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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

裏切りのサーカス
  • 裏切りのサーカス
  • 『裏切りのサーカス』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:ギャガ
  • ■価格:DVD ¥1,143+税
  • 監督:トーマス・アルフレッドソン
  • 出演:ゲイリー・オールドマン コリン・ファース
    トム・ハーディ ジョン・ハート
    トビー・ジョーンズ 他
 

(C)2011 Karla Films Ltd - Paradis Films sarl - Kinowelt Filmproduktion GmbH. All rights reserved. Photos:Jack ENGLISH (C)2010 STUDIOCANAL SA. All rights reserved.

セーチェーニ鎖橋(ブダペスト〜ハンガリー)

「ドナウの真珠」の礎を築いた美しい橋


セーチェーニ鎖橋(ブダペスト〜ハンガリー)

(C)shutterstock

1970年代、東西冷戦下のイギリスを舞台に、英国諜報(ちょうほう)部<サーカス>の中枢にいるソ連との二重スパイ“もぐら”を突き止めようとする男の攻防を描いた本作は、スパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレの代表作「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」を映画化した作品。派手なアクションが売りのスパイ映画とは一線を画し極力、抑えた演出と巧みなプロットに加え、主演のゲイリー・オールドマンやコリン・ファースら実力派の卓越した演技で、見応えのある作品となっています。ハンガリーのブダペストは、物語の起点となる事件が起きた場所。東欧のミステリアスな雰囲気が映画の重厚さに華を添えています。

「ドナウの真珠」ともたたえられ、世界遺産に登録されているハンガリーの首都ブダペスト。ドナウ川を挟み、王宮がある西岸のブダ地区と国会議事堂がある東岸のペスト地区を最初に結んだのが、全長380メートルの「鎖橋」です。設計者のウィリアム・ティアニー・クラークと建築家のアダム・クラークが10年の歳月をかけ、1849年に完成させました。当時、最も強度があるといわれたアイバーチェーンを、鎖状になるように組み合わせたこの橋は、橋の四隅に鎮座する堂々としたライオン像が見守るデザインで、建設を支援したハンガリーの国民的英雄セーチェーニ・イシュトヴァーン伯爵の名をとって、「セーチェーニ鎖橋」と名付けられました。第二次世界大戦時にドイツ軍に破壊されてしまったものの、川に沈んだ鋼材の約半分を回収し元の姿に復元。1949年には創架100周年を兼ねて開通式が行われました。

バロックやルネサンス、ゴシックなどの歴史的建築の美しさで名高いこの街ですが、ライトアップされる夜は格別。鎖橋はブダペストのシンボルと呼ぶにふさわしい輝きを放ち、人々の目を引き付けてやみません。

一度目、あなたを欺く。
二度目、真実が見える。

■Introduction

“スパイ小説の金字塔”といわれるジョン・ル・カレの「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」を『ぼくのエリ 200歳の少女』のトーマス・アルフレッドソン監督が映画化。英国諜報(ちょうほう)部<サーカス>の中枢部に潜むソ連の二重スパイを捜せと密命を受けた、元ボスの右腕スマイリーは捜査を開始するが…。主人公のスマイリーを演じるのはゲイリー・オールドマン。共演にコリン・ファース、トム・ハーディ、ジョン・ハートら実力派俳優陣を迎える。

■Story

英国諜報部<サーカス>の5人の幹部のなかに、長年にわたり潜んでいるソ連の二重スパイ“もぐら”がいるという情報をつかんだリーダーのコントロール(ジョン・ハート)は、工作員をブダペストへ送り込むが作戦は失敗。謎の死を遂げる。調査を引き継いだのは、彼の右腕で、引退した老スパイ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)だった。レイコン次官から、もぐらを突き止めよと極秘命令を下されたスマイリーは、仲間と共に、捜査を開始する。

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そして父になる
  • そして父になる
  • 『そして父になる』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売元:フジテレビジョン
  • ■販売元:アミューズソフト
  • ■価格:DVD ¥3,800+税
  • 監督:是枝裕和
  • 出演:福山雅治 尾野真千子 真木よう子
    リリー・フランキー 風吹ジュン 國村 隼
    樹木希林 夏八木勲 他
 

(C)2013「そして父になる」製作委員会

彼はどのようにして“父”となったのか。

大手建設会社に勤め、エリート街道を順調に歩む野々宮良多(福山雅治)は、6歳の息子・慶多にも自分と同じように人生の勝ち組になってほしいと願うものの、おとなしい性格の息子に歯がゆさを感じています。そんなある日、病院から息子が出生時に取り違えられていたと知らされ…。『万引き家族』『誰も知らない』の是枝裕和監督が描く『そして父になる』は、出生時に子供を取り違えられた2組の家族の葛藤を丁寧に紡いだ作品です。

突然知らされた実の子の存在により対面することになった2つの家族。それは驚くほど対照的でした。都心のホテルのような高級マンションに暮らす野々宮家と、地方都市で小さな電気店を営む斎木家。生活水準の違いもさることながら、仕事が第一である野々宮家の父・良多と、仕事よりも子供との時間を大切にする斎木家の父・雄大(リリー・フランキー)は、育児や仕事への考え方も正反対。その反面、どちらも自分の意見を曲げない父親に対し、母親のみどり(尾野真千子)とゆかり(真木よう子)は、同士として共感し支え合っていきます。女性は子をお腹に宿したときから、母親になっていくのに対して、男性はいつ、どんなときに父親としての自覚を持つのでしょうか。そして一緒に過ごしてきた子供の存在理由が根底から揺らいだとき、親子をつなぐものは血、それとも一緒に暮らした時間なのでしょうか。

子供がピアノを弾いているとき、ご飯を食べているとき、お互いの子供たちが一緒に遊んでいるとき。子役の演出に定評のある是枝監督ならではの子供たちの自然な表情の積み重ねが、父・母・子供たちの戸惑いや葛藤を巧みに引き出していき、胸を打ちます。仕事一辺倒だった良多が映画のラストに出す答えが、深い余韻を残す作品です。

6年間育てた息子は、他人の子でした。 ■Introduction

『誰も知らない』『万引き家族』の是枝裕和監督が、福山雅治を主演に向けて送る家族ドラマ。ある日突然、6年間育てた息子が病院で取り違えられた他人の子だと知った2組の夫婦。親子をつなぐものは、血のつながりか、共に過ごした時間か。究極の選択を前に葛藤する家族の姿を丁寧に描く。福山の妻役に尾野真千子、取り違えられた先の夫婦にリリー・フランキー、真木よう子が扮(ふん)する。第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門・審査員賞受賞作。

■Story

大手建設会社に勤め、都心の高級マンションで家族と暮らす野々宮良多(福山雅治)は、人生の勝ち組としてエリート街道を歩んでいる。そんなある日、妻みどり(尾野真千子)が出産した病院から、子供の取り違えがあったと知らされる。DNA検査の結果、息子の慶多(二宮慶多)が他人の子であることが判明。良多はみどりと共に、相手方の斎木雄大(リリー・フランキー)とゆかり(真木よう子)夫妻に会うが、小さな電気店を営む彼らの身なりや粗野な言動が気になってしまう。

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