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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

ロッキー・ザ・ファイナル <特別編>
  • ロッキー・ザ・ファイナル <特別編>
  • 『ロッキー・ザ・ファイナル <特別編>』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント
  • ■価格:¥2,381+税
  • 監督・脚本:シルベスター・スタローン
  • 出演:シルベスター・スタローン バート・ヤング ジェラルディン・ヒューズ マイロ・ヴィンティミリア 他
 
 

(C) 2010 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

フィラデルフィア美術館<フィラデルフィア〜アメリカ>

“ロッキー・ステップ”の奥に広がる名画の世界


フィラデルフィア美術館(フィラデルフィア〜アメリカ)

(C) Samuel Borges - Fotolia.com

無敵のチャンピオンとの無謀な試合に挑むことになった三流ボクサー、ロッキーの戦いを描いた映画『ロッキー』は、物語同様に脚本・主演を務めた当時無名のシルベスター・スタローンを一躍スターダムへと押し上げた、まさにアメリカンドリームの代名詞ともいえる作品です。この『ロッキー』シリーズといえば、ビル・コンティが手掛けた「ロッキーのテーマ」に乗せて階段を駆け上がるシーンが有名ですが、輝かしい過去を胸に階段を駆け上がる熟年ロッキーの姿には思わず涙腺も緩んでしまうでしょう。

この場面が撮影されたフィラデルフィア美術館は、多くの名画を所蔵するアメリカ五大美術館のひとつで、1876年にアメリカ建国百周年を記念して開かれたフィラデルフィア万博のメモリアルホールがその始まりとされています。新古典主義の堂々たるファサードが印象的な現在の建物は、ハーバード大学のワイドナー記念図書館などを手掛けたホレス・トランバウアーらにより1928年に完成しました。館内には200室以上の展示室に22万点以上の常設コレクションが展示されており、ゴッホの「ひまわり」、セザンヌの「大水浴」など傑作揃いの絵画をはじめ、工芸品、日本の茶室やフランスの修道院の移築など、古代から現代美術まで、あらゆる分野、時代、地域の作品に触れることができます。

そんな長い歴史を持つこの美術館ですが、2006年より増築、リノベーションが進行中です。10年に及ぶこの一大プロジェクトを手掛けるのは、ビルバオ・グッゲンハイム美術館で知られる奇才フランク・ゲーリー。窓を設け光溢れる広々とした空間へと変身を遂げる美術館ですが、残念ながら多くの観光客がロッキーの真似をする階段“ロッキー・ステップ”は一部が削られてしまうのだとか。こちらはまだ最終決定ではないようですが、奇才が生み出す新たな美術館が待ち遠しい反面、ロッキーファンにはちょっと寂しいニュースです。

『自分をあきらめない』 ■Introduction

世界中で大ヒットを記録した歴史的な名作『ロッキー』の続編で最終章。第1作目から30年の時を経た本シリーズは、今やアメリカを代表するアクションスターとなったシルベスター・スタローンを、一躍スターダムへと押し上げ、映画界における“アメリカンドリーム”の代名詞となっている。本作でもスタローンは監督、脚本、出演の三役をこなし、一度は現役を引退したボクサーが、一念発起してプロ・ボクサーに復帰し、無謀とも思える夢へ挑戦する姿を描いた。

■Story

30年前に世界ヘビー級王者アポロ・クリードと大熱戦を繰り広げたロッキー・バルボア(シルベスター・スタローン)。ボクシング界の栄光の階段をのぼりつめたロッキーだったが、今はリングを去り、地元フィラデルフィアでイタリアン・レストラン「エイドリアンズ」を経営し、客の求めに応じて現役時代の昔話を語って聞かせる日々を送っていた。愛する妻エイドリアンはガンで亡くなり、息子も家を飛び出したまま、ロッキーと顔を合わせることはない。ある日、なじみのバーに立ち寄ったロッキーは、マリー(ジェラルディン・ヒューズ)という女性に出会う。

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ぼくたちの家族 通常版
  • ぼくたちの家族 通常版
  • ぼくたちの家族 通常版
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:TCエンタテインメント
  • ■価格:¥3,800+税
  • 監督・脚本:石井裕也
  • 出演:妻夫木聡 池松壮亮 原田美枝子 長塚京三 黒川芽以 ユースケ・サンタマリア 鶴見辰吾 板谷由夏 市川実日子 他
 

(C) 2013「ぼくたちの家族」製作委員会

母の非常事態で浮き彫りになる「家族」と「個性」

『舟を編む』『バンクーバーの朝日』など今最も注目されている若手監督・石井裕也。人間の弱さや愚かさを独特のユーモアで包み、魅力的な人間像を描いてきた彼が、本作で真正面から描くのが“家族”です。 郊外の一軒家に住む父と母、結婚して家を出た長男と大学生の次男という若菜家。ある日、母の脳腫瘍(しゅよう)が発覚、余命1週間だと判明する。母の非常事態を前に、男たちは激しく動揺します。大黒柱なのにただオロオロするばかりの父、どこか他人事な次男・俊平、そして一人ですべてを抱え込む長男・浩介。さらに、この最悪のタイミングで両親が多額の借金を抱えていることが発覚し…。

物語は、差し迫る母のタイムリミットと借金というダブルパンチに見舞われた一家の“悪あがき”を通して、再び家族を構築するさまが描かれます。郊外の大きな一戸建てに暮らし、息子とも仲がよい母。しかし病気のために少女のようになってしまい、「郊外の家を買うの、本当は反対だった」「浩介がひきこもりになったときは苦しかったな」「お父さん、全然稼いでくれなかったの」など、これまで口にしてこなかった本音をあっけらかんとして家族にぶちまけます。

見ているこちらも顔をゆがめるほど必死な浩介とは対照的に、天真爛漫な母と冷静な俊平。2人の存在が家族の緩和剤となって、物語は“死”という深刻な状況に直面しながらもどこか前向きです。「こんな時だから笑おうよ」という母の言葉を胸に、男たち3人はとにかく走ります。目の前の不安を打ち消すために、勇気を奮い起こすために。声高に伝えなくとも根底で家族はつながっている―。並んで走る3人がそれを物語っているようで、心がじんわりと温かくなります。

『突然告げられたお母さんの余命。
その日から、ぼくたちは奇跡を信じて動き出した―。』
■Introduction

日本映画の未来を担う若手俳優とベテラン演技派俳優の競演でおくる、実話から生まれた希望の物語。新進気鋭の作家、早見和真が自身の体験をもとに書き上げたという同名小説を、映画『舟を編む』で日本の映画賞を総なめにした石井裕也監督が、自ら脚本を書き上げて映画化。これまで自身が描き続けてきた「家族」というテーマに全力で挑んだ。主演を務めるのは幅広い層から愛される実力派俳優、妻夫木聡。マジメな性格がゆえに、過去には引きこもりにもなったが、母親の病をきっかけに家族を背負って立ち、たくましく変わっていく長男の浩介を演じる。

■Story

父と母、息子2人の平凡な家族、若菜家。しかし、ある日突然、母・玲子(原田美枝子)に末期の脳腫瘍(しゅよう)が見つかる。余命1週間と診断され、父(長塚京三)は取り乱し、長男の浩介(妻夫木聡)は言葉を失くし、次男の俊平(池松壮亮)は冷静を装う。母の記億は病のせいで曖昧になっていき、息子の浩介さえも誰かわからなくなるほど。振る舞いも少女のようになっていき、ひた隠しにしてきた家族への不満や本音を暴露する。さらには、父の多額のローンと母のサラ金通いが発覚し、浩介は自分たちの家族がとっくに壊れていたことを思い知る。

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