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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

インフェルノ
  • インフェルノ
  • 『インフェルノ』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • ■価格:¥1,280+税
  • 監督:ロン・ハワード
  • 出演:トム・ハンクス
    フェリシティ・ジョーンズ イルファン・カーン
    オマール・シー ベン・フォスター 他
 

ヴェッキオ宮殿(イタリア〜フィレンツェ)

幻の名画が眠る歴史ある市庁舎


ヴェッキオ宮殿(イタリア〜フィレンツェ)

(C)Givaga

レオナルド・ダ・ヴィンチの名画に隠された謎を追った『ダ・ヴィンチ・コード』、ヴァチカンを舞台に秘密結社イルミナティの陰謀に挑んだ『天使と悪魔』に続く、宗教象徴学者ロバート・ラングドンの活躍を描くシリーズ第3作目。本作では人類滅亡をたくらむ生化学者の計画を阻止すべく、ダンテの「神曲」<地獄篇(インフェルノ)>に隠された暗号の謎に迫ります。

何者かに襲われ記憶を失ったラングドン教授が、唯一の手掛かりを頼りに医師のシエナと訪れたのが「アルノルフォの塔」が目印のヴェッキオ宮殿です。まるで要塞(ようさい)のようなゴシック様式のシンプルな外観ですが、内部はルネッサンス様式で、まさに宮殿と呼ぶにふさわしい華やかさを誇ります。1299年〜1314年にかけて、アルノルフォ・ディ・カンビオにより建設されたヴェッキオ宮殿は、かつてフィレンツェ共和国の中央政庁であり、16世紀半ばには実質的なフィレンツェの支配者として君臨していたメディチ家の住居としても使われました。現在は市庁舎兼、美術館として一般に開放されています。

ヴェッキオ宮殿内で最も人気のある場所が、劇中に登場した「五百人広間」です。およそ幅23メートル、長さ54メートル、高さ18メートルの広さを誇り、共和国時代にはここで市民会議が行われていました。天井には金で縁取られた鮮やかな天井画、東西の壁にはジョルジュ・ヴァザーリらによる巨大なフレスコ画と、絵画で埋め尽くされた部屋は圧巻。2007年には物語の鍵となった「マルチャーノ・デッラ・キアーナの戦い」の下にレオナルド・ダ・ヴィンチの未完作品が眠っていることが分かりました。映画さながらの謎の解明にロマンがかき立てられますが、本作の世界をより楽しみたい人は、ヴェッキオ宮殿が企画する「インフェルノツアー」がオススメ。秘密の通路や天井裏など通常見られない場所が、あなたの気分をさらに高めてくれることでしょう。

人類は滅びるー 全てはお前次第だ。

■Introduction

ダ・ヴィンチの名画に隠された謎に迫る『ダ・ヴィンチ・コード』、ガリレオが遺した暗号を解き秘密結社イルミナティの陰謀に迫った『天使と悪魔』に続く、世界的ベストセラー作家ダン・ブラウン原作によるシリーズ第3弾。数々の謎を解き明かしてきた宗教象徴学者ロバート・ラングドン教授を、前2作に引き続きトム・ハンクスが演じる。ラングドンと共に謎を追う美しい女医シエナを演じるのは『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』主演のフェリシティ・ジョーンズ。監督はシリーズ全作品を手掛けるアカデミー賞監督ロン・ハワード。

■Story

ハーバード大学の宗教象徴学者ロバート・ラングドン教授(トム・ハンクス)は、フィレンツェの病院にて、数日間の記憶をなくした状態で目を覚ました。しかし謎の襲撃者に狙われ、美しい女医シエナ・ブルックス(フェリシティ・ジョーンズ)に助けられながら病院を脱出。何者かから追われる身となったラングドンとシエナは、生物学者ゾブリスト(ベン・フォスター)が人類増加問題の解決策として恐ろしい伝染病を世界に広めようとしていることを知る。そしてそれは、詩人ダンテの叙事詩「神曲」の<地獄篇(インフェルノ)>になぞらえた計画であることに気付き、阻止するべく奔走する―。

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はじまりへの旅
  • LION/ライオン 〜25年目のただいま〜
  • 『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:ギャガ
  • ■価格:¥3,800+税
  • 監督:ガース・デイヴィス
  • 出演:デヴ・パテル
    ルーニー・マーラ ニコール・キッドマン
    デビット・ウェンハム サニー・パワール 他
 

(C)2016 Long Way Home Holdings Pty Ltd and Screen Australia

偶然と執念が生んだ奇跡の物語

楽しいはずのお出掛けが一瞬で恐怖に変わってしまう、“迷子”というアクシデント。一緒にいたはずの家族が突然いなくなったときの不安と心細さ、独りで泣いているであろうわが子を思い必至で探す親…。どちらの立場にせよ、そんな冷や汗が出る経験をした人はなおさら本作の主人公の気持ちに共感してしまうに違いないでしょう。

世界の主要都市から地球全体、果ては宇宙まで、クリック一つで世界中のあらゆる場所を瞬時に、そしてリアルに映し出す“バーチャル地球儀”ソフト「Google Earth(グーグルアース)」。そんな現代ならではのツールを使って、25年前に生き別れた家族を探すという本作のストーリーは、一見、突拍子もないアイデアに思えますが、実話だというから驚かされます。

映画は、停車中の回送列車内で眠ってしまい見知らぬ町に来てしまった5歳のサルー(とにかくかわいい!)の緊張感漂うサバイバルを描いた前半と、オーストラリアで養子として立派に成長した青年サルーの葛藤を描く後半の、2部構成になっています。幼い頃の断片的な記憶を頼りに、オーストラリアの自宅からパソコンのモニター越しにインドのあらゆる場所を捜索するサル―。本当の家族に会いたい、でも今の家族も大事―。インドとオーストラリアの間でアイデンティティーを必死で探すサルーの姿に心を揺さぶられますが、そんな息子を見守る養母の愛は、なんとスケールが大きいことか。本作を貫くのは“母と子の愛”という普遍的なテーマです。エンディングには、実話ならではのサプライズもあり、困難を経てたどり着いた奇跡のすごさを改めて感じずにはいられません。

僕は5歳で迷子になった
それから25年間、ずっと探している 僕の人生の失われたカケラを―
■Introduction

5歳の時にインドで迷子になり養子としてオーストラリアで育った青年サルーが、Google Earthと出会い、25年ぶりに家を見つけ出したという驚きの実話を、『英国王のスピーチ』の製作陣が映画化。数奇な運命をたどった主人公のサル―を演じるのは、『スラムドッグ$ミリオネア』のデヴ・パテル。サルーの養母役に、オスカー女優のニコール・キッドマン、恋人役に『キャロル』でアカデミー賞にノミネートされたルーニー・マーラを配役。

■Story

オーストラリアで幸せに暮らす青年サルー(デヴ・パテル)。しかし、彼には隠された驚愕(きょうがく)の過去があった。インドで生まれた彼は5歳の時に迷子になり、以来、家族と生き別れたままオーストラリアへ養子に出されたのだった。成人し、自分が幸せな生活を送れば送るほど募る、インドの家族への思い。インターネット上で世界中の衛星写真を閲覧することができるシステム「Google Earth」と出会ったサルーは、人生を取り戻し未来への一歩を踏み出すため、そして母と兄に、あの日言えなかった“ただいま”を伝えるため、家を探し出す決意をする―。

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