ボストン公共図書館(アメリカ)
著名な画家の絵画が華を添えるアメリカ最古の図書館

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認知症や知的障害などで判断能力が不十分な人をサポートする成年後見制度。高齢化が進みニーズは増えていますが、一方では本人の権利が大幅に制限されるなどの問題点も指摘されています。『ゴーン・ガール』の怪演が印象的なロザムンド・パイクを主人公にした本作は、そんな制度を悪用した法廷後見人を描いたクライム・サスペンスです。映画が撮影されたアメリカ・ボストンは、歴史ある建物が多くありますが、マーサ(パイク)も顧客の調査で訪れたであろうボストン公共図書館は、アメリカで最も古い図書館として観光スポットにもなっています。
1895年に建設されたこの図書館は、最古でありながらも市民に無料で公開した史上初の近代的公共図書館であり、蔵書数も全米で最大規模を誇っています。正面にリンカーン像(リンカーン記念館)の作者ダニエル・チェスター・フレンチの彫刻が鎮座する建物は、メトロポリタン美術館の設計者マッキム、ミード&ホワイトが手掛けています。イタリア・ルネッサンス様式の重厚な建物の館内には、大理石の柱や階段、ライオンの彫刻などがあり、壁を彩るジョン・シンガー・サージェントの壁画や天井画はさながら美術館のよう。芸術を堪能しながら2階へ上がると、高い天井に緑のライトのコントラストが美しいリーディングルームがあり、幻想的な空間での読書は、特別な時間を味わわせてくれます。
1972年には新たに新館も増築。光にあふれた明るい近代的な空間との対比も楽しめます。また、本館と新館をつなぐ中庭は、回廊式になっており、中世のヨーロッパのような雰囲気の中、飲食をしたり仕事したりと思い思いに過ごす人の姿も。ガイドによる建築ツアーも開催されているので、興味のある方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。