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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

ワイルド・スピード EURO MISSION
  • ワイルド・スピード EURO MISSION
  • 『ワイルド・スピード EURO MISSION』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
  • ■価格:¥1,429+税
  • 監督:ジャスティン・リン
  • 出演:ヴィン・ディーゼル ポール・ウォーカー ドウェイン・ジョンソン ミシェル・ロドリゲス ジョーダナ・ブリュースター 他
 
 

Film (C) 2013 Universal Studios. All Rights Reserved.
※2015年11月の情報です。

オールド・ビリングスゲート<ロンドン〜イギリス>

最先端のロンドンを感じられる旧魚市場


オールド・ビリングスゲート(ロンドン〜イギリス)

(C) Alan Reed - Fotolia.com

荒唐無稽なアイデアと度肝を抜く迫力のカーアクションが魅力の『ワイルド・スピード』シリーズ。6作目の本作はヨーロッパが舞台です。死んだと思われた恋人のレティを奪還するため、元軍人のテロリスト、ショウの捕獲に協力することになったドミニクと仲間たちは、ショウを追ってロンドンに乗り込みます。ロンドン塔のほど近く、ロウワー・テムズ・ストリートにあるオールド・ビリングスゲートは、ドウェイン・ジョンソン演じるFBI特別捜査官のホブスと、ドミニクの仲間であるテジが車調達のために訪れた場所でした。劇中では車の展示場として登場しましたが、もともとは英国最大(内陸部)の魚市場でした。屋根の風見鶏ならぬ魚のオブジェが当時の活気をしのばせます。

1875年、タワー・ブリッジの設計で名高いホーレス・ジョーンズにより建設されたオールド・ビリングスゲート(旧ビリングスゲート・フィッシュ・マーケット)は、連続するアーチ、グレーの柱と黄色のレンガとのコントラストが軽快な外観の建物。今では多目的スペースとしてファッションショーや展示会、会議などさまざまな用途に使われていますが、当時はアーチ型天井が特徴の地下「The Vault」で甲殻類を、ガラスの天井が美しいメインフロアー「The Grand Hall」では鮮魚を、上階の「The Gallary」では干物を取り扱っていたのだとか。

1982年に魚市場がロンドン東のカナリア埠頭に移転すると、オールド・ビリングスゲートはミレニアム・ドームやポンピドゥセンターなどで知られるリチャード・ロジャースによって多目的スペースへと改装されました。ロンドンの保護対象建築「gradeII」に指定されているこの建物をはじめ、この通りには保護対象建築の建物が多く残されています。近くのロンドン塔やタワー・ブリッジを訪れる際に歴史ある建物を眺めながらそぞろ歩くのも楽しいでしょう。

『ついに、欧州上陸』 ■Introduction

重力を無視した高速回転クラッシュと、目を疑うような超絶カーチェイスで世界中を熱狂させてきた人気カーアクション『ワイルド・スピード』シリーズの第6作目。主人公であるヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカーはもちろん、前作『ワイルド・スピード MEGA MAX』で結成されたシリーズ・オールスターメンバーが集結している。アクション、スケール、サプライズ、すべてが詰め込まれた、規格外エンターテインメント!さらなる進化を遂げた本作の監督は、前々作・前作のメガホンを取り、好評だったジャスティ・リンが務める。

■Story

リオデジャネイロの犯罪王から100億円をまんまと強奪し、逃亡生活を過ごしていたドミニク(ヴィン・ディーゼル)の前に、かつて彼を追っていたFBI特別捜査官ホブス(ドウェイン・ジョンソン)が現れる。ホブスは高度な運転技術を用いて世界各国でスケールの大きな犯罪を繰り返す巨大犯罪組織を壊滅させるために、ドミニクとそのチームに協力を要請する。さらに、ホブスは死んだはずのドミニク元恋人・レティ(ミシェル・ロドリゲス)が生きており、その犯罪組織に関わっていると口にする。ドミニクは、ブライアン(ポール・ウォーカー)をはじめとする凄腕ドライバーを招集し、すべての謎を解き明かすため、ヨーロッパに降り立つ。

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わが母の記
  • わが母の記
  • 『わが母の記』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:キングレコード
  • ■価格:¥3,800+税
  • 監督:原田眞人
  • 出演:役所広司 樹木希林 宮アあおい 南 果歩 キムラ緑子 他
 

(C) 2012「わが母の記」製作委員会

奥深い親子の愛に涙する、小説家がつづった10年にわたる家族の物語

『クライマーズ・ハイ』などで知られる原田眞人監督が、昭和の文豪・井上靖の自伝的小説「わが母の記」を映画化した本作は、認知症を患った母親と、その家族の葛藤と絆を描いた年代記です。

昭和の上流家庭の端正な暮らしぶりと、3世代の心の機微を丁寧にすくい取った美しい映像のなかでも、ひときわ印象に残るのはこの物語の舞台となった洪作の家です。役所広司演じる伊上洪作は井上靖自身がモデルであり、本作の撮影も実際に井上氏が家族とともに暮らした東京・世田谷の自宅と、伊豆・湯ヶ島の別荘を中心に行われました。1957(昭和32)年に建てられた木造二階建てのこの家で目を引くのは、壁一面に造りつけられた書棚が並ぶ約30畳の応接間。古典から近代文学まで幅広い蔵書が天井まで整然と並ぶ光景は、いかにも作家らしい佇まい。この応接間の隣にある、文机がひとつ置かれた書斎のシーンでは、画面から数々の名作を生み出してきた昭和の大作家の気配が立ち上ってくるようで、独特の趣があります。

父親の死を機に、どんどん記憶が薄れていく母親・八重と向き合うことになった洪作とその家族。目が離せない日常は大変ながら、妻と3人の娘、洪作の2人の妹たちの華やかさと快活なやりとりが映画全体を明るく照らし、どこか楽しげでさえあります。幼い頃に母に捨てられたという苦い思いを胸に抱える洪作に、いまはもう息子の顔もわからなくなった母がふと口ずさむ言葉。その何気ない言葉に隠された母の深い愛に私たちは洪作同様、ハッとし、目頭を熱くさせることでしょう。3世代の暮らしを無駄のない美しい映像で描いた本作は、上質な文学のように深い余韻をもたらします。

『たとえ忘れてしまっても、きっと愛だけが残る。』 ■Introduction

昭和の文豪・井上靖の自伝的小説「わが母の記」を、『突入せよ!「あさま山荘」事件』『クライマーズ・ハイ』を手掛けた実力派監督・原田眞人監督が映画化。役所広司、樹木希林、宮アあおいという豪華キャストで、10年にわたる親子・家族の愛を描く。撮影は東京都世田谷区(終了後、旭川へ移築)にあった実際の井上邸を使用。数々の名作が生まれた書斎もそのまま登場しており、文豪と家族の息づかいまでを写し撮る。第35回モントリオール世界映画祭ワールド・コンペティション部門で審査員特別グランプリを受賞したほか、樹木希林が第36回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞している。

■Story

小説家の伊上洪作(役所広司)は、幼少期に一人だけ両親と離れて暮らしていた。「僕だけが捨てられたようなものだ」と軽い口調で話す伊上だが、本心ではその思いをずっと引きずっていた。そんななか、父親(三國連太郎)の訃報が入る。母親の八重(樹木希林)は物忘れがひどくなっており、誰が誰かも分からなくなっていた。自分を捨てた母親を許してはいないけれど、伊上をはじめ家族は八重が元気なだけで満足だった。ある朝、母親との確執を乗り越えようと思った伊上は、離れて暮らしていた時のことを問いつめる。だが、八重の口からこぼれたのは、伊上が想像もしなかったある思いだった。

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