エンパイア・ステート・ビルディング(アメリカ〜ニューヨーク)
数々の映画の舞台となった摩天楼を象徴するビル

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かつてキングコングがその頂上でたけり叫び、『インデペンデンス・デイ』では宇宙人に破壊された、エンパイア・ステート・ビルディング。『アニー・ホール』や『タクシードライバー』『オブリビオン』など数々の映画に登場したニューヨークを代表するランドマークです。トム・ハンクスとメグ・ライアンが共演した『めぐり逢えたら』では、シアトルとボルティモアというアメリカの両端に住む2人の約束の場所として印象的に使われました。
1931年、“世界一の高さ”を誇っていたクライスラー・ビルディングからその称号を奪おうと、着工からわずか1年という驚異のスピードで完成。地上102階建て、電波塔を含めると高さ約443メートルにもなるこのビルは、1972年にワールドトレードセンターのノースタワーが建てられるまでの42年間、「世界一高いビル」の座に君臨していました。摩天楼での人気を二分するクライスラー・ビルディングと同じく、アールデコのデザインが施されていますが、クライスラーの優美なデザインと比べ、こちらはどっしりとした風格が漂います。また、ビル全景が描かれた壁面や、惑星や星が歯車で表現された天井画があるロビーは、ニューヨーク市歴史的建造物保存委員会から「歴史的建造物」に指定されています。
ここを訪れる観光客の一番のお目当てはニューヨークの町を一望できる、86階と102階の展望フロア。本作のモチーフとなったケイリー・グラントとデボラ・カー共演の名作『めぐり逢い』では、86階の展望台が再会を誓う場所として描かれましたが、『めぐり逢えたら』でもアニーはライトアップされたこのビルを目指して走ります。毎回異なる色でライトアップされているエンパイア・ステート・ビルですが、本作では特別な演出で物語を一層盛り上げています。どのような演出かは、ぜひ作品を見てお確かめください。
恋はクリスマス・イヴに始まり、愛はバレンタイン・デーに訪れる。
■Introductionトム・ハンクスとメグ・ライアンが主演を務め、大ヒットを記録した1993年製作のラブ・ロマンス映画。監督を務めたのは『ユー・ガット・メール』などを手掛けたノーラ・エフロン。ケーリー・グラントとデボラ・カー主演による1957年の名作映画『めぐり逢い』からヒントを得ており、重要なシーンやテーマ曲などが引用されている。
■Story最愛の妻を失って以来、夜も眠れないほどの悲しみに沈むサム(トム・ハンクス)は、息子のジョナ(ロス・マリンジャー)と共に寂しいクリスマス・イヴを迎えようとしていた。そんな父を気遣うジョナはラジオの人生相談に電話し、「パパに新しい奥さんを」とリクエストする。息子に続いて渋々、電話口に出たサムはやるせない胸の内を告白。その放送を遠く離れたボルチモアで聞いていたアニー(メグ・ライアン)は、サムの告白に思わず涙を流してしまう。結婚を間近に控えたアニーだが、まるで運命の“マジック”に操られるかのように、見ず知らずのサムに引かれていく―。