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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

海街diary
  • セブン・イヤーズ・イン・チベット
  • 『セブン・イヤーズ・イン・チベット』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
  • ■価格:¥1,410+税
  • 監督:ジャン=ジャック・アノー
  • 出演:ブラッド・ピット デヴィッド・シューリス B・D・ウォン
    ダニー・デンゾンパ ヴィクター・ウォン 他

(C)BUENA VISTA PICTURES DISTRIBUTION and SPYGLASS ENTERTAINMENT GROUP,LP

ポタラ宮(ラサ〜中国)

天空の町にそびえるチベット仏教の総本山


パワーズコート(アイルランド)

(C)hakat

海抜4000メートル以上の山々が連なり「世界の屋根」と称されるチベット。その首都ラサにあるポタラ宮は、富士山とほぼ同じ標高3700メートルにそびえ立ち、その凛(りん)とした姿から「垂直のベルサイユ」と称されています。サンスクリット語のポタラカ(観音菩薩の住まう場所)に由来するポタラ宮は、東西約360メートル、南北300メートル、総面積41平方キロメートルにも及ぶ13階建ての巨大な宮殿。単体としては世界最大級の建築物で、1994年には世界遺産にも登録されました。

7世紀に吐蕃(とばん)王朝の創始者ソンツェン・ガンポ王が築いた宮殿を基に、ダライ・ラマ5世が50年の歳月をかけて1969年に完成させたポタラ宮は、白壁の白宮が歴代のダライ・ラマの住居および政務を、また赤壁の紅宮が宗教儀礼をつかさどっていました。1000部屋以上もある迷路のように入り組んだ宮殿内部は、チベット建国史や神話、人々の暮らしぶりなどが描かれた壁画が彩る極彩色の世界。中でも歴代ダライ・ラマを祭る紅宮の供養塔は3トンを超す黄金と宝石で飾られ、その荘厳華麗な光景は極楽浄土を思わせます。

若かりしブラッド・ピットが実在の世界的登山家ハインリヒ・ハラーに扮(ふん)し、若き日のダライ・ラマ14世と魂の交流をする姿を描いた『セブン・イヤーズ・イン・チベット』。劇中では、少年時代のダライ・ラマがハラーから聞く西洋の話に目を輝かせていましたが、後半にはチベットの厳しい現実が描かれており、幼きダライ・ラマ14世のまぶしい姿と、今もなお闘っているチベットの人々の姿が交錯して胸が痛みます。実際の撮影では、中国側の撮影許可が下りずにアルゼンチンとモンゴルで撮影されたそうですが、劇中に登場するポタラ宮をはじめ、中国侵攻以前のチベットの美しく神秘的な風景は深い印象を残します。

失われた神の地で、男は、民族の扉を開いた。 ■Introduction

神秘的な地チベットを舞台に、若き日のダライ・ラマと、実在したオーストリアの世界的登山家ハインリヒ・ハラーとの魂の交流を描いたヒューマン・ドラマ。ハラーの実体験に基づく同名著書を、『愛人/ラマン』『愛と勇気の翼』のジャン=ジャック・アノー監督が映画化。脚本は『プリンス アンダー・ザ・チェリー・ムーン』のベッキー・ジョンストン、撮影はロバート・フレイズ、音楽は『スリーパーズ』のジョン・ウィリアムズで、チェロ演奏は世界的なチェリストであるヨーヨー・マが担当している。主演は『スリーパーズ』『デビル』のブラッド・ピット。共演は『恋の闇 愛の光』のデヴィッド・シューリス、『エグゼクティブ デシジョン』のB・D・ウォン、『ライジング・サン』のマコ、ダライ・ラマの5歳年下である実の妹ジェツン・ペマら。

■Story

1939年秋、ナチス統制下のオーストリア。有名な登山家ハインリヒ・ハラー(ブラッド・ピット)は、世界最高峰であるヒマラヤ山脈のナンガ・パルバット制覇を目指し、身重の妻を置いて旅立った。だが、第二次世界大戦の勃発によりイギリス植民地のインドで捕らえられ、イギリス軍の捕虜となってしまう。無謀な脱走を試みてもすぐに連れ戻され、祖国からは離婚届が届き、ハラーは初めて大きな悲しみと挫折を味わう。収容所での生活も2年を超えた1942年9月、ついに脱走に成功したハラーは、幾多の危機を乗り越えながら2年の歳月をかけて、外国人にとって禁断の地であるチベットにたどり着く。そして、ハラーは若き宗教指導者ダライ・ラマと出会うのであった。ダライ・ラマの家庭教師を依頼されたハラーは、英語や地理など自らの知識を教えながら、深い友情と魂の交流を重ねていく。

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ムーンライズ・キングダム
  • シェフ 三ツ星フードトラック始めました
  • 『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
  • ■価格:¥1,280円+税
  • 監督・脚本・主演:ジョン・ファヴロー
  • 出演:ダスティン・ホフマン ロバート・ダウニーJr.
    スカーレット・ヨハンソン ソフィア・ベルガラ
    ジョン・レグイザモ エムジェイ・アンソニー 他
 

(C)2014 BSM Studio. All Rights Reserved.

“こころ”も“おなか”も満たされる人生再起の物語

口うるさいオーナーや評論家と衝突してレストランをクビになった一流シェフが、移動販売を始めることで再び料理への情熱と家族の絆を取り戻す姿を描いた本作は、思わず生唾をゴクリと飲んでしまいそうな魅力的な料理の数々に、ノリがいいラテン系の音楽、旅、友情、息子との絆などを絶妙にブレンドし、三ツ星ならぬ五ツ星の満足感を味わえる作品です。

仕事をクビになり人生どん底のキャスパーは、元妻の誘いで訪れたマイアミでキューバサンドイッチのおいしさに開眼。手に入れたおんぼろのフードトラックで人生再起を目指します。劇中にはとびきり目を引くおいしそうな料理が続々と登場しますが、なんといっても表面をカリッと焼いて肉汁が滴るキューバサンドイッチの破壊力たるや…!

そんなキューバサンドイッチを武器にロスを目指すキャスパーの旅のお供は、陽気なかつての部下マーティンと息子のパーシー。離れて暮らすパーシーとは遠慮もありなかなか心が通じなかったものの、「料理をしたい」という息子の真剣な思いに触れ、2人は“師と弟子”という新たな関係を築いていきます。華やかな料理の世界も舞台裏に回ればなかなかに厳しい体育会系の世界。フードトラック内では息子を子供扱いせず、ひとりの料理人見習いとして扱うキャスパー。その姿からは料理人としての誇りを感じます。一方パーシーもSNSを駆使して客を呼び込むなど、お互いが得意分野を生かす姿がなんともすがすがしいのです。

本作で製作・監督・脚本・主演と4つもの大役を務めたジョン・ファヴローは、大ヒット作『アイアンマン』シリーズを手掛けた人気監督ながら、その続編のオファーを蹴ってまで低予算の本作を製作。キャスパーと同じく「俺は自分が作りたいものを作るんだ」という彼の気概は、本作の面白さを引き出す最大の隠し味です。

この「シェフ」は一味ちがう ―あなたの“おなか”と“こころ”を満たします! ■Introduction

『アイアンマン』シリーズのジョン・ファヴロー監督作。本作でジョンは監督、脚本、製作、主演の4役を務め、2014年10月に開催された第27回東京国際映画祭においては特別招待作品として出品された。舞台となっているロサンゼルスでフードトラックの火付け役となったロイ・チョイ氏が、“元有名レストラン総料理長”を演じるジョン・ファヴローに直接料理を指導。本編には数々のおいしそうな料理が登場する。ジョン演じる主人公・カールの友人役には『3人のエンジェル』のジョン・レグイザモ、元妻役には『マチェーテ・キルズ』のソフィア・ベルガラが配役。そのほか、ロバート・ダウニーJr.や、スカーレット・ヨハンソン、ダスティン・ホフマンなど豪華ハリウッドスターが脇を固める。

■Story

ロサンゼルスにある一流レストランの総料理長、カール・キャスパー(ジョン・ファヴロー)は、メニューにあれこれと口出しするオーナー(ダスティン・ホフマン)に言われるがまま創造性の乏しい料理を作ることを拒否したことによって、店を解雇されてしまう。次の仕事を探さなければならない時に、思いがけずマイアミに行った彼は、絶品のキューバサンドイッチと出会う。そのおいしさで人々に喜んでもらうために、カールは元妻イネズ(ソフィア・ベルガラ)、友人のマーティン(ジョン・レグイザモ)、そして一人息子のパーシー(エムジェイ・アンソニー)と協力し合い、フードトラックでの商売を始めることにする。カールは移動販売をしながら、自身の原点に立ち戻ることで料理に対するパッション、そして人生と愛への熱意を取り戻そうとする。

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