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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

ダークナイト ライジング
  • ダークナイト ライジング
  • 『ダークナイト ライジング』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
  • ■価格:¥1,429+税
  • 監督:クリストファー・ノーラン
  • 出演:クリスチャン・ベール マイケル・ケイン
    ゲイリー・オールドマン アン・ハサウェイ トム・ハーディ 他
 

(C)BATMAN, THE DARK KNIGHT, and all related characters and elements are trademarks of and DC Comics. (C) 2012 Warner Bros. Entertainment Inc. and Legendary Pictures Funding, LLC.

メヘラーンガル城(ジョードプル〜インド)

マハラジャたちが愛した豪華絢爛(けんらん)な太陽の砦(とりで)


東京駅(東京〜日本)

(C)Rafal-Cichawa

インド北西部、タール砂漠の入口に位置する城塞(じょうさい)都市、ジョードプル。「ブルーシティー」の愛称を持つほど、壁を青く塗った家々が連なるこの美しい町には、「太陽の砦(とりで)」と呼ばれる巨大な城、メヘラーンガルがそびえ立っています。高さ約120mの切り立つ岩山の上に、さらに36mの城壁を積み上げて築いた城は他を圧倒しており、「ジャングル・ブック」の著者であるイギリスの文学者、ラドヤード・キップリングは、その威容さを「巨人の創造物」だと例えています。

マールワール王国こと、ヒンドゥー王朝の都として、1459年に当時のマハラジャ(※藩王) であるジョーダが築いた都市、ジョードプル。その都城であるメヘラーンガル城は、ジャヤ・ポル(勝利の門)からローハ・ポル(鉄の門)まで7つの門が敵を阻む難攻不落の城でした。インドとイスラムの流れを組む「ムガル様式」と、透かし彫りなどの繊細な彫刻が特徴の「ラージプート様式」が融合した城内は、今もマハラジャ所有のものですが、博物館として一般に公開されており、黄金の輿(こし)や、家具、武器などを見ることができます。「花の間」を意味するフール・マハルや、「真珠の間」を意味するモティ・マハルなど、ダイヤやルビー、象牙といった贅(ぜい)の限りを尽くす王族の部屋は、当時のマハラジャの権力の大きさをうかがわせます。

クリストファー・ノーラン監督によるバットマンシリーズの完結編『ダークナイト・ライジング』では、主人公のブルース・ウェインがゴッサムシティー破壊をもくろむテロリスト・ベインにより、かつてない窮地に追い込まれます。ベインが“この世の地獄”と呼んだ深い深い穴から這い上がってきたブルース。そのとき目の前にそびえ立っていたのが、この鉄壁の防御を誇るメヘラーンガル城でした。果たしてブルースはこの雄大な城を見て何を思っていたのでしょうか。

伝説が、壮絶に、終わる。

■Introduction

『バットマン ビギンズ』『ダークナイト』に続くシリーズ完結編。監督を務めるのは1作、2作に続くクリストファー・ノーラン。『ダークナイト』から8年後の世界を舞台に、ゴッサム・シティーを破壊しようとする殺し屋ベインと戦い、謎に包まれたキャット・ウーマンの真実を暴くブルース・ウェインの姿を描く。シリーズを通して主役のバットマン/ブルース・ウェインを演じるのはクリスチャン・ベール。そのほか、新キャストとしてアン・ハサウェイやトム・ハーディら実力派俳優陣が脇を固める。

■Story

ダークナイト【=バットマン/ブルース・ウェイン】(クリスチャン・ベール)が夜の闇に消え、一瞬にしてヒーローから逃亡者となってしまったあの夜から8年。地方検事ハービー・デントの死の責任を一身に背負い、ダークナイトは、ゴードン市警本部長(ゲイリー・オールドマン)と共に目指した大義のために、すべてを犠牲にした。そんな中、一人のずる賢い泥棒の登場をきっかけに事態が一変する。しかし、ゴッサムとダークナイトにとっての真の脅威は、覆面テロリスト・ベイン(トム・ハーディ)の出現だった。ゴッサムを恐怖のどん底に陥れるベインのたくらみによって、ブルース・ウェインは自ら課した“潜伏期間”を切り上げざるを得なくなる―。

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はじまりへの旅
  • はじまりへの旅
  • 『はじまりへの旅』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:松竹
  • ■価格:¥3,800+税
  • 監督・脚本:マット・ロス
  • 出演:ヴィゴ・モーテンセン
    フランク・ランジェラ
    ジョージ・マッケイ 他
 

(C) 2016 CAPTAIN FANTASTIC PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

ヘンテコ家族から教わる“教育”の意義

世間から隔絶された森の奥で暮らす風変わりな父子が、母の葬儀に参列するため、2400キロ先のニューメキシコを目指す旅の中で経験する、数々のカルチャーギャップ。本作はそれらをコミカル、かつ温かく描いたロード・ムービーです。同じく風変わりな家族の旅路を描いた作品として『リトル・ミスサンシャイン』が思い浮かびますが、あちらの“駄目っぷり全開の家族”とは対照的に、こちらはある意味“完璧な家族”。上は18歳から下は7歳までの6人兄弟は、それぞれ古典文学や哲学書をさばき6カ国語を操るほか、ロッククライミングや格闘技をもこなす、ずばぬけた身体能力を持っています。

森の中での自給自足の暮らしは、精神的にも肉体的にも成熟し充実しているように見えますが、その日々は療養中の母が亡くなったことで変化していきます。彼らの拠点であるアメリカ北西部から母の葬儀が行われるニューメキシコまで2400キロのバスの旅。それは子供たちにとって初めての“文明”との出会いでした。スーパー、レストランに並ぶジャンクフード、いとことの全くかみ合わない会話、テレビゲーム、初めての恋…。さまざまなことを経験するなかで、子供たちは“完璧”だった父ベンの教えに疑問を抱き、自分の人生について模索し始めます。

「子供の未来がどうか輝かしいものでありますように…」と親が願うのは、きっと世の常。ベンのように思いきり振り切れなくとも、自立を促す革新的な彼の考えと、社会への適応を願う保守的な祖父の考えには、それぞれ共感できる点も多いでしょう。子供に自我が芽生えたとき親はどうすべきなのか。子育てに「正解」はないといいますが、それは裏を返せば「不正解」もないということ。家族がそれぞれ悩んだ末に選んだ未来を見届けてください。

普通ってなんですか?
■Introduction

第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞を受賞したほか、世界各地で数々の映画賞を受賞したロードムービー。監督・脚本を務めるのは、これが2本目の長編監督作となるマット・ロス。わが子を愛するが故に極端な教育方針を貫く父親を演じるのは、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作のアラゴルン役でブレイクした実力派俳優、ヴィゴ・モーテンセン。そのほか、『パレードへようこそ』の若手注目株ジョージ・マッケイが長男を演じるほか、オーディションで発掘された子役たちが抜群の愛くるしさと演技力を発揮する。

■Story

ベン・キャッシュ(ヴィゴ・モーテンセン)と6人の子供たちは、現代社会に触れることなくアメリカ北西部にある大森林の中で暮らしていた。父仕込みの訓練と教育により、子供たちの体力はアスリート並み。皆6カ国語を操り、18歳の長男は名立たる大学すべてに合格するほど。しかしある日、入院していた母レスリーが亡くなり、一家は葬儀のため、そして母の“最後の願い”をかなえるため旅に出ることになる。葬儀が執り行われるニューメキシコまでは2400キロ。コーラもホットドッグも知らない世間知らずの彼らは、母の願いをかなえるべく奔走するが―。

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