UCSDガイゼル図書館(サンディエゴ〜アメリカ)
サンディエゴに浮かぶ“知”の宇宙船

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『ダークナイト』のクリストファー・ノーラン監督が、レオナルド・ディカプリオほか豪華キャストを迎え、オリジナル脚本で描いた『インセプション』は、他人の夢の中に侵入し、その人物のアイデアを盗む産業スパイたちの死闘を描いた作品。脳内での情報戦という斬新な設定と、それを形成する複雑なルールがスタイリッシュな映像で描かれ、ノーラン監督らしい唯一無二の世界観を作り上げています。夢の階層ごとに世界がガラリと変わるなか、第3階層の雪山の病院として登場したのがアメリカ・サンディエゴにある「UCSDガイゼル図書館」。図書館とは思えない近未来的な外観が、映画の雰囲気にとても合っています。
UCSDガイゼル図書館は、カリフォルニア大学サンディエゴ校内に10館ある図書館の一つで、「グリンチ」で知られる絵本作家ドクター・スース(セオドア・スース・ガイゼル)と彼の妻オードリーに敬意を表して建てられ、彼らの名前にちなんで命名されました。本の山を両手で持ち上げているような奇抜な形は、学生たちから「宇宙船(space ship)」と呼ばれ、大学のシンボルとして親しまれています。1970年、サンフランシスコのトランスアメリカ・ピラミッドを手掛けた建築家ウィリアム・ペレイラの設計による地下2階、地上6階の建物で、独特のフォルムは約700万冊ある蔵書を収蔵するのに最適な球体からヒントを得たもの。コンクリートを主体としたブルータリズム建築のなかでも、多面的に配置したガラス張りの部屋が建物全体に躍動感を生み出しています。夜になると暗闇に浮かび上がる姿は、なんとも幻想的。映画のように異世界に迷い込んだような不思議な気分を味わえることでしょう。
お前の頭へ侵入する。
■Introduction『ダークナイト』などの鬼才クリストファー・ノーラン監督が、レオナルド・ディカプリオを主演に迎え、見る者を夢の中へといざなうSFアクション大作。人の夢の世界に入り込み、他人のアイデアを盗むという高度な技術を持つ男をディカプリオが演じ、自らの人生をやり直すため仲間と共に危険なミッションに臨む姿をスタイリッシュな映像で描く。その他、渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マリオン・コティヤール、エレン・ペイジなど、国際色豊かな実力派俳優陣が脇を固める。
■Story夢を見ている間に潜在意識から貴重な秘密を盗み出す、すご腕の産業スパイ、ドム・コブ(レオナルド・ディカプリオ)の元に、ある日“サイトー”と名乗る男(渡辺謙)から依頼が舞い込む。それは「インセプション」と呼ばれる、アイデアを相手の心に“植え付ける”もの。ほぼ不可能とされる危険な任務だが、国際指名手配犯のコブは失ったものを取り戻すために、相棒のアーサー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)と共にメンバーを探す。しかし、いかに綿密に計画し、さまざまな特殊能力があったとしても、相手に行動をすべて読まれていたら太刀打ちできない。そんな強敵が現れる予感を、コブだけが感じ取っていた―。