ハンプトン・コート宮殿(ロンドン〜イギリス)
ヘンリー8世が愛した名城

(C)gnesher
類まれな政治手腕で絶対王政を敷き英国を繁栄に導く一方で、6人の女性と結婚、離婚を繰り返した英国王室史上、最もスキャンダラスな王ヘンリー8世。その愛憎劇の舞台となった彼の居城ハンプトン・コート宮殿では、ヘンリー8世やエリザベス女王が辣腕(らつわん)を振るったテューダー朝時代の王族の暮らしを体験することができます。
テューダー様式、バロック様式と異なる2つの建築様式が混在するハンプトン・コート宮殿は、時の権力者トマス・ウルジー枢機卿が1514年に建設した広大な荘園を、1526年にヘンリー8世へ献上したのがその起源。王はテューダー様式の立派な屋敷にグレート・ホールや礼拝堂を増築。その後、1960年代のウィリアム3世の時代になると、フランスのヴェルサイユ宮殿と張り合うため、建築家クリストファー・レンによりバロック様式へと大改修が行われました。宮殿内は、ヘンリー8世の時代を再現した「ヘンリー8世のアパートメント」や、約600人分の食事を作っていた巨大な「テューダー・キッチン」、ヘンリー8世の5番目の妻で、処刑されたキャサリン・ハワードの幽霊が出るとうわさされる「ホーンテッド・ギャラリー」など、15世紀から18世紀までの時代の変遷を見ることができます。当時の衣装をまとったスタッフたちによるガイドや演劇、実演は私たちを中世へといざなってくれることでしょう。
エディ・レッドメインがALS(筋萎縮性側索硬化症)に侵された天才物理学者スティーブン・ホーキングを演じアカデミー賞を獲得した『博士と彼女のセオリー』では、ホーキング博士が女王から大英帝国勲章を授かった場所として、バッキンガム宮殿の代わりにこのハンプトン・コート宮殿が使われました。夫妻が子供たちを眺めながら穏やかな時間を過ごした庭もまた、この宮殿のもうひとつの見どころ。60エーカー(東京ドーム約5個分)の広大な庭には、世界的にも難しい迷路として知られている「メイズ」や、世界で一番古いブドウの木といわれる「グレート・ヴァイン」などがあり、その美しさで訪れる人々を楽しませています。
生きる希望をつないだのは、無限の愛。
■Introductionジェーン・ホーキング著「Travelling to Infinity: My Life with Stephen」の映画化。“車椅子の天才物理学者”スティーヴン・ホーキング博士の半生と、彼を支え続けた妻との純愛を描く感動のヒューマン・ラブストーリー。ホーキング博士を演じるのは『レ・ミゼラブル』で青年マリウスを演じたエディ・レッドメイン。難病ALS(筋委縮性側索硬化症)に侵されていく難役を熱演し、新境地を開いた。また妻ジェーン役には、『アメイジング・スパイダーマン2』出演のフェリシティ・ジョーンズ。監督は、大道芸人にスポットを当てた『マン・オン・ワイヤー』でアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞したジェームズ・マーシュ。
■Story天才物理学者として将来を嘱望されていたスティーヴン・ホーキング(エディ・レッドメイン)は、大学院に在籍しているとき、中世詩を学ぶジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と出会い、恋に落ちた。しかし、そんな幸せのさなかスティーヴンは難病ALS(筋委縮性側索硬化症)を発症し、余命2年の宣告を受けてしまう。それでも彼と共に生きると決めたジェーンは、力を合わせて病気と闘う道を選択する。妻となった彼女の支えで、スティーヴンは研究を進め“時の人”となるが、介護と育児に追われる彼女とはすれ違い、病状も悪化−。与えられた時間がどれほど貴重なものかを知る2人だが、立ちはだかる試練を前に限界を感じ、自身の無力さに打ちひしがれてしまう―。