セーチェーニ鎖橋(ブダペスト〜ハンガリー)
「ドナウの真珠」の礎を築いた美しい橋

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1970年代、東西冷戦下のイギリスを舞台に、英国諜報(ちょうほう)部<サーカス>の中枢にいるソ連との二重スパイ“もぐら”を突き止めようとする男の攻防を描いた本作は、スパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレの代表作「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」を映画化した作品。派手なアクションが売りのスパイ映画とは一線を画し極力、抑えた演出と巧みなプロットに加え、主演のゲイリー・オールドマンやコリン・ファースら実力派の卓越した演技で、見応えのある作品となっています。ハンガリーのブダペストは、物語の起点となる事件が起きた場所。東欧のミステリアスな雰囲気が映画の重厚さに華を添えています。
「ドナウの真珠」ともたたえられ、世界遺産に登録されているハンガリーの首都ブダペスト。ドナウ川を挟み、王宮がある西岸のブダ地区と国会議事堂がある東岸のペスト地区を最初に結んだのが、全長380メートルの「鎖橋」です。設計者のウィリアム・ティアニー・クラークと建築家のアダム・クラークが10年の歳月をかけ、1849年に完成させました。当時、最も強度があるといわれたアイバーチェーンを、鎖状になるように組み合わせたこの橋は、橋の四隅に鎮座する堂々としたライオン像が見守るデザインで、建設を支援したハンガリーの国民的英雄セーチェーニ・イシュトヴァーン伯爵の名をとって、「セーチェーニ鎖橋」と名付けられました。第二次世界大戦時にドイツ軍に破壊されてしまったものの、川に沈んだ鋼材の約半分を回収し元の姿に復元。1949年には創架100周年を兼ねて開通式が行われました。
バロックやルネサンス、ゴシックなどの歴史的建築の美しさで名高いこの街ですが、ライトアップされる夜は格別。鎖橋はブダペストのシンボルと呼ぶにふさわしい輝きを放ち、人々の目を引き付けてやみません。
一度目、あなたを欺く。
二度目、真実が見える。
“スパイ小説の金字塔”といわれるジョン・ル・カレの「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」を『ぼくのエリ 200歳の少女』のトーマス・アルフレッドソン監督が映画化。英国諜報(ちょうほう)部<サーカス>の中枢部に潜むソ連の二重スパイを捜せと密命を受けた、元ボスの右腕スマイリーは捜査を開始するが…。主人公のスマイリーを演じるのはゲイリー・オールドマン。共演にコリン・ファース、トム・ハーディ、ジョン・ハートら実力派俳優陣を迎える。
■Story英国諜報部<サーカス>の5人の幹部のなかに、長年にわたり潜んでいるソ連の二重スパイ“もぐら”がいるという情報をつかんだリーダーのコントロール(ジョン・ハート)は、工作員をブダペストへ送り込むが作戦は失敗。謎の死を遂げる。調査を引き継いだのは、彼の右腕で、引退した老スパイ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)だった。レイコン次官から、もぐらを突き止めよと極秘命令を下されたスマイリーは、仲間と共に、捜査を開始する。