オスロ・オペラハウス(オスロ〜ノルウェー)
まるで氷山!? オスロの港に佇むノルウェー最大の文化施設

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『ダークナイト』シリーズ、『インセプション』のクリストファー・ノーラン監督がオリジナル脚本で臨んだ『TENET テネット』。これまで『メメント』や『インターステラー』など時間軸にこだわりを持ってきた監督が、本作では未来に起こる第三次世界大戦を阻止すべく、“時間の逆行”を用いて過酷な任務に挑む男の姿を描いています。難解なロジックと息をのむ映像は見る者を混乱の渦に陥れますが、鑑賞後はパズルのピースがカチリとはまるような爽快感を味わえるでしょう。
さて、その壮大な物語は、満員の観客でにぎわうオペラハウスから始まります。劇中ではウクライナ・キエフとなっていましたが、実際は、エストニア・タリンに立つコンサートホール「リンナハル」の外観が使われ、内部はノルウェー・オスロの「オスロ・オペラハウス」で撮影されています。オスロ中央駅から5分ほどの湾岸部にあるこのオペラハウスは、臨海地区の再開発計画の一環として2008年に建てられました。ノルウェー国立オペラ・バレエ団の本拠地で、1,364席の大劇場と、200〜400席の2つの小劇場の設置が可能なノルウェーで最大の文化施設です。
建設時のコンペで求められたのは「高い建築の質」と「ランドマークであること」。ランドスケープと建築の融合を得意とするノルウェーの設計事務所・スノヘッタは、「ザ・カーペット(じゅうたん)」というコンセプトのもと、スロープから屋上まで緩やかな傾斜をつけ、まるでフィヨルドに浮かぶ氷山のような印象的な建物を造り上げました。これにより「オスロ・オペラハウス」は劇場という箱のみならず、市民の憩いの場としての機能も見事に果たしています。劇中では冒頭で木材を多用した重厚な大劇場が見られるほか、物語の中盤では主人公の“名もなき男”と、その相棒ニールが話す場面としてこのスロープが登場します。ノルウェーの澄んだ青空と開放感のある景色にもご注目ください。
ミッション〈時間〉から脱出せよ。
■Introduction『ダークナイト』シリーズ、『インセプション』『ダンケルク』など数多くの話題作で知られるクリストファー・ノーラン監督によるオリジナル脚本のアクションサスペンス大作。<時間のルール>から脱出し、第3次世界大戦を防ぐというミッションを命じられた主人公の戦いを描く。主演は名優デンゼル・ワシントンの息子で、アカデミー脚色賞を受賞した『ブラック・クランズマン』で映画初主演を務めたジョン・デイビッド・ワシントン。共演には新作『The Batman』で主役を務めるロバート・パティンソンの他、ケネス・ブラナー、マイケル・ケインらノーラン作品常連の名優たちが出演。
■Story特殊部隊員の名もなき男(ジョン・デイビッド・ワシントン)は、テロリストから仲間を救うため身代わりとなって捕らわれてしまう。しかし、昏睡(こんすい)状態から目覚めた彼は、フェイと名乗る男からあるミッションを命じられる。それは、未来からやってきた敵と戦い、世界を救うというもの。未来では、“時間の逆行”と呼ばれる装置が開発され、人や物が過去へと移動できるようになっていた。すべてのキーワードは「TENET(テネット)」。「TENET(テネット)」の謎を解き明かし、第三次世界大戦を防ぐため、相棒・ニール(ロバート・パティンソン)と共に未来からの敵に立ち向かう。