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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

『ブレードランナー ファイナル・カット』
  • ブレードランナー
  • 『ブレードランナー ファイナル・カット』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
  • ■価格:¥2,381+税
  • 監督:リドリー・スコット
  • 出演:ハリソン・フォード ルトガー・ハウアー
    ショーン・ヤング ダリル・ハンナ ジョアンナ・キャシディ
    エドワード・ジェームズ・オルモス 他
 

(C) 2007 Warner Bros. Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

ブラッドベリ・ビル(ロサンゼルス〜アメリカ)

幻想的な空間が広がり趣のあるビル


ブラッドベリ・ビル(ロサンゼルス〜アメリカ)

荒廃した近未来のロサンゼルスを舞台に、植民惑星から脱走した人造人間“レプリカント”と、それを追う専任捜査官の戦いを描いたリドリー・スコット監督の『ブレードランナー』。本作は哲学的なストーリーに加え、東洋と西洋をミックスさせた斬新なビジュアルで各方面に大きな影響を与え、“SF映画の金字塔”といわれています。環境汚染が進み酸性雨が常に降り注ぐロサンゼルス。薄暗い中、ネオンや広告がきらきらと照らす無国籍でわい雑な街並み…。誰も見たことがないようなディストピアはCGがなかった当時、精巧なミニチュアやセットを用いて作られましたが、デッカードとバティーの戦いの舞台となったアパートは、ダウンタウンにあるブラッドベリ・ビルで撮影されました。

大富豪ルイス・ブラッドベリの依頼により、駆け出しの建築家ジョージ・ワイマンの設計で1893年に竣工されたこのビルは、ダウンタウンにある最も古い商業ビルの一つです。1971年にアメリカ合衆国国家歴史登録財に、1977年にはアメリカ合衆国国定歴史建造物として登録されています。外観こそシンプルなロマネスク様式のレンガ造りですが、中は光が降り注ぐアトリウムの天井、繊細な加工が施された鉄の柵、5層をつなぐ鳥籠のようなエレベーター、大理石とタイルを組み合わせたシックな床など、100年前にタイムスリップしたかのようなビクトリア様式で、その幻想的な美しさに圧倒されます。ブラッドベリ・ビルは『(500)日のサマー』『アーティスト』など数多くの映画に登場しますが、「強力わかもと」の映像広告が照らしだすこの建物の退廃的な雰囲気は、光と影を巧みに操るリドリー・スコットならではの映像といえるでしょう。

2020年、レプリカント軍団、人類に宣戦布告!

■Introduction

1982年に公開されてから、スペクタクルなビジュアル、鮮烈なアクション、さらにはその予言的な内容で今もなお根強いファンを持つSF映画の金字塔。原作はフィリップ・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」。監督を務めたのは巨匠リドリー・スコットで、本作は監督自らが再編集とデジタル修正を施してよみがえらせたファイナル・カット版。主演はハリソン・フォード。“強靱(きょうじん)さ”と“脆さ”という相反する面を併せ持つ、21世紀の特殊捜査官リック・デッカードを演じる。

■Story

舞台は2019年、酸性雨が降りしきるロサンゼルス。人類の大半は環境汚染が進んだ地球から離れ、宇宙に移住していた。そこでは強靭(きょうじん)な肉体と高い知能を併せ持ち、外見からは人間と見分けが付かないアンドロイド、“レプリカント”が開発され、過酷な奴隷労働に従事していた。しかし、製造から数年経つと次第にレプリカントに感情が芽生え始め、人間に反旗を翻すような事件が多発する。人間社会に紛れ込む彼らを「処刑」する任務を負うのが専任捜査官、“ブレードランナー”である。ある日、タイレル社が開発した最新レプリカント「ネクサス6型」の一団が人間を殺害し脱走。シャトルを奪い、ひそかに地球に帰還する。潜伏中である男女4名のレプリカントを見つけ出すため、ブレードランナーを退職していたリック・デッカード(ハリソン・フォード)が呼び戻され単独追跡を開始する―。

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『バクマン』
  • バクマン。
  • 『バクマン。』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売元:集英社&アミューズ
  • ■販売元:東宝
  • ■価格:¥3,800円+税
  • 監督:大根 仁
  • 出演:佐藤 健 神木隆之介
    染谷将太 小松菜奈 桐谷健太
    新井浩文 皆川猿時 宮藤官九郎
    山田孝之 リリー・フランキー 他
 

(C) 2015映画「バクマン。」製作委員会 (C) 大場つぐみ・小畑健/集英社

「友情・努力・勝利」!サイコーとシュージンのすべてが詰まった部屋

漫画のコマが壁一面に立ち上がる。熱い思いを内に秘めながら、創作に没頭する主人公の2人。剣をペンに換え、作家同士が熾烈(しれつ)なバトルを繰り広げる―。作画担当のサイコー(佐藤健)と原作担当のシュージン(神木隆之介)が漫画を制作するその部屋には、“ジャンプ三原則”といわれる「友情・努力・勝利」がぎっしりと詰まっています。

「DEATH NOTE」の大場つぐみ(原作)&小畑健(漫画)コンビによる同名漫画を、『モテキ』の監督である大根仁が映画化した本作は、漫画界の王者として君臨する「週刊少年ジャンプ」への連載、さらにその頂点を目指す高校生コンビの奮闘を描いた青春物語です。机の上に無造作に置かれ、なだれ落ちそうになっている原稿や書類の束、廊下にびっしりと貼られた歴代の作品のポスターなど、本物そっくりに作られたジャンプ編集部や、膨大な量のネーム(絵コンテ)、漫画、過去のジャンプで埋まったサイコーの叔父の仕事部屋など、細かなところまでこだわった映像は、リアルな漫画家と漫画編集者の現場そのもの。亡くなった叔父の部屋に興味津々だったサイコーとシュージンは、やがてそこを部室兼、生活の場とし、さらには戦いの場へと変えていきます。

作画担当の小畑いわく、「漫画を描くことは地味な作業に見えるけど、頭の中ではすごいことがスパークしている」―。その言葉を表すように、漫画家の頭の中のイマジネーションをCGやプロジェクションマッピング、はたまた殺陣で大胆に描いた大根監督の表現に胸が高鳴ります。寝る間を惜しんで漫画を描く「努力」と、藤子不二雄の自伝的漫画「まんが道」のような「友情」を経て、2人は「勝利」をつかめるのでしょうか。あっと驚く仕掛けが施されたエンディングも含めて、“漫画好き”なら心躍らずにはいられない作品です。

友情、努力、勝利、そして恋。 目指せ、ジャンプの頂点。 ■Introduction

原作は、作・大場つぐみ、漫画・小畑健の「DEATH NOTE」コンビによる人気同名コミック。斬新な映像技術を駆使して爽快感と躍動感の溢れる青春映画に仕上げたのは、『モテキ』の大根仁監督。週刊少年ジャンプへの連載を夢見て漫画作りに励む2人の高校生の姿を描く。高い絵の才能を持つ真城最高役を演じるのは佐藤健。一方の、巧みな物語を書く高木秋人役は神木隆之介が演じる。さらに、最高が恋心を寄せるクラスメイトの亜豆美保役を演じるのは小松菜奈。そのほか、宮藤官九郎や山田孝之、リリー・フランキーなど実力派俳優陣が個性豊かなキャラクターを演じる。

■Story

高校生の真城最高(あだ名:サイコー/佐藤健)は、高い画力がありながらも将来に夢を持たず、ただ流されるように平凡な毎日を過ごしていた。サイコーの叔父で漫画家の川口たろう(宮藤官九郎)は、かつて週刊少年ジャンプに連載し、その作品がアニメ化もされたが、やがて連載は打ち切りとなり過労で亡くなった。そのことがサイコーの心に暗い影を落としていたのだ。そんなある日、ささいな出来事をきっかけに、秀才のクラスメイト高木秋人(あだ名:シュージン/神木隆之介)に、「俺と組んで漫画家にならないか」と誘われる。初めは一緒に漫画を描くことを拒絶していたサイコーだったが、クラスメイトのアズキこと亜豆美保(小松菜奈)と「漫画家として、声優として、お互いの夢が実現したら結婚する」と約束したことから、漫画家への道を志すこととなる。

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