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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

シン・ゴジラ
  • シン・ゴジラ
  • 『シン・ゴジラ DVD 2枚組』
  • ■発売日:DVD 発売中
  • ■発売・販売元:東宝
  • ■価格:¥3,800+税
  • 脚本・総監督:庵野秀明
  • 監督・特技監督:樋口真嗣
  • 准監督・特技統括:尾上克郎
  • 出演:長谷川博己 竹野内豊 石原さとみ 他
 

(C)2016 TOHO CO.,LTD.

東京駅(東京〜日本)

美しくよみがえった東京の玄関口


東京駅(東京〜日本)

(C)oben901

特撮怪獣映画の金字塔『ゴジラ』シリーズ。国内製作では12年ぶりとなる同シリーズ最新作の『シン・ゴジラ』で総監督&脚本を務めたのは、人気アニメーション「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズの庵野秀明。核の悲劇をテーマとしたオリジナルの『ゴジラ』(54)を踏襲しつつ、東日本大震災を連想させる災害の恐ろしさをゴジラに見立て、緊迫感溢れる映像で見せていきます。政府の危機管理対策や国際社会の動きなど、リアリティーのある演出は、そのまま現代の日本が抱える問題を提示しているよう。そこで長谷川博己演じる矢口たちが見せる頑張りは「これぞ大和魂!」と、私たちの胸を熱くさせてくれることでしょう。

神奈川〜東京を侵害し、破壊の限りを尽くしたゴジラですが、矢口率いる人間たちとの最終決戦の舞台となったのが国の重要文化財でもある東京駅丸の内駅舎です。辰野金吾の設計により1914年(大正3年)に竣工。デザインは、クイーン・アン様式と呼ばれる英国建築の流れに位置付けられるもの。辰野のほかの作品にも多く見られる、赤レンガと白い花こう岩のストライプで外観を印象付ける手法は「辰野式」とも呼ばれ、日本の玄関口にふさわしい風格ある佇まいを見せています。開業当初は3階建てでしたが、1945年の東京大空襲で損壊し、戦後応急的に行われた修復工事で2階建てに変更。2012年には耐震化などの復元工事により、創建時の姿を取り戻しました。60年の時を経てよみがえった南北ドームは外観もさることながら、8つの干支(えと)や、8羽の勇猛なワシのレリーフなど、創建時の意匠を凝らした内部の装飾も見事で、美しいドームを見上げる人が多く見られます。

丸の内駅舎とともに再オープンした東京ステーションホテルと東京ステーションギャラリーをはじめ、ショッピング、レストランエリアなど、2014年に開業100周年を迎え、ますます充実の東京駅。劇中では打倒ゴジラの<ヤシオリ作戦>によって、東京駅はとんでもないことになりますが、同時にこの東京駅でなければ実行できなかった作戦をご堪能ください。

現実(ニッポン) 対 虚構(ゴジラ)。

■Introduction

第1作の『ゴジラ』(1954年)が公開されてから約60年、国内シリーズ12年ぶりとなる最新作で脚本・総監督を務めるのは、人気アニメーション「エヴァンゲリオン」シリーズの生みの親にして、日本のみならず世界中にファンを持つ庵野秀明。本作のゴジラは史上最大となる体長118.5メートル、国内シリーズ初のフルCGで描かれ、想像をはるかに超える最強の“完全生物”としてスクリーンに現れる。ゴジラに立ち向かうキャストには、長谷川博己、竹野内豊、石原さとみなど、日本を代表する豪華俳優陣が集結。さらに日本映画では異例の3監督・4班体制、総勢1000人以上のスタッフによる超大規模撮影を敢行した。

■Story

ある日、東京湾アクアトンネルが巨大なごう音とともに大量の浸水に巻き込まれ、崩落するという、原因不明の事故が発生した。内閣官房副長官・矢口蘭堂(長谷川博己)は、海中にすむ巨大生物による可能性を指摘するが、内閣総理大臣補佐官の赤坂秀樹(竹野内豊)をはじめ、周囲は矢口の意見を一笑に付す。しかしその直後、海上に正体不明の巨大な生物が現れた。政府は緊急対策本部を設置。米国国務省からは、女性エージェントのカヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)が派遣され、未曽有の脅威に対し、日本のみならず世界もその行方を注視し始める。そして、“ゴジラ”と名付けられたその巨大生物と自衛隊による一大決戦の火ぶたが切られた―。

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サバイバルファミリー
  • サバイバルファミリー
  • 『サバイバルファミリー』スタンダード・エディション
  • ■発売日:発売中
  • ■発売元:フジテレビジョン
  • ■販売元:ポニーキャニオン
  • ■価格:¥3,800+税
  • 監督:矢口史靖
  • 出演:小日向文世 深津絵里
    泉澤祐希 葵 わかな 時任三郎(友情出演)
    藤原紀香 大野拓朗 志尊 淳/渡辺えり
    宅間 伸(友情出演) 柄本 明/大地康雄 他
 

(C) 2017フジテレビジョン 東宝 電通 アルタミラピクチャーズ

暮らしの基本の「電気」がなくなったら?

さて、突然ですが今、電気が使えなくなってしまったらあなたはどうするでしょうか? 仕方がないなぁと文句を言いながらもおとなしく復旧を待つ? しかしそれが数時間だけではなく、3日、1週間、1カ月、それとも数年だったら…? 『ウォーターボーイズ』の矢口史靖監督による『サバイバルファミリー』は、電気がなくなった世界で奮闘する家族を描いた、サバイバル・コメディーです。

スマートフォンにパソコン、テレビや冷蔵庫、さらにはガスやトイレなど、私たちの生活は今や電気無くして成り立ちませんが、本作を見ればそれを失った我々(特に都会人)が、いかに非力かを痛感させられるでしょう。口先ばかりで偉そうな父、天然ぼけなお母さん、何を考えているのかわからない無口な息子、“スマホ”がすべての娘、という東京に住むありふれた家族・鈴木家を襲った緊急事態。突然、すべての電気が使えなくなってしまった一家は、「西日本には電気が通っている」といううわさを信じ、母の実家がある鹿児島を目指します。しかし、サバイバル能力ゼロ故に、彼らには次々と困難が襲い掛かります。電気、ガス、水道等ライフラインの途絶、物流ストップという状況は、東日本大震災を想起させますが、撮影前に登場人物たちと同じ状況で東京から鹿児島まで走破した監督の実体験と綿密な取材、さらには体当たりの演技を見せる役者たちなど、ディテールを積み重ねた世界はリアリティーたっぷりで、災害時のシミュレーションとしても役立つはず。

しかし本作のテーマは、あくまでも“家族”。ロレックスや高級外車よりも、1本の水や米に価値がある世界で、バラバラだった家族はぶつかり合いながらも少しずつ距離を縮めていきます。道中で出会ったアウトドア一家や、養豚場のおじさんの手間暇を惜しまない工夫と知恵の素晴らしさ、無駄なものをそぎ落とした結果、見えてくる人間の生命力に、“本当の幸せとは何か”を考えさせられる作品です。

電気消滅! 生き残れ、家族!!
■Introduction

『ウォーターボーイズ』『ハッピーフライト』などの矢口史靖監督によるオリジナル作品。「もし、電気がなくなったら」という独自の視点で選んだ題材をもとに、1つの家族が繰り広げる究極のサバイバルを描く。主人公・鈴木義之を演じるのは、『スウィングガールズ』『ハッピーフライト』以来、久々の矢口作品参加となる小日向文世。専業主婦のお母さん・光恵には、シリアスからコメディーまで、抜群の演技力で演じ分ける、深津絵里。鈴木家とは対照的なアウトドア一家・斎藤家を時任三郎、藤原紀香、大野拓朗、志尊淳らが演じる。その他にも、渡辺えり、柄本明など矢口作品常連俳優や、大地康雄、宅麻伸など、個性的な豪華俳優陣が脇を固める。

■Story

東京に暮らす平凡な一家・鈴木家。さえないお父さん(小日向文世)、天然ボケなお母さん(深津絵里)、無口な息子(泉澤祐希)、“スマホがすべて”の娘(葵わかな)。そんな鈴木家にある朝、突然、緊急事態が発生する。テレビや冷蔵庫といった電化製品ばかりか、電車、自動車、ガス、水道、乾電池に至るまで電気を必要とするすべてのものが完全にストップしてしまったのだ。ただの停電かと思っていたが、一週間経っても電気は戻らない…。情報も絶たれた絶望の中、父が「東京から脱出する」という、一世一代の大決断を下す。家族を待ち受けていたのは、減っていく食料、慣れない野宿―。一家は時にぶつかり合いながらも、必死で前へと進むが、さらなる困難が次々と襲い掛かる。

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