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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

ヒューゴの不思議な発明
  • ヒューゴの不思議な発明
  • 『ヒューゴの不思議な発明』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:パラマウント ジャパン
  • ■価格:¥1,429+税
  • 監督:マーティン・スコセッシ
  • 出演:エイサ・バターフィールド クロエ・グレース・モレッツ ベン・キングズレー 他
 
 

(C) 2011 Paramount Pictures. All Rights Reserved. TM, (R) & Copyright (C) 2013 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

サント・ジュヌヴィエーヴ図書館<パリ〜フランス>

鉄の魔術師が手掛けたフランスの知の殿堂


サント・ジュヌヴィエーヴ図書館(パリ〜フランス)

(C) Yvan Reitserof - Fotolia.com

1930年代のパリを舞台に、身寄りのない少年と過去と決別した孤独な老人が出会ったことで生まれる、ある奇跡を描いた映画『ヒューゴの不思議な発明』は、大のシネフィルで知られるマーティン・スコセッシ監督の映画愛がギュッと詰まった作品です。初めて3Dを用いた映像は映画黎明期の高揚感や当時のパリの息遣いを鮮やかに甦らせました。

機械人形が描いた“メリエス”の謎を求めて映画アカデミー図書館を訪れたヒューゴとイザベル。ここで2人は“映画特撮の父”ジョルジュ・メリエスを知るのですが、このシーンが撮影されたのが、カルチェ・ラタンにあるサント・ジュヌヴィエーヴ図書館です。19世紀の建築家アンリ・ラブルーストの傑作と言われるこの図書館、外観はルネッサンス様式のシンプルなものですが、館内は歴史を刻んだ重厚な家具と光のコントラストの美しい空間が広がっています。

製鉄技術の発達により鉄の利用が急速に広まった19世紀初頭、いち早くこれに注目したラブルーストは、鉄に優美なデザインを施すことで独特の世界観を生み出しました。円筒ヴォールトを連なる鉄柱で支えた閲覧室は、鉄柱を細く、そして繊細な装飾を施すことで圧迫感を感じさせず、光あふれる閲覧スペースを生み出しています。

古典的な様式と最先端の鉄骨造を組み合わせた優美なデザインと公共施設ならではの機能性を追求したラブルーストのこだわりは、2区にあるフランス国立図書館リシュリュー館でも見ることができます。どちらも所定の手続きを踏めば見学可能なので、フランスが誇る知の遺産に触れてみてはいかがでしょうか。

『ヒューゴの〈夢の発明〉にあなたは驚き、涙する。』 ■Introduction

世界各国でベストセラーを記録したブライアン・セルズニックの小説「ユゴーの不思議な発明」を実写映画化。第84回アカデミー賞では同年最多11部門にノミネート、5部門で受賞を果たした。父親が残した機械人形に隠された秘密を探る少年を描いた本格ファンタジー。監督は第79回アカデミー賞作品賞受賞作品『ディパーテッド』などをはじめ、数々の傑作を手掛けた巨匠、マーティン・スコセッシが務める。出演は『ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ』のエイサ・バターフィールドと『キック・アス』のクロエ・グレース・モレッツ。

■Story

“機械人形”が動き始めるとき、失われた夢が輝き出す―。1930年代のフランス、パリ。父親を火事で失ったヒューゴ(エイサ・バターフィールド)は駅の時計台に隠れ住み、駅の時計のネジを巻いて毎日を過ごしていた。ひとりぼっちのヒューゴの唯一の友達は、亡き父が遺した壊れたままの“機械人形”。その秘密を探るうちに、ヒューゴは機械人形の修理に必要な<ハートの鍵>を持った少女イザベル(クロエ・グレース・モレッツ)と、過去の夢を捨ててしまった老人ジョルジュ(ベン・キングズレー)に出会う。そして、ヒューゴの機械人形には、それぞれの人生と世界の運命をも変えてしまう秘密のメッセージが隠されていることを知る。

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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
  • ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
  • 『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
  • ■価格:¥1,429+税
  • 監督:スティーブン ・ダルドリー
  • 出演:トム・ハンクス サンドラ・ブロック トーマス・ホーン バイオラ・デイビス 他
 
 

(C) 2011 Warner Bros. Entertainment Inc.

少年の生き方を見守る子供部屋

家族を基本に考える日本では、子供が小学校に上がる頃に子供部屋をどうするかを考えます。しかし個人主義の欧米では赤ちゃんの時から子供部屋が与えられ、一人で眠るのが一般的。子供が自由に使える空間を早くから設けることで、子供の個性や自立を育てるという考え方だそうですが、この映画の主人公オスカーの部屋を見ればその意味も納得できるはず。

ニューヨークのアッパーウェストサイドにあるオスカーの家は、ドアマンが常駐する高級アパート。リビングやダイニング、夫婦の寝室の壁は白で統一されているのに、息子のオスカーの部屋だけが、スモーキーグリーンでまとめられています。宇宙、歴史、ロボット、昆虫…部屋に飾られているすべては彼の好奇心を刺激する世界の入り口。父の提案で失われたニューヨーク第6区の調査探検をしているオスカーは、壁にお手製の地図を貼り調査結果を並べています。

しかし、そんな彼のワクワクした毎日は9月11日を境に一変してしまいます。突然大好きな父を失い、楽しかったオスカーの世界は1年を経ても閉ざされたまま。しかし、偶然父のクローゼットで見つけた1本の鍵が、彼に再び閉ざした扉を開ける決心をさせるのです。ブラックという文字を手掛かりに電話帳と地図を広げ、ニューヨークに住む472人のブラックさんを訪ねようとするオスカー。人と関わるのが苦手ながらも、必死で答えを見つけ出そうとする不器用な彼の姿は、愛する人を奪われた者がその悲しみとどう折り合いをつけるかを克明に映し出しています。

自らの力で悲劇を克服しようとする子供と、そんな彼をそっと見守り続ける大人たち。子供部屋からスタートした少年のささやかな冒険とゴールまでの道のりは、「生きる」という意味を力強く教えてくれることでしょう。

『あの日父を失くした少年の、喪失と再生のものがたり』 ■Introduction

ベストセラーとなったジョナサン・サフラン・フォアによる同名小説を実写映画化。大好きな父親を突然失った少年が、父親の残した鍵の謎を探り奔走する姿を描いた感動の物語。出演は『キャプテン・フィリップス』のトム・ハンクス、『ゼロ・グラビティ』のサンドラ・ブロックら、アカデミー賞受賞俳優が揃った。主人公の少年・オスカー役には本作で映画初出演となったトーマス・ホーン。監督は『リトル・ダンサー』『愛を読むひと』など多くの感動作を生み出してきた名匠、スティーヴン・ダルドリーが務める。

■Story

オスカー(トーマス・ホーン)とその父であるトーマス(トム・ハンクス)は、親子であると同時に親友でもあり、また、不器用なオスカーの個性を壊さすことなく導いてくれる頼もしい師でもあった。そんな2人を優しく見守る母親のリンダ(サンドラ・ブロック)。幸せな日々を送るオスカーだったが、突然大好きな父を亡くしてしまう。父の死後、心を閉ざしてしまったオスカーは、ある日、父が遺した一本の鍵を見つける。その鍵に父の最後のメッセージが込められていると信じたオスカーは、鍵穴を探す旅に出る。鍵の入っていた封筒に書かれた文字に従い、ニューヨーク中の“ブラックさん”を訪ね歩くうちに、いつしかオスカーの辿った軌跡が人と人とをつなぐ大きく温かい輪になっていく。

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