ミリオンダラー・シアター(アメリカ〜ロサンゼルス)
ハリウッド映画を見守るLA最古の映画館
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「これは“ボーイ・ミーツ・ガール”のお話。だが、ラブ・ストーリーではない」という言葉から始まる『(500)日のサマー』は、運命の恋を信じる“こじらせ男子”と、現実的な“小悪魔女子”の恋模様を描いた物語。グリーティングカード会社で働くトムが、秘書として入社してきたサマーに一目ぼれした1日目から500日目までの出来事が、時系列をシャッフルして描かれます。
トムとサマーの関係の変化を表すキースポットとして登場するのが、ロサンゼルスのダウンタウンにあるミリオンダラー・シアターです。喜劇王チャップリンも訪れたこの映画館は、1918年にオープンした歴史ある建物で、1978年にはアメリカ合衆国国家歴史登録財として登録されました。TCL・チャイニーズ・シアターで知られる興行師シド・グローマンが初めて手掛けた劇場で、建築家アルバート・キャリー・マーティンが設計。正面ファサードにはスペインのバロック様式を展開したチュリゲレスク様式の精巧な彫刻が施されています。また、ウィリアム・リー・ウーレット設計の2,345席を擁する劇場は、19世紀にジョン・ラスキンが書いたフェアリーテイル「黄金の川の王様」がテーマとなっており、この本のキャラクターをモチーフにした場内の絵や装飾も見どころの一つです。
現在はイベント開催時など不定期のオープンとなっていますが、『ブレードランナー』『アーティスト』『ペイ・フォワード 可能の王国』など、さまざまな映画でその雰囲気を味わえます。ちなみにこの劇場の向かい側には、『ブレードランナー』のロケ地として知られているブラッドベリ・ビルがあり、本作でも建築家を目指すトムが就職の面接を受けた場所として登場しています。
サマーに恋をした、最低で最高の500日。
■Introduction
運命の恋を夢見る男性と、真実の愛を信じない女性の500日間を描く、ビタースイートなラブコメディー。主演は『G.I.ジョー』『スノーデン』のジョセフ・ゴードン=レヴィットと、『ハプニング』のズーイー・デシャネル。監督を務めるのは本作で長編デビューし、後に『アメイジング・スパイダーマン』シリーズを手掛けたマーク・ウェブ。
■Story
建築家を夢見ながら、グリーティングカード会社で働くトム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)。ある日、秘書として入社してきたキュートなサマー(ズーイー・デシャネル)に一目ぼれしてしまう。運命の恋を信じるトムは果敢にアタックし、ついに一夜を共にした2人だったが、サマーは真実の愛など信じない女性だった。恋愛と友情の間に果てしなく広がるグレーゾーンで揺れる2人の500日の行方は…。

600万分の1の偶然がもたらした男女の恋の行方
日本のお弁当は海外で「BENTO」と呼ばれるなど、文化として高い関心を寄せられていますが、『スラムドック$ミリオネア』や『ジュラシック・ワールド』で知られるイルファン・カーン主演の『めぐり逢わせのお弁当』では、インドのお弁当事情を見ることができます。
映画の舞台となっているインドの大都市ムンバイでは、家庭で作ったお弁当を昼までに届ける“ダッバーワーラー”といわれる弁当配達システムがあり、およそ5000人の配達員が毎日約20万食のお弁当をビジネスマンに届けています。コンピューターや紙の伝票などを使わないアナログな方法ながら、配達ミスは約600万個につき1個という正確さ。本作はそんなダッバーワーラーの配達ミスから生まれた、見知らぬ男女の交流を描いています。
夫の愛情を取り戻すために丹精込めてお弁当を作るイラ。しかし、なぜかそのお弁当は妻を亡くし、早期退職を控えたサージャンの元に届いてしまいます。戻ってきた空の弁当に喜ぶイラと、手料理のおいしさに驚くサージャン。その後、2人は弁当が誤配だったと気付きますが、翌日イラが弁当箱に手紙を忍ばせたことから2人の不思議な交流が始まります。夫の浮気や自分への無関心さに心を痛めるイラと、妻を亡くし心にぽっかり穴が空いたサージャンは、お互いの胸中を語っていくうちに、弁当配達で交わす手紙が希望となっていきます。インターネットが発達し、すぐに誰かとつながれる、クリック一つで欲しい物が手に入る便利な世の中だからこそ、お互いの顔も知らないまま行う文通や、手間の掛かった4段重ねのお弁当などは新鮮。インド映画といえば、歌って踊る陽気なイメージがありますが、2人の心の変化が丁寧に描かれ、しっとりとした大人の魅力溢れる作品です。
まだ見ぬあなたへ
■Introduction
インドのムンバイで、家庭から昼時のオフィスへ弁当を届ける配達人“ダッバーワーラー"。実在するこの配達サービスを題材に、誤配送の弁当がもたらした男女の心の触れ合いを描く。主演は『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』などで知られるイルファーン・カーン。その相手役を、舞台出身の女優ニムラト・カウルが演じる。メガホンを取るのは、本作が長編デビュー作となるリテーシュ・バトラ監督。
■Story
インド・ムンバイでは、昼時ともなると、弁当配達人“ダッバーワーラー”がオフィス街で慌ただしくお弁当を配る。ある日、主婦イラ(ニムラト・カウル)が夫の愛情を取り戻すべく腕を振るった4段重ねのお弁当が、なぜか、妻を亡くし早期退職を間近に控えたサージャン(イルファーン・カーン)の元に届けられてしまった。いつもの弁当屋のものとは香りが違うことに気付きつつも完食したサージャン。空っぽのお弁当箱が戻ってきたことに喜ぶイラだったが、夫の反応はいつもと同じ。不審に思ったイラが、翌日お弁当箱に手紙を忍ばせたことから、2人の文通が始まった―。
