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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

『アンチャーテッド』
  • 『アンチャーテッド』
  • 『アンチャーテッド』
  • ■発売日:DVD&Blu-ray発売中/デジタル配信中
  • ■発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
  • ■価格:ブルーレイ&DVDセット 5,280円(税込)/4K ULTRA HD & ブルーレイセット 7,480円(税込)
  • (C)2022 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.
  • 監督:ルーベン・フライシャー
  • 出演:トム・ホランド マーク・ウォールバーグ
    アントニオ・バンデラス
    ソフィア・アリ
    タティ・ガブリエル ほか

地図にない場所から 誰よりも早く50億ドルを奪い取れ――

■Introduction

アクション・アドベンチャーゲーム「アンチャーテッド」シリーズの実写映画化。同シリーズは、全世界のシリーズ累計売上数が4170万本を超え、2009年にはゲーム界のアカデミー賞とも呼ばれる“AIASゲーム・オブ・ザ・イヤー”を受賞。これまで多くのゲームファンから熱い支持を受けてきた。その世界の主人公である若きトレジャーハントのネイトを『スパイダーマン』シリーズのトム・ホランド、そして、ネイトと共に財宝を探す相棒サリーを「トランスフォーマー」シリーズのマーク・ウォールバーグがそれぞれ演じる。監督は『ゾンビランド』のルーベン・フライシャー。“アンチャーテッド(UNCHARTED)”それは「地図にない場所」を意味する。

■Story

通称ネイトことネイサン・ドレイク(トム・ホランド)は、幼い頃、唯一の肉親である兄のサムと生き別れ、今はNYでバーテンダーとして働く日々。ある日、器用な手つきを見たトレジャーハンターのサリー(マーク・ウォールバーグ)から50億ドルの財宝を一緒に探さないかと誘われる。最初は断ったネイトだが、行方不明の兄を知るというサムについていくことを決意。早速、二人は財宝にたどり着くための重要な鍵“ゴールドの十字架”を手に入れるため、オークション会場を訪れる。しかしそこには同様に財宝を狙う組織が…世界中を駆け巡り、果たして二人は50億ドルの財宝を手に入れることができるのか?

『アンチャーテッド』
カタルーニャ美術館

スペイン芸術の粋を集めた美の殿堂


                    選ばなかったみち

伝説の秘宝や古代都市の謎に挑むアクション・アドベンチャー・ゲーム「アンチャーテッド」シリーズを「スパイダーマン」シリーズのトム・ホランド主演で実写映画化。50億ドルの財宝の手がかりを求めてニューヨークからスペイン・バルセロナへやってきたトレジャーハンターのネイト(トム・ホランド)とサリー(マーク・ウォルバーグ)。バルセロナへ到着早々、2人は同じくトレジャーハンターのクロエ(ソフィア・アリ)に会うため、カタルーニャ美術館へ向かいます。

バルセロナの南西に位置するモンジュイックの丘に建つカタルーニャ美術館は、1929年のバルセロナ万国博覧会の政府館として造られ、1934年に改築を経て美術館としてオープンしました。外観はルネッサンス様式とバロック様式が混ざった折衷建築で、その堂々たるたたずまいは街のランドマークとなっています。

この美術館では、10〜12世紀のロマネスク美術をはじめ、ゴシック美術や近代美術までの作品が所蔵されています。中でもロマネスク美術は世界有数のコレクション数を誇り、ロマネスク美術の最高傑作と呼ばれる「全能のキリスト」をはじめ、地方にある教会の壁画をそのまま移設するなど貴重な展示物が多く、ここを訪れたピカソは感嘆の声を上げたとか。このほかにも、ピカソの「帽子と毛皮の襟をつけた女」やダリの「父の肖像」、ガウディが設計した家具など、バルセロナにゆかりのある芸術家の作品も充実しており、いにしえから近代まで、豊かな経済力を背景に独自の芸術運動を興したカタルーニャ芸術の変遷をたどれる貴重な美術館となっています。そして、美術館を楽しんだ後は、階段下のマジカ噴水で一息を。壮大な美術館をバックにした光と水の噴水ショーは、多くの人を楽しませています。

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『選ばなかったみち』
  • 『選ばなかったみち』
  • ■発売日:DVD発売中
  • ■発売・販売元:インターフィルム
  • ■価格:価格:DVD ¥4,180(税込)
  • (c) BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND THE BRITISH FILM INSTITUTE AND AP (MOLLY) LTD. 2020
  • 監督:サリー・ポッター
  • 出演: ハビエル・バルデム エル・ファニング
    ローラ・リニー サルマ・ハエック ブランカ・カティッチ ミレナ・チャーントケ
 

あの日、あの時、あの瞬間―― 歩んでいたかもしれない人生に、会いに行く。

■Introduction

本作は『オルランド』『ジンジャーの朝 〜さよなら、わたしが愛した世界』の女性監督サリー・ポッターの弟が、若年性認知症と診断され監督自身が経験した介護体験をもとに書き下ろされた物語。認知症の父と彼を介護する娘の1日を描く。父レオ役は『DUNE/デューン 砂の惑星』『ノーカントリー』のハビエル・バルデム、娘モリー役を「マレフィセント』シリーズのエル・ファニングが演じ、父娘役で初共演を果たした。その他、『ハドソン川の奇跡』『ラブ・アクチュアリー』のローラ・リニー、『エターナルズ』『フリーダ』のサルマ・ハエックら実力派名優が脇を固める。2020年・第70回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品。

■Story

ニューヨークのアパートに独りで住むメキシコ人移民の作家、レオ(ハビエル・バルデム)。彼は、認知症を患い、誰かの助けなしでは生活はままならず、娘のモリー(エル・ファニング)やヘルパーとのコミュニケーションも難しい状況になっていた。ある朝、モリーはレオを病院に連れ出そうとアパートを訪れる。しかし、レオはモリーが隣にいるにも関わらず、初恋の女性ドロレス(サルマ・ハエック)と出会った故郷であるメキシコや、作家生活に行き詰まり一人旅をしたギリシャを脳内で往来し、独り感傷に浸り、モリ―を戸惑わせる。

『選ばなかったみち』

ありえたかもしれない人生に思いをはせる

「人生は選択の連続である。」とは、かの有名なシェイクスピアの言葉ですが、私たちは常に何かを選択して生きています。同時に、“選択しなかった別の人生”もあったはずで、もし、あのとき…と思いをはせセンチメンタルな気分になることもあるのではないでしょうか。イギリスの女性監督サリー・ポッターが、若年性認知症を患った弟との経験をもとに作った本作は、ハビエル・バルデム演じる認知症を患った作家のレオとその娘(エル・ファニング)の姿を追ったもの。

出来事としては、レオのもとを訪れた娘のモリーが、彼を歯医者と眼科に連れて行く、というなんてことない1日を描いていますが、意思疎通ができない父に付き添う娘の大変な“現実”と、レオの頭の中で繰り広げられる“選ばなかった道”のストーリーが重層的に紡がれます。メキシコからの移民として新たな家庭を築いたレオが頭の中で見ているのは、初恋の女性と出会った故郷メキシコでの苦い思い出と願望、作家生活に行き詰まり家族を残して逃避したギリシャの一人旅のこと。海をゆらゆらと、たゆたうように現実・過去・妄想の間を行き来する彼の世界は詩的で美しい。

認知症の当事者からの視点で描いた作品といえば、アンソニー・ホプキンス主演の『ファーザー』がありますが、どちらも“現実”との境界線はとても曖昧で、彼らが頭の中でさまざまな景色を見ていることがわかります。過去・現在・妄想という3つの世界に生きるレオと、「パパを理解したい」と涙ながらに訴えるモリーの距離は、近いようでとても遠い。だからこそ、一瞬2人が思いを交わすラストシーンは光輝いて見えます。果たして彼女は父との関係で何を選択し、何を選択しないのか─。自分たちの過去への追想が重なり、鑑賞後も深い余韻を残す作品です。