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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

ローマの休日
  • ローマの休日
  • 『ローマの休日』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:パラマウント ジャパン
  • ■価格:¥1,429+税
  • 監督:ウィリアム・ワイラー
  • 出演:グレゴリー・ペック オードリー・ヘプバーン エディ・アルバート 他
 
 

TM & Copyright (C) 1953 Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved. TM, (R) & Copyright (C) 2014 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

バルベリーニ宮(国立古典絵画館)<ローマ〜イタリア>

バロックの名手たちが競演した名画の館


バルベリーニ宮(国立古典絵画館)(ローマ〜イタリア)

(C) phant - Fotolia.com

若き王女と新聞記者の切ない1日の恋を描いたウィリアム・ワイラー監督の『ローマの休日』。当時無名の女優だったオードリー・ヘプバーンを一躍スターにした本作。61年が経った今でも彼女の気品とキュートさは色あせていませんが、劇中でアン王女が巡ったローマもまた“永遠の都”にふさわしく私たちを惹きつけてやみません。

ローマのバロック建築の中で最も美しいものの一つとされるバルベリーニ宮は、アン王女が滞在する某国大使館として使われた場所。17世紀にローマ教皇を輩出したフィレンツェの貴族バルベリーニ家のために作られたもので、サン・ピエトロ大聖堂のファサードを手掛けたカルロ・マデルノが設計し、彼の亡きあとは8人の教皇に愛されたジャン・ロレンツォ・ベルニーニと彼のライバルであるフランチェスコ・ボッロミーニが完成させました。イタリアの三大バロック建築家が関わったという何とも贅沢な建物ですが、映画では建物よりも、アン王女が逃げ出し、翌日ブラッドリーとの別れの場面で映し出された正門のほうが印象的です。

1949年に政府に寄付されて以降、現在は国立古典絵画館となり、ラファエロの『フォルナリーナ』、カラヴァッジョの『ホロフェルネスの首を斬るユーディット』『ナルキッソス』、ホルバインの『ヘンリー8世の肖像』など13世紀から18世紀にかけての名画を楽しむことができますが、ベルニーニが手掛けた「四角い井戸」と呼ばれる大階段や、大広間にあるピエトロ・ダ・コルトーナの天井画『神の摂理の勝利』など、趣向を凝らした見事な装飾も一見に値する価値があります。

『永遠に続く、たった一日の恋。』 ■Introduction

王女と新聞記者の切ない1日の恋を描いた不朽の名作。監督は『ミニヴァー夫人』『我等の生涯の最良の年』『ベン・ハー』でアカデミー賞監督賞を受賞し、ハリウッド黄金期に活躍した名監督として知られるウィリアム・ワイラー。主演は、『アラバマ物語』でアカデミー賞、ゴールデングローブ賞で主演男優賞を受賞したグレゴリー・ペックと、当時、無名の新人であった『麗しのサブリナ』『ティファニーで朝食を』のオードリー・ヘプバーン。オードリー・ヘプバーンは本作で1953年度アカデミー賞の最優秀主演女優賞を受賞した。

■Story

ヨーロッパ最古の王室の王位継承者であるアン王女(オードリー・ヘプバーン)は、公務に縛られた毎日にうんざりして、親善旅行で訪れたローマの宮殿から脱走する。そんな彼女と偶然出会ったアメリカ人の新聞記者ジョー(グレゴリー・ペック)は、突如転がり込んだ大スクープのチャンスに意気込む。王女であることに気が付かないふりをしてローマのガイド役を買って出たジョーは、市外観光にはしゃぐアンの姿を同僚のカメラマンにこっそりと撮影させるのだった。束の間の自由とスリルを満喫するうち、次第にアンとジョーの間に恋心が芽生えるが…。

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【DVD】ペンギン夫婦の作りかた
  • 【DVD】ペンギン夫婦の作りかた
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  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:バップ
  • ■価格:¥3,500+税
  • 監督:平林克理
  • 出演:小池栄子/ワン・チュアンイー/深水元基/山城智二(FEC)/田仲洋子/大田享(FEC)/與那嶺望/松田幸恵(2012 be-o☆Girls)/浜秀彌 他
 
 

(C) 2012「ペンギン夫婦の作りかた」製作委員会

おいしいはうれしい。ヌチグスイを生み出す食卓

「ラー油は餃子にかけるもの」という日本人の概念を変えた「食べるラー油」。その火付け役となった辺銀食堂の「石垣島ラー油」誕生の秘密と、それを生み出した辺銀夫妻の絆を中国人のご主人の帰化を軸に描いた本作は、見終わった後におなかも心も満たされる作品です。

旅行で石垣島に出かけた際、すっかり魅了されてしまった中国人のカメラマン・ギョウコウとフリーライター・歩美の夫婦。2人が石垣島で新たに見つけた住まいは、島の南東の海岸沿いに建つ3LDKの平屋。防風林と堤防の間のスペースに置かれたラタンの長椅子が目印のこの家は、全面縦羽目板張りで床もフローリングと木のぬくもりにあふれています。アフリカのカゴやすだれ、カウンターに仲良く並んだ2つのパイナップルなどナチュラルな空間に彩りを与えているのが、プリミティブなテーブルに並ぶたくさんの料理です。青パパイヤの炒め物、水餃子、ナムル、サーターアンダギー、島豆腐とザーサイ和え…。どれもきちんと手をかけたご飯は、それだけで十分おいしいのですが、さらに引き立てるのがこのダイニングから生まれた夫婦特製のラー油です。

沖縄には「食は命の薬(ヌチグスイ)」という言葉がありますが、島トウガラシ、ウコン、ピパーチ(島こしょう)、ニンニク、白ごま、黒豆、サンショウなど、太陽と土と海の力をいっぱいに吸い込んだ島の食材をふんだんに使ったラー油はまさに“ヌチグスイ”。実は劇中に登場する料理はすべて映画のモデルである辺銀夫妻、暁峰さんと愛理さんの手作りだそう。映画で夫婦を演じた小池栄子とワン・チュアンイーの豪快な食べっぷりも相まって、食の楽しさを存分に味わわせてくれます。帰化に伴い2人が名づけた新しい苗字「辺銀」とは奥さんの大好きな動物が由来ですが、映画のラストに明かされるもうひとつの理由は私たちをほんわかと幸せな気分に包んでくれることでしょう。

『石垣島の“食べるラー油”に隠された、ちょっぴりカラい、とっておきのお話』 ■Introduction

大ヒット商品「食べるラー油」の原点である“辺銀食堂の石垣島ラー油”を作った夫婦の実話をもとに実写映画化。食べるラー油の誕生秘話と南の島での自由で楽しいライフスタイル、夫婦を取り巻く人々の優しい気持ちを描いたハートウォーミングストーリー。主人公の“ペンギン夫婦”を演じるのは、『八日目の蝉』『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』で第85回キネマ旬報ベスト・テン助演女優賞を受賞した小池栄子と、台湾の人気俳優ワン・チュアンイー。監督は『ラブクラフト・ガール』の平林克理が務めた。

■Story

東京でフリーライターとして働いていた歩美(小池栄子)は、中国で出会ったカメラマン(ワン・チュアンイー)と国際結婚をする。しかし、会社が倒産し夫は職を失ってしまう。落ち込む彼の気晴らしにと石垣島に旅行へ出かけた2人は、大自然、人々の温かい心、そして美味しい食材にすっかり魅了され、移住することに。職のアテもない2人は共通の趣味である“食”を生かして、石垣島の食材を使った全く新しいラー油を作ろうと思い立つ。しかし、苦労しながらも気持ちを込めて作ったラー油はなかなか売れない。それでも前向きな2人に新たなチャンスが舞い込む。

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