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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

ローマ法王の休日
  • ローマ法王の休日
  • 『ローマ法王の休日』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売元:ギャガ
  • ■販売元:ハピネット
  • ■価格:¥3,800+税
  • 監督:ナンニ・モレッティ
  • 出演:ミシェル・ピッコリ イエルジー・スチュエル レナート・スカルパ ナンニ・モレッティ マルゲリータ・ブイ 他
 
 

(C) Sacher Film . Fandango . Le Pacte . France 3 Cinema 2011

システィーナ礼拝堂<バチカン〜イタリア>

ミケランジェロ渾身の作品に圧倒される教皇の礼拝堂


システィーナ礼拝堂(バチカン〜イタリア)

(C) fusolino - Fotolia.com

『息子の部屋』でパルムドールを受賞したナンニ・モレッティが、世界で約10億人の信者がいるといわれるローマ・カトリック教会の最高位であるローマ法王(教皇)を主人公に描いたのは、法王版“ローマの休日”。ヴェールに包まれた聖職者たちの人間くさい姿をモレッティらしいシニカルとユーモアを交えて映し出しています。

本作の舞台となったシスティーナ礼拝堂は、1481年、ローマ教皇シクストゥス4世の命により法皇専用の礼拝堂としてヴァチカン宮殿内に建設されました。華美な装飾がひときわ目をひく総本山のサン・ピエトロ大聖堂に対し、システィーナ礼拝堂はレンガ造りの長方形で、外観は法王専用の建物としては意外にも簡素です。しかしながら、天才ミケランジェロが描いた巨大な祭壇画が迎える礼拝堂内部は、息をのむほどの美しさ。旧約聖書の創世記をメインテーマに、総面積500平方メートルを超える巨大なフレスコ画「天井画」と、新約聖書に記された人類終末のドラマを描出した縦14.5m、横13mの巨大な壁画、「最後の審判」。絵画という未知の分野に苦労しながらも、途方もない大きな舞台を大胆に使ったミケランジェロの発想力や、総勢約750人余りの人物を表情豊かに描きわけた巧みな筆遣いは圧巻。修復を経て、より色鮮やかに蘇った空間は、まるで天上の世界にいるかのような神々しさに満ちています。

このシスティーナ礼拝堂で行われるコンクラーヴェ(法王選挙)で、図らずも新法王に選ばれてしまったメルヴィルは、プレッシャーのあまりにローマの街に逃亡! 『ローマの休日』のアン王女とは対照的に、憂鬱(ゆううつ)な気分でローマをさまようメルヴィルの葛藤が見どころ。コンクラーヴェで新聞や電話、パソコンなど外部との接触を禁止されている枢機卿たちのユニークな過ごし方にも注目です。

『神さま、なぜ、私なんですか?』 ■Introduction

監督は、『息子の部屋』『親愛なる日記』のナンニ・モレッティ。自ら脚本、演出、出演までをもこなし、その創作スタイルと現代が抱える問題を人間的な視点でユーモラスかつシニカルに描く作家性によって、“イタリアのウディ・アレン”とも呼ばれる。そのモレッティ監督が、100本以上の作品に出演しているフランス映画界の重鎮、ミシェル・ピッコリを主演に迎えて描く、コミカルにして深遠なドラマ。本作は2011年カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、イタリア、フランスでもスマッシュヒットを飛ばしている。美しい映像、そしてイタリアの華麗にして繊細な文化、法王を“悩める一人の人間”として描く。

■Story

ローマ法王死去後、ヴァチカンで法王選挙(コンクラーヴェ)が開催された。聖ペドロ広場には、新法王の誕生を祝福しようと民衆が集まり、世紀の瞬間を心待ちにしている。そんななか、投票会場のシスティーナ礼拝堂に集められた各国の枢機卿たちは、全員が必死に祈っていた。「神様、一生のお願いです。どうか私が選ばれませんように―」。祈りも空しく新法王に選ばれてしまったメルヴィル(ミシェル・ピッコリ)は、バルコニーにて大観衆を前に演説をしなければならなかったが、あまりのプレッシャーからローマの街に逃げ出してしまった。あわてた事務局広報は、街中に捜索の網を張るが…。

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  • ■販売元:KADOKAWA
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  • 監督:ミシェル・ゴンドリー
  • 出演:ガエル・ガルシア・ベルナル シャルロット・ゲンズブール アラン・シャバ ミュウ=ミュウ ピエール・ヴァネック 他
 

(c)2006 Gaumont/Partisan Films/Mikado Film. All Rights Reserved.

妄想男子が夢見る世界

『エターナル・サンシャイン』で“記憶”をテーマに別れた恋人たちの切ない恋を描いたミシェル・ゴンドリー監督の長編3作目は、“睡眠”がカギとなる妄想男子のラブ・ストーリーです。父親の死をきっかけに、メキシコから母親が暮らすパリへとやってきたステファン。慣れないフランス語や想像と違う退屈な仕事に辟易(へきえき)していた彼の世界は、ある日、隣に越してきたステファニーという女性に出会ってからバラ色に輝き始めます。

夢と現実を自由に行き来するステファンには、大事な部屋があります。それは、自分の部屋。ガイコツ、地球儀、1秒タイムマシーンやテレパシー装置といった自慢の発明品、母親が置いていった大量のセロファンやキャップのふた…まるでオモチャ箱をひっくり返したような子供部屋です。彼は窮屈なベッドの中で、もう一つの世界、“夢の中のスタジオ”へ出かけます。そこはつまらない同僚が歌い踊り、クールなステファニーは彼に愛をささやく――なんでも思い通りにいく自分だけの世界。卵の容器を敷き詰めたスタジオの壁、段ボールのカメラとモニター、バスタブに満たされるセロファンのお湯、空に浮かぶ綿の雲、ぬいぐるみの馬…。クラフト感溢れる小道具とストップモーションがもたらすファンタジックな世界観は、これまでビョーク、ケミカル・ブラザーズ、レディオヘッドなどのPVで独特の映像美を造り出してきたゴンドリーの真骨頂です。

夢を現実と混同してしまうステファンは、ともすると厄介な存在ですが、ガエル・ガルシア・ベルナルはステファンを純粋な青年へと昇華させました。「不器用で繊細なステファンは、まさに僕そのもの」というゴンドリーが描き出す、イマジネーション豊かな世界をお楽しみください。

『夢でもし会えたら』 ■Introduction

映画『エターナル・サンシャイン』でアカデミー賞脚本賞を受賞した鬼才、ミシェル・ゴンドリー監督が、シャイで引っ込み思案な青年の恋愛妄想をコミカルに描くラブ・コメディ。とびきりキュートな愛の物語は、2006年サンダンス映画祭で会場を沸かせ、大きな話題となった。主人公のステファンを演じるのは、『バベル』で主要キャストを演じたガエル・ガルシア・ベルナル。ステファンが恋する隣人のステファニー役には、ジェーン・バーキンの娘である、女優のシャルロット・ゲンズブールが扮する。

■Story

仕事も恋愛もうまくいかず、パッとしない人生を送ってきた青年・ステファン(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、父親の死をきっかけに、長年暮らしてきたメキシコから母親の住むパリへ帰郷する。そんな時、ステファンの隣にも新しい住人・ステファニー(シャルロット・ゲンズブール)が引っ越してくる。やがてステファンはステファニーへ恋心を抱くようになるが、シャイなステファンの恋はなかなかうまくいかない。せめて眠っている間だけでも彼女に会いたいと、理想的な夢ばかり見るステファンだが、次第に夢での出来事を現実だと思いこむようになっていく…。

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