イオラニ宮殿<ハワイ〜アメリカ>
ハワイ王国の栄華と激動の歴史を偲ぶ

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ハワイ王国最後の王女カイウラニの波乱の生涯を綴った『プリンセス・カイウラニ』で描かれるのは、地上の楽園というリゾート地のハワイではなく、ハワイが王国だった頃の知られざる歴史の一幕です。ホノルルのダウンタウンでは多くの史跡に触れることができますが、なかでも優美な姿でたたずむイオラニ宮殿は、アメリカで唯一王族の公邸といわれる場所。
1882年、ハワイが近代国家であることを示すため7代目君主・カラカウア王が建設したこの宮殿は、アメリカン・フローレンス様式を取り入れたクラシックな外観とは裏腹に、照明設備や水洗トイレ、電話を完備したかなり近代的な建物です。劇中ではハワイで初めて電燈を灯す点灯式で、まだ少女だったカイウラニがスイッチを押していましたが、エジソンが電気を発明してから7年後、アメリカのホワイトハウスよりも4年も前に電気を導入していたことからも、カラカウア王がいかに先進的な考えの持ち主だったかがわかります。
この点灯式で客人をもてなしたのが、宮殿1階の「大広間」です。ハワイの木材コアの大階段と歴代の王たちの肖像画が見守る重厚な空間ですが、映画ではこのほかにもホール右手にある「正賓室」やロココ復古調の「青の間」、左手にある赤や金を基調とした「王座の間」で、カラカウア王亡き後その座を引き継いだ妹リリウオカラニ女王が、反王政派相手に新憲法の受諾を迫る激しいやり取りが描かれています。
抵抗むなしく、反王政派に8カ月幽閉された簡素な「幽閉の間」でリリウオカラニ女王と再会したカイウラニは、愛する国民と国のため、アメリカを相手に孤独な戦いに挑みます。彼女の短い生涯を通して、ハワイ王朝から共和国、そしてハワイ州へと移り変わるハワイの激動の歴史を知ることができます。
母国への想いと命をかけた恋、いま明かされる真実の物語。』 ■Introduction
ハワイ王朝最後の王女として国と国民に忠誠と愛を誓い、彼らを守り抜くために戦い続けた悲劇のプリンセス、カイウラニの短い生涯と秘められた恋を描いたヒューマンドラマ。主人公・カイウラニ女王を演じるのは、『ニュー・ワールド』でそのエキゾチックな美貌が話題となったクオリアンカ・キルヒャー。また、カイウラニ女王を愛してしまうイギリス人・クライヴを『華麗なる恋の舞台で』で注目されたイギリスの新鋭ショーン・エヴァンスが演じる。その他、『プライベート・ライアン』のバリー・ペッパー、『アルマゲドン』のウィル・パットンなど実力派俳優が顔を揃えた。
■Storyカラカウア王の妹の娘として生まれたカイウラニ(クオリアンカ・キルヒャー)は、王家の養女となり、やがて国民に慕われる美しい王女へと成長する。しかし、1889年、ホノルルのイオラニ宮殿に初めて電気が引かれた夜、反王制派が反乱を起こす。身の安全を図るため、父親の旧友を頼ってイギリスへと渡ったカイウラニは、差別と偏見にさらされることになる。そんななか、イギリス人の青年、クライヴ(ショーン・エヴァンス)と恋に落ちるも、その幸せも長くは続かなかった。サンフランシスコに滞在していたカウラウア王が亡くなったのだ。クーデターが起きた祖国は混乱を極め…。