ペトロナスツインタワー<クアラルンプール〜マレーシア>
マレーシアの経済発展を示すシンボリック・タワー
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ショーン・コネリー扮する凄腕の美術品泥棒マックとキャサリン・ゼタ=ジョーンズ扮する謎めいた美女ジンが、巨額の金を狙い罠をしかけるロマンティック・サスペンス『エントラップメント』。劇中で彼らのターゲットとなったのが、2つのビルが対になったマレーシアのランドマーク、ペトロナスツインタワーでした。
NYのワールドフィナンシャルセンターや日本の国立国際美術館などを手掛けたシーザー・ペリの設計によって1998年に建設された、高さ452m、88階建てのこのタワーは、今でこそドバイにあるブルジュ・ハリファ(828m)に抜かれたものの、20世紀では世界一の高さを記録し、ツインタワーとしては現在でも首位の座に輝いています。そびえ立つ2本の尖塔がモスクに似ていたり、幾何学模様が施されていたりと、近代的でありながらもイスラム色が出ているのも特徴のひとつ。2つの塔のうち、タワー1を日本が、タワー2を韓国が、そして41階のスカイブリッジをフランスの各企業が請け負うなど国際色豊かなこのタワーは、1990年代に飛躍的な経済成長を遂げたマレーシアの発展の象徴とも言えるでしょう。
ペトロナスツインタワーの一番の見どころは、2つの塔をつないだ渡り廊下「スカイブリッジ」。地上170m、41階にあり、高さと長さ(90m)も世界一。『エントラップメント』では、新年を迎えるために4万個の電球で美しくライトアップされたツインタワーの中で、華麗なる強奪劇が繰り広げられますが、ここスカイブリッジでのアクションも映画の一番の見どころとなっています。
『罠は仕掛けられた。』
■Introduction
『リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い』のショーン・コネリー演じる美術泥棒と、『ロック・オブ・エイジズ』のキャサリン・ゼタ=ジョーンズ扮する保険会社調査員の駆け引きを描いたサスペンス作品。1999年ヨーロッパ映画賞で観客賞(男優賞・女優賞)を受賞した。監督は『コピーキャット』などで知られるジョン・アミエルが務める。公開された1999年に世間を騒がせていた「2000年問題」による機械の誤作動を盛り込んだ演出も話題となった。
■Story
ニューヨークの高層マンションからレンブラントの名画が盗まれ、保険会社が大きな損害を受ける。保険会社の調査員ジン(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は、その華麗な手口から、犯人は美術品専門の怪盗マック(ショーン・コネリー)であると確信。ジンは、マックを罠にかけるため、同業者を偽り彼に接近する。はじめはジンを信用しなかったマックだが、彼女に泥棒の資質があることを知ってパートナーに迎えることに。しかし、訓練の過程でジンが保険会社の調査員であることを知ったマックは…。

昭和という時代が教えてくれる豊かな暮らし
震災以降、日本の在り方が問われる今、改めて見直したいのが“古き良き日本”の姿。以前、前首相の野田さんがこれからの日本の目指すべき姿として『ALWAYS 三丁目の夕日』を例に挙げていましたが、最新VFX技術で昭和33年を再現したこの映画は、昭和という時代が持つ独特の空気感を存分に感じられることでしょう。
舞台は東京のとある下町・夕日町。建設中の東京タワーが見えるこの横丁では、やる気のない店主がいる駄菓子屋、おせっかいなタバコ屋のおばちゃん、美人女将の飲み屋などが軒を連ね、いつも活気であふれています。その横丁の一角にある自動車修理工場「鈴木オート」に、青森から集団就職でやってきた六子は期待に胸を膨らませるも、その職場を見て愕然。オフィスビルで社長秘書という理想はどこへやら、待っていたのは住居と工場が一体となった古びた一軒家でした。六子の職場<鈴木オート>は、1階に作業場と居間、寝室、台所があり、2階は息子と六子用の2部屋という間取りで、居間のちゃぶ台や黒電話、文机など登場するアイテムも私たちのノスタルジーをくすぐります。
プライバシーもずっと緩やかだったこの時代、熱血漢の鈴木オート社長がひとたび頭に血が上れば、その様子をガラスの引き戸越しに見た近所の人が止めに入ったり、珍しかったテレビが鈴木家に来たとあらば、ご近所さんが鈴木家に集まって力道山の試合を観ていたりと、人間関係の密度もずっと濃い。携帯もゲームもパソコンもなかったけれども、今日より明日が良くなると信じて力強く生きた昭和という時代は、便利さとは一味違う豊かな暮らしを垣間見せてくれます。
『携帯もパソコンもTVもなかったのに、どうしてあんなに楽しかったのだろう。』
■Introduction
VFXの第一人者・山崎貴監督が、シリーズ総発行部数1400万部を誇る国民的コミック『三丁目の夕日』を映画化。綿密な時代考証、広大なセット、最新のVFX技術をもとに、“昭和33年”の世界を作り上げた。2005年11月の公開から2週連続で興行首位を記録、年内に200万人を動員した。また、同年の日本アカデミー賞の全13部門で受賞。うち12部門で最優秀賞を獲得した。駄菓子店を経営しながら、芥川賞作家を夢見る主人公・茶川竜之介は吉岡秀隆、不器用だが面倒見のいい“典型的な日本の父親”の鈴木則文は堤真一が演じる。
■Story
東京タワーが完成する昭和33年のある日、則文(堤真一)の営む自動車修理工場・鈴木オートに、集団就職で上京した六子(堀北真希)がやってきた。立派な会社を想像して落胆する六子を、則文の息子・一平(小清水一揮)は、もうすぐ“テレビ”がくるのだと励ます。一方、鈴木オートの向かいで駄菓子店を営む竜之介(吉岡秀隆)は、三流少年誌に子供向け冒険小説を執筆しながら、芥川賞を夢見て細々と暮らしていた。そんな竜之介が恋心を抱く居酒屋の女将・ヒロミ(小雪)のもとに、引き取り手のない少年・淳之介(須賀健太)が連れてこられた。店に来ていた竜之介は、酔った勢いで淳之介を預かることになるが…。
