若きジョーンが過ごした1950年代のアメリカは、女性の社会進出が難しかった時代。そんな中で彼女は何を選び、何を捨てたのか…。図らずも、夫が最高の栄誉を得たことによって、ジョーンが夫と共に過ごした40年の歳月は、土台から揺らぐことになってしまうのですが、愛憎だけでは単純に割り切れない夫婦のリアルな姿、一人の女性としての生き方など、名優が体現する感情の機微を、じっくりと堪能してください。

ノーベル賞の栄光に隠された【愛と嘘】 ■Introduction

世界的権威を誇るノーベル賞受賞をきっかけに、ある危機に面した作家夫婦の姿を描く作品。40年間、作家の夫に対し常に控えめに寄り添い“影”として支えてきた妻・ジョーンを名優グレン・クローズが演じ、本作で第76回ゴールデン・グローブ賞主演女優賞を受賞。ジョーンの夫でノーベル賞受賞の栄誉に輝いたジョセフを『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのジョナサン・プライスが演じ、スウェーデンのビョルン・ルンゲ監督が壊れゆく夫婦の姿を映し出す。

■Story

現代文学の巨匠ジョゼフ(ジョナサン・プライス)と妻ジョーン(グレン・クローズ)の元に、ノーベル文学賞受賞の吉報が届き、2人は息子を伴い授賞式が行われるストックホルムを訪れる。そこでジョゼフの経歴に疑惑を持つ記者から夫婦の秘密について問われたジョーンは動揺を隠せずにいた。実はジョーンには、文才に恵まれつつもある理由で作家になる夢を諦めた過去があり、ジョゼフとの結婚後、彼女は夫の“影”として世界的な作家の成功を支えてきたのだ。しかし、受賞を機にジョーンの中で心の奥底に押しとどめていたジョゼフへの不満や怒りが湧き起こり、長年共に歩んできた夫婦の関係は崩壊へと向かう。

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