ポタラ宮(ラサ〜中国)
天空の町にそびえるチベット仏教の総本山

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海抜4000メートル以上の山々が連なり「世界の屋根」と称されるチベット。その首都ラサにあるポタラ宮は、富士山とほぼ同じ標高3700メートルにそびえ立ち、その凛(りん)とした姿から「垂直のベルサイユ」と称されています。サンスクリット語のポタラカ(観音菩薩の住まう場所)に由来するポタラ宮は、東西約360メートル、南北300メートル、総面積41平方キロメートルにも及ぶ13階建ての巨大な宮殿。単体としては世界最大級の建築物で、1994年には世界遺産にも登録されました。
7世紀に吐蕃(とばん)王朝の創始者ソンツェン・ガンポ王が築いた宮殿を基に、ダライ・ラマ5世が50年の歳月をかけて1969年に完成させたポタラ宮は、白壁の白宮が歴代のダライ・ラマの住居および政務を、また赤壁の紅宮が宗教儀礼をつかさどっていました。1000部屋以上もある迷路のように入り組んだ宮殿内部は、チベット建国史や神話、人々の暮らしぶりなどが描かれた壁画が彩る極彩色の世界。中でも歴代ダライ・ラマを祭る紅宮の供養塔は3トンを超す黄金と宝石で飾られ、その荘厳華麗な光景は極楽浄土を思わせます。
若かりしブラッド・ピットが実在の世界的登山家ハインリヒ・ハラーに扮(ふん)し、若き日のダライ・ラマ14世と魂の交流をする姿を描いた『セブン・イヤーズ・イン・チベット』。劇中では、少年時代のダライ・ラマがハラーから聞く西洋の話に目を輝かせていましたが、後半にはチベットの厳しい現実が描かれており、幼きダライ・ラマ14世のまぶしい姿と、今もなお闘っているチベットの人々の姿が交錯して胸が痛みます。実際の撮影では、中国側の撮影許可が下りずにアルゼンチンとモンゴルで撮影されたそうですが、劇中に登場するポタラ宮をはじめ、中国侵攻以前のチベットの美しく神秘的な風景は深い印象を残します。
神秘的な地チベットを舞台に、若き日のダライ・ラマと、実在したオーストリアの世界的登山家ハインリヒ・ハラーとの魂の交流を描いたヒューマン・ドラマ。ハラーの実体験に基づく同名著書を、『愛人/ラマン』『愛と勇気の翼』のジャン=ジャック・アノー監督が映画化。脚本は『プリンス アンダー・ザ・チェリー・ムーン』のベッキー・ジョンストン、撮影はロバート・フレイズ、音楽は『スリーパーズ』のジョン・ウィリアムズで、チェロ演奏は世界的なチェリストであるヨーヨー・マが担当している。主演は『スリーパーズ』『デビル』のブラッド・ピット。共演は『恋の闇 愛の光』のデヴィッド・シューリス、『エグゼクティブ デシジョン』のB・D・ウォン、『ライジング・サン』のマコ、ダライ・ラマの5歳年下である実の妹ジェツン・ペマら。
■Story1939年秋、ナチス統制下のオーストリア。有名な登山家ハインリヒ・ハラー(ブラッド・ピット)は、世界最高峰であるヒマラヤ山脈のナンガ・パルバット制覇を目指し、身重の妻を置いて旅立った。だが、第二次世界大戦の勃発によりイギリス植民地のインドで捕らえられ、イギリス軍の捕虜となってしまう。無謀な脱走を試みてもすぐに連れ戻され、祖国からは離婚届が届き、ハラーは初めて大きな悲しみと挫折を味わう。収容所での生活も2年を超えた1942年9月、ついに脱走に成功したハラーは、幾多の危機を乗り越えながら2年の歳月をかけて、外国人にとって禁断の地であるチベットにたどり着く。そして、ハラーは若き宗教指導者ダライ・ラマと出会うのであった。ダライ・ラマの家庭教師を依頼されたハラーは、英語や地理など自らの知識を教えながら、深い友情と魂の交流を重ねていく。