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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

THE GUILTY ギルティ
  • THE GUILTY ギルティ
  • 『THE GUILTY ギルティ』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売元:カルチュア・パブリッシャーズ
  • ■販売元:ポニーキャニオン
  • ■価格:DVD ¥3,800+税
  • 監督:グスタフ・モーラー
  • 出演:ヤコブ・セーダーグレン イェシカ・ディナウエ
    ヨハン・オルセン オマール・シャガヴィ 他
 

(C)2018 NORDISK FILM PRODUCTION A/S

デンマーク国立銀行(コペンハーゲン〜デンマーク)

北欧デザイン界の巨匠ヤコブセンの美学が詰まった遺作


デンマーク国立銀行(コペンハーゲン〜デンマーク)

(C)shutterstock

コペンハーゲン警察の緊急通報指令室のオペレーターであるアスガーは、女性からの1本の電話が今まさに誘拐事件の真っ最中であることに気づく―。視覚情報がなく、電話からの声と音だけで誘拐事件の顛末(てんまつ)を描いた本作は、その設定と予想を超える展開で第91回アカデミー賞外国語映画賞選出をはじめ、世界中で話題をさらった作品です。舞台は警察署内の緊急通報指令室のみというワンシチュエーション映画ゆえ、劇中ではコペンハーゲンの街並みは登場しませんが、デンマークを代表する建築家兼デザイナーのアルネ・ヤコブセンが手掛けたデンマーク国立銀行は、ぜひ見ておきたいスポットです。

エッグチェアやセブンチェアで知られる北欧デザイン界の巨匠アルネ・ヤコブセン。彼は集合住宅や劇場、庁舎など多くの建物に関わりましたが、なかでも「デンマーク国立銀行」は彼の遺作であり最高傑作ともいわれています。大理石とガラスのカーテンウォールという2つの顔を持つ無機質な外観の内部からは、トータルデザインにこだわったヤコブセンの美学が感じられます。

6層の吹き抜けをつなぐスケルトンの階段と、中央に置かれた6脚のスワンチェア。無駄をそぎ落としたエントランスはとてもモダンですが、ホールやラウンジには植物の鉢をつり下げたガラスケースを配するなど、温かみのある演出が施されています。さらに、外からでは分かりませんが、2つの中庭には、池や石などが日本庭園のように配置されています。また、彼の代表作の一つであるウォールクロック「バンカーズ」は、デンマーク国立銀行のためにデザインされたもの。このほか、家具や水栓器具に至るまですべてに目が配られているのです。残念ながらヤコブセンはこの建物の完成を見ることなく世を去りましたが、彼の集大成ともいわれる建物の美しさは、変わることなく現在も人々を魅了し続けています。

犯人は、音の中に、潜んでいる

■Introduction

「電話からの声と音だけで、誘拐事件を解決する」というシンプルな設定ながらも、予測不可能な展開で第34回サンダンス映画祭において観客賞(ワールド・シネマ・ドラマ部門)を受賞したデンマーク製のサスペンス。本作が長編映画監督デビュー作となるグスタフ・モーラーが、「音声というのは、誰一人として同じイメージを思い浮かべることがない」ということから着想を得て製作された作品。主演は『Across the Waters(原題)』のヤコブ・セーダーグレンが務める。

■Story

緊急通報指令室のオペレーターであるアスガー・ホルム(ヤコブ・セーダーグレン)は、ある事件をきっかけに警察官としての一線を退き、交通事故による緊急搬送を遠隔手配するなど、ささいな事件に応対する日々が続いていた。そんなある日、一本の通報を受ける。それは今まさに誘拐されているという女性自身からの通報だった。彼に与えられた事件解決の手段は「電話」だけ。車の発車音、女性のおびえる声、犯人の息遣い…。微かに聞こえる音だけを手掛かりに、“見えない”事件を解決することはできるのか。

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ヲタクに恋は難しい
  • ヲタクに恋は難しい
  • 『ヲタクに恋は難しい』
  • ■発売日:Blu-ray・DVD発売中 レンタル中
  • ■発売元:フジテレビジョン
  • ■販売元:ポニーキャニオン
  • ■価格:DVD¥3,800+税、Blu-ray¥4,700+税 他
  • 脚本・監督:福田雄一
  • 出演:高畑充希 山ア賢人
    菜々緒 賀来賢人 今田美桜 若月佑美
    ムロツヨシ 佐藤二朗 斎藤工 他
 

(C)ふじた/一迅社 (C)2020 映画「ヲタクに恋は難しい」製作委員会

好きに囲まれた理想の部屋

『今日から俺は!!』の福田雄一監督が、高畑充希と山ア賢人を主演に迎え“隠れ腐女子”と“重度のゲームヲタク”の恋を描いた本作は、ミュージカル仕立ての演出など、福田監督流の遊び心に溢れた作品です。そもそもヲタク(オタク)とは、自分の好きな事柄や興味のある分野に傾倒する人の俗称で、その強すぎる愛ゆえに周りから引かれることもしばしば。本作のヒロイン、桃瀬成海(高畑充希)もマンガ・アニメ・BLをこよなく愛する腐女子ですが、過去の苦い経験からヲタクであることを隠しています。しかし、家に帰ればそこは彼女のパラダイスなのです。

1LDKの部屋で成海を迎えてくれるのは、「刀剣乱舞」「あんさんぶるスターズ!」「おそ松さん」「文豪ストレイドッグス」など彼女がこよなく愛する推しキャラたち。壁やカラーボックス、床など、至るところにポスターや缶バッジ、クッションなどのグッズが飾られ、全方位的に愛でられるようになっています。表向きは普通を装っているので、彼女の本性を知らない男性を呼ぶにはあまりにハードルが高いのでは…と思うも、転職先にいたのは幼なじみでありヲタク友達の宏嵩(山崎賢人)。思わぬ再会にヲタ話で盛り上がる成海は、宏嵩から「ヲタク同士で付き合えば快適なのでは?」と交際を提案され、付き合うことに。重度のゲームヲタクである宏嵩と部屋でゲームをやったり、コミケに行ったり、ヲタク封印デートをしたりと、なんともぎこちない付き合いを始める2人。一見クールな宏嵩が成海と付き合ってどう変わるのか? 彼のシンプルな部屋にも注目しながらご覧ください。

これは、熱くて尊くて、推し<好きなもの>に全てを捧ぐ夢に生きる人たちの物語 ■Introduction

“隠れ腐女子”のOLと“重度のゲームヲタク”の幼なじみによる恋愛を描き、アニメ化もされた人気コミックを実写映画化。監督はドラマ「勇者ヨシヒコ」「今日から俺は!!」や映画『銀魂』シリーズなどコメディー作品のヒットメーカー福田雄一。主演には、共に福田組経験者である高畑充希と山ア賢人を迎える。さらに、福田作品には欠かせない賀来賢人、ムロツヨシ、佐藤二朗に加え、菜々緒、斎藤工など個性豊かな俳優陣が脇を固める。

■Story

26歳OLの桃瀬成海(高畑充希)は、転職先の会社で、幼なじみの二藤宏嵩(山ア賢人)と再会する。ルックスがよく仕事もできる宏嵩は、実は廃人クラスの“重度のゲームヲタク”。そして成海もまた、マンガ・アニメ・BLをこよなく愛する“隠れ腐女子”であった。周りの人々にヲタクだとバレることを何よりも恐れている成海は本性を隠しており、真実の自分をさらけ出せるのはヲタク友達の宏嵩の前だけ。男を見る目がない事を嘆く成海に対して宏嵩は「ヲタク同士で付き合えば快適なのでは?」と交際を提案。こうして2人はお付き合いすることに。しかし「恋愛不適合」な2人には、数々の試練や困難が待ち受けていた。

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