フィラデルフィア美術館<フィラデルフィア〜アメリカ>
“ロッキー・ステップ”の奥に広がる名画の世界

(C) Samuel Borges - Fotolia.com
無敵のチャンピオンとの無謀な試合に挑むことになった三流ボクサー、ロッキーの戦いを描いた映画『ロッキー』は、物語同様に脚本・主演を務めた当時無名のシルベスター・スタローンを一躍スターダムへと押し上げた、まさにアメリカンドリームの代名詞ともいえる作品です。この『ロッキー』シリーズといえば、ビル・コンティが手掛けた「ロッキーのテーマ」に乗せて階段を駆け上がるシーンが有名ですが、輝かしい過去を胸に階段を駆け上がる熟年ロッキーの姿には思わず涙腺も緩んでしまうでしょう。
この場面が撮影されたフィラデルフィア美術館は、多くの名画を所蔵するアメリカ五大美術館のひとつで、1876年にアメリカ建国百周年を記念して開かれたフィラデルフィア万博のメモリアルホールがその始まりとされています。新古典主義の堂々たるファサードが印象的な現在の建物は、ハーバード大学のワイドナー記念図書館などを手掛けたホレス・トランバウアーらにより1928年に完成しました。館内には200室以上の展示室に22万点以上の常設コレクションが展示されており、ゴッホの「ひまわり」、セザンヌの「大水浴」など傑作揃いの絵画をはじめ、工芸品、日本の茶室やフランスの修道院の移築など、古代から現代美術まで、あらゆる分野、時代、地域の作品に触れることができます。
そんな長い歴史を持つこの美術館ですが、2006年より増築、リノベーションが進行中です。10年に及ぶこの一大プロジェクトを手掛けるのは、ビルバオ・グッゲンハイム美術館で知られる奇才フランク・ゲーリー。窓を設け光溢れる広々とした空間へと変身を遂げる美術館ですが、残念ながら多くの観光客がロッキーの真似をする階段“ロッキー・ステップ”は一部が削られてしまうのだとか。こちらはまだ最終決定ではないようですが、奇才が生み出す新たな美術館が待ち遠しい反面、ロッキーファンにはちょっと寂しいニュースです。
世界中で大ヒットを記録した歴史的な名作『ロッキー』の続編で最終章。第1作目から30年の時を経た本シリーズは、今やアメリカを代表するアクションスターとなったシルベスター・スタローンを、一躍スターダムへと押し上げ、映画界における“アメリカンドリーム”の代名詞となっている。本作でもスタローンは監督、脚本、出演の三役をこなし、一度は現役を引退したボクサーが、一念発起してプロ・ボクサーに復帰し、無謀とも思える夢へ挑戦する姿を描いた。
■Story30年前に世界ヘビー級王者アポロ・クリードと大熱戦を繰り広げたロッキー・バルボア(シルベスター・スタローン)。ボクシング界の栄光の階段をのぼりつめたロッキーだったが、今はリングを去り、地元フィラデルフィアでイタリアン・レストラン「エイドリアンズ」を経営し、客の求めに応じて現役時代の昔話を語って聞かせる日々を送っていた。愛する妻エイドリアンはガンで亡くなり、息子も家を飛び出したまま、ロッキーと顔を合わせることはない。ある日、なじみのバーに立ち寄ったロッキーは、マリー(ジェラルディン・ヒューズ)という女性に出会う。