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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

クレイ	ジー・リッチ!
  • ミケランジェロ・プロジェクト
  • 『ミケランジェロ・プロジェクト』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:松竹
  • ■価格:Blu-ray ¥3,300+税
  • 監督:ジョージ・クルーニー
  • 出演:ジョージ・クルーニー マット・デイモン
    ケイト・ブランシェット ビル・マーレイ
    ジョン・グッドマン 他
 

(C)2014 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

ノイシュヴァンシュタイン城(ドイツ〜バイエルン)

王の理想を実現した夢の城


ノイシュヴァンシュタイン城(ドイツ〜バイエルン)

(C)shutterstock

ロマンティック街道の終着点フュッセンのほど近くにある、ノイシュヴァンシュタイン城はドイツ観光の中でも屈指の人気スポット。“白い貴婦人”とも例えられる白亜の優美な姿は、カリフォルニアや香港ディズニーランドにある「眠れる森の美女」の城のモデルの一つとして知られています。

19世紀にバイエルン王ルートヴィヒ2世により築かれたこの城は、防衛としての機能はなく、彼が幼い頃より憧れていた中世騎士伝説の世界を具現化するためだけに造られました。建築の指揮を取ったのは、建築家や技術者ではなく、宮廷劇場の舞台美術や舞台装置を担当していた画家のクリスチャン・ヤンク。このことからも、ルートヴィヒ2世の“理想の世界観を実現するための強いこだわり”が感じられます。ルートヴィヒ2世が謎の死を遂げたあと工事が中断されたため、ノイシュヴァンシュタイン城の多くは未完成ですが、彼が心酔していた歌劇作家ワーグナーの世界を再現した「控えの間」や、祝賀会場として造られた「歌人の間」、そして900kgのシャンデリアや黄金の天井などぜいを尽くした「玉座の間」など、ルートヴィヒ2世の好きなもので溢れたこの城は、まさに彼の夢の世界そのものでした。

第二次世界大戦下、ナチスドイツに奪われた貴重な美術品を取り戻すため7人の美術専門家たちが奮闘する姿を描いた映画『ミケランジェロ・プロジェクト』で、このノイシュヴァンシュタイン城はナチスが略奪した美術品の隠し場所として使われています。ミケランジェロ、フェルメール、レンブラントなど世界の名画や彫刻品と、世界一美しい城と名高いこの城の競演は、映画ならではの豪華なシーンとなっています。

芸術はプロ 戦争はド素人 美術品奪還プロジェクト

■Introduction

ジョージ・クルーニーが監督・製作・脚本・主演を務めたサスペンス。第二次世界大戦中、ナチスに奪われた世紀の美術品を奪還するため、7人の芸術専門家で結成された実在の特殊部隊“モニュメンツ・メン”の姿を描く。共演にはマット・デイモン、ケイト・ブランシェット、ビル・マーレイなど、豪華俳優陣が集結。

■Story

第二次世界大戦、終戦間際。ドイツ軍はヒトラーの命により、侵攻したヨーロッパ各国の美術品を次々と略奪。その中には、レオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐(さん)」「モナ・リザ」、ファン・エイク「ヘントの祭壇画」、ゴッホ「ひまわり」、レンブラント、ルノワール、ロダン、ピカソ…、そしてミケランジェロ「聖母子像」など、数々の名作が含まれていた。これらの歴史的財産の喪失を阻止するため、7人の男たちで結成された特殊部隊“モニュメンツ・メン”が立ち上がる。芸術のエキスパートで、戦争ド素人の彼らのミッションは、戦場の最前線でナチスが略奪した美術品の数々を“奪還”することだった。

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レディ・バード
  • レディ・バード
  • 『レディ・バード』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
  • ■価格:Blu-ray 1,886 円+税/DVD  1,429 円+税
  • 監督:グレタ・ガーウィグ
  • 出演:シアーシャ・ローナン ローリー・メトカーフ
    トレイシー・レッツ ルーカス・ヘッジズ
    ティモシー・シャラメ 他
 

(C)2017 InterActiveCorp Films, LLC. All Rights Reserved.
※2020年4月の情報です。

17歳のリアル

17歳−。青春真っただ中のこの年は、恋に友情、進路に人生にと悩みは尽きないが、大人と子供の間で揺れる繊細な年だからこそ、人生の中できっと特別な1年に違いない。第90回アカデミー賞で作品賞など6部門にノミネートされ話題となった『レディ・バード』は、アメリカの片田舎に暮らす17歳の女の子が主人公。シアーシャ・ローナン演じる等身大の女の子の日常をつづったシンプルな物語…なのに、見る者が心をざわつかせずにはいられない、とてもパワフルな作品です。

カリフォルニア州北部にあるサクラメントで、看護師として働く母、失業中の父、学歴はあるけれど就職できない兄とその彼女と共に暮らすクリスティンは、自分のことを“レディ・バード”と呼ぶ17歳の女の子。カトリックの高校に通う彼女は、ニューヨークの大学への進学を夢見ていますが、地元の大学進学を望む母親とは衝突が絶えません。つまらない田舎、うるさい親、もっとうちがすてきな家だったら、彼氏をつくって理想の初体験をしたい…。頭の中を巡るさまざまな思いを実現させようと、時にうそをつき、周りを振り回すレディ・バードの行動は、誰しも過去に覚えがあるような「青春あるある」のオンパレードでなんだか“痛い”。

女優、脚本家として活躍する注目のクリエイター、グレタ・ガーウィグの初監督作品である本作は、脚本の初期段階で「Mothers and Daughters」というタイトルがつけられていたように、母と娘の物語でもあります。娘を深く愛しているからこそ、彼女の行動に口を出してしまう母、母の思いは分かりつつ自分の道を曲げたくない娘。そんな2人の微妙な距離感もとてもリアルです。“ここではない何か” “ここではないどこか”を探し続けるレディ・バードが何を見つけたのか。劇中の最後の彼女の言動が深い余韻を残します。

羽ばたけ、自分 ■Introduction

『フランシス・ハ』『20センチュリー・ウーマン』などで知られる女優のグレタ・ガーウィグが、初めて単独監督を務めた作品。自身の出身地である米カリフォルニア州サクラメントを舞台に自伝的要素を盛り込みながら、片田舎に暮らす女子高生が友人、恋人、家族、将来について悩む姿をみずみずしく描く。主演は『ブルックリン』『つぐない』などの若手実力派シアーシャ・ローナン。その母親役をベテラン女優のローリー・メトカーフが演じる。

■Story

2002年、米カリフォルニア州サクラメント。閉塞感溢れる片田舎のカトリック系高校に通うクリスティン(シアーシャ・ローナン)、自称“レディ・バード”。高校生最後の年に、看護師の母マリオン(ローリー・メトカーフ)と進学先を決めるために大学見学に行くが、帰りの車中、地元を離れて大都会ニューヨークの大学に進みたいと打ち明けたことから大げんかに。それ以来、母と衝突を重ねる一方、親友のジュリーとも疎遠になってしまう。高校生活最後の1年、友達、彼氏、家族、そして自分の将来について悩み、クリスティンの心は揺れ動く。

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