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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

プリンセス・カイウラニ
  • プリンセス・カイウラニ
  • 『プリンセス・カイウラニ』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売元:WOWOW
  • ■販売元:ハピネット
  • ■価格:¥3,800+税
  • 監督:マーク・フォービー
  • 出演:クオリアンカ・キルヒャー バリー・ペッパー ウィル・パットン ショーン・エヴァンス 他
 
 

(C) 2010 Oahu Productions LLC.All rights reserved.

イオラニ宮殿<ハワイ〜アメリカ>

ハワイ王国の栄華と激動の歴史を偲ぶ


イオラニ宮殿(ハワイ〜アメリカ)

(C) guynamedjames - Fotolia.com

ハワイ王国最後の王女カイウラニの波乱の生涯を綴った『プリンセス・カイウラニ』で描かれるのは、地上の楽園というリゾート地のハワイではなく、ハワイが王国だった頃の知られざる歴史の一幕です。ホノルルのダウンタウンでは多くの史跡に触れることができますが、なかでも優美な姿でたたずむイオラニ宮殿は、アメリカで唯一王族の公邸といわれる場所。

1882年、ハワイが近代国家であることを示すため7代目君主・カラカウア王が建設したこの宮殿は、アメリカン・フローレンス様式を取り入れたクラシックな外観とは裏腹に、照明設備や水洗トイレ、電話を完備したかなり近代的な建物です。劇中ではハワイで初めて電燈を灯す点灯式で、まだ少女だったカイウラニがスイッチを押していましたが、エジソンが電気を発明してから7年後、アメリカのホワイトハウスよりも4年も前に電気を導入していたことからも、カラカウア王がいかに先進的な考えの持ち主だったかがわかります。

この点灯式で客人をもてなしたのが、宮殿1階の「大広間」です。ハワイの木材コアの大階段と歴代の王たちの肖像画が見守る重厚な空間ですが、映画ではこのほかにもホール右手にある「正賓室」やロココ復古調の「青の間」、左手にある赤や金を基調とした「王座の間」で、カラカウア王亡き後その座を引き継いだ妹リリウオカラニ女王が、反王政派相手に新憲法の受諾を迫る激しいやり取りが描かれています。

抵抗むなしく、反王政派に8カ月幽閉された簡素な「幽閉の間」でリリウオカラニ女王と再会したカイウラニは、愛する国民と国のため、アメリカを相手に孤独な戦いに挑みます。彼女の短い生涯を通して、ハワイ王朝から共和国、そしてハワイ州へと移り変わるハワイの激動の歴史を知ることができます。

『ハワイ王朝 最後のプリンセス
母国への想いと命をかけた恋、いま明かされる真実の物語。』
■Introduction

ハワイ王朝最後の王女として国と国民に忠誠と愛を誓い、彼らを守り抜くために戦い続けた悲劇のプリンセス、カイウラニの短い生涯と秘められた恋を描いたヒューマンドラマ。主人公・カイウラニ女王を演じるのは、『ニュー・ワールド』でそのエキゾチックな美貌が話題となったクオリアンカ・キルヒャー。また、カイウラニ女王を愛してしまうイギリス人・クライヴを『華麗なる恋の舞台で』で注目されたイギリスの新鋭ショーン・エヴァンスが演じる。その他、『プライベート・ライアン』のバリー・ペッパー、『アルマゲドン』のウィル・パットンなど実力派俳優が顔を揃えた。

■Story

カラカウア王の妹の娘として生まれたカイウラニ(クオリアンカ・キルヒャー)は、王家の養女となり、やがて国民に慕われる美しい王女へと成長する。しかし、1889年、ホノルルのイオラニ宮殿に初めて電気が引かれた夜、反王制派が反乱を起こす。身の安全を図るため、父親の旧友を頼ってイギリスへと渡ったカイウラニは、差別と偏見にさらされることになる。そんななか、イギリス人の青年、クライヴ(ショーン・エヴァンス)と恋に落ちるも、その幸せも長くは続かなかった。サンフランシスコに滞在していたカウラウア王が亡くなったのだ。クーデターが起きた祖国は混乱を極め…。

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しあわせの帰る場所
  • しあわせの帰る場所
  • 『しあわせの帰る場所』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:バップ
  • ■価格:¥3,800+税
  • 監督:デニス・リー
  • 出演:ライアン・レイノルズ ジュリア・ロバーツ ウィレム・デフォー エミリー・ワトソン 他
 
 

(C) 2007 Fireflies in the Garden Inc. All Rights Reserved.

父と子の闇と光を照らす蛍の庭

アメリカ・テキサス州の州都オースティンから車で1時間ほどにあるバストロップは、アメリカ合衆国国家歴史登録財指定の住宅が多く残された街。木で覆われた美しい並木道、手入れの行き届いた家々が並ぶ光景は、アメリカ人が抱く理想の家庭像を体現するにふさわしい場所なのかもしれません。

多感な12歳の少年時代とその17年後という2つの時代が並行して描かれる本作のテーマは、家族の絆。とはいえ、息子を支配しようとする父チャールズ、反発心を抱きながらも従わざるを得ない息子マイケル、両者をとりもつ母リサ、居候中の母の妹ジェーンというこの家族から温かな雰囲気は感じられず、広い家には寒々とした空気が漂っています。17年後、家主はジェーンの家族に変わり賑やかになり、マイケルも小説家として成功し久しぶりに帰郷します。しかし予期せぬ事故でリサが亡くなり、いまだわだかまりの残る父と子の関係は、仲裁者を失ったことで微妙に変化していくのです。

緊張感をはらんだ日常の中で、ドラマが生まれるのが庭でのシーン。蛍が飛び交う広い庭は少年時代のマイケルが威圧的な父に初めて立ち向かった場所であり、その後母を失うきっかけとなり、家族の絆を再び生み出す場所となります。映画の原題は“fireflies in the garden(庭の蛍)”。詩人ロバート・フロストの詩からインスピレーションを得たという監督は、上空の星の輝きと地上の蛍の輝きを対比させながら、父と息子の関係をじんわりと照らしていきます。ラスト、家族みんなが集う光景は蛍の一瞬の瞬きのように、じんわりと私たちの心に温かな灯をともすことでしょう。

『ライアン・レイノルズ、ジュリア・ロバーツ出演!』 ■Introduction

家族の葛藤と再生を描く、感動のヒューマン・ファミリー・ドラマ。第58回ベルリン国際映画祭にも正式出品された本作には、『ゴースト・エージェント/R.I.P.D.』『グリーン・ランタン』のライアン・レイノルズと、『白雪姫と鏡の女王』『食べて、祈って、恋をして』のジュリア・ロバーツ、『スパイダーマン2』『ジョン・カーター』のウィレム・デフォーなど豪華キャスト陣が揃った。そして監督を務めるのは、ジュリア・ロバーツがほれ込んだという才能の持ち主、デニス・リー。本作が初監督作品となる。

■Story

マイケル(ライアン・レイノルズ)は小説家。幼い頃から厳しかった父・チャールズ(ウィレム・デフォー)に今でも反発心を抱いている。家族の集まりをきっかけに17年振りに故郷に戻ったマイケルだが、その途中、思いがけない事故で母・リサ(ジュリア・ロバーツ)が亡くなってしまう。大切な存在を失い、深い悲しみに暮れる家族。優しかった母の死により父とマイケルの溝はますます深まっていく。そんな時、母の遺品整理をしていたマイケルは、リサの意外な秘密を見つけてしまう。果たして、長い間ばらばらに引き裂かれていた家族の絆を再び取り戻せるのだろうか。

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