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アーキテクト・イン・シネマ 〜映画に観る建築・住まい・家族〜

めぐり逢えたら
  • めぐり逢えたら
  • 『「めぐり逢えたら」コレクターズ・エディション』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
  • ■価格:¥1,410+税
  • 監督:ノーラ・エフロン
  • 出演:トム・ハンクス メグ・ライアン
    ビル・プルマン ロス・マリンジャー
    ロージー・オドネル ロブ・ライナー 他
 

(C) 1993 TRISTAR PICTURES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

エンパイア・ステート・ビルディング(アメリカ〜ニューヨーク)

数々の映画の舞台となった摩天楼を象徴するビル


エンパイア・ステート・ビルディング(アメリカ〜ニューヨーク)

(C) s4svisuals

かつてキングコングがその頂上でたけり叫び、『インデペンデンス・デイ』では宇宙人に破壊された、エンパイア・ステート・ビルディング。『アニー・ホール』や『タクシードライバー』『オブリビオン』など数々の映画に登場したニューヨークを代表するランドマークです。トム・ハンクスとメグ・ライアンが共演した『めぐり逢えたら』では、シアトルとボルティモアというアメリカの両端に住む2人の約束の場所として印象的に使われました。

1931年、“世界一の高さ”を誇っていたクライスラー・ビルディングからその称号を奪おうと、着工からわずか1年という驚異のスピードで完成。地上102階建て、電波塔を含めると高さ約443メートルにもなるこのビルは、1972年にワールドトレードセンターのノースタワーが建てられるまでの42年間、「世界一高いビル」の座に君臨していました。摩天楼での人気を二分するクライスラー・ビルディングと同じく、アールデコのデザインが施されていますが、クライスラーの優美なデザインと比べ、こちらはどっしりとした風格が漂います。また、ビル全景が描かれた壁面や、惑星や星が歯車で表現された天井画があるロビーは、ニューヨーク市歴史的建造物保存委員会から「歴史的建造物」に指定されています。

ここを訪れる観光客の一番のお目当てはニューヨークの町を一望できる、86階と102階の展望フロア。本作のモチーフとなったケイリー・グラントとデボラ・カー共演の名作『めぐり逢い』では、86階の展望台が再会を誓う場所として描かれましたが、『めぐり逢えたら』でもアニーはライトアップされたこのビルを目指して走ります。毎回異なる色でライトアップされているエンパイア・ステート・ビルですが、本作では特別な演出で物語を一層盛り上げています。どのような演出かは、ぜひ作品を見てお確かめください。

恋はクリスマス・イヴに始まり、愛はバレンタイン・デーに訪れる。

■Introduction

トム・ハンクスとメグ・ライアンが主演を務め、大ヒットを記録した1993年製作のラブ・ロマンス映画。監督を務めたのは『ユー・ガット・メール』などを手掛けたノーラ・エフロン。ケーリー・グラントとデボラ・カー主演による1957年の名作映画『めぐり逢い』からヒントを得ており、重要なシーンやテーマ曲などが引用されている。

■Story

最愛の妻を失って以来、夜も眠れないほどの悲しみに沈むサム(トム・ハンクス)は、息子のジョナ(ロス・マリンジャー)と共に寂しいクリスマス・イヴを迎えようとしていた。そんな父を気遣うジョナはラジオの人生相談に電話し、「パパに新しい奥さんを」とリクエストする。息子に続いて渋々、電話口に出たサムはやるせない胸の内を告白。その放送を遠く離れたボルチモアで聞いていたアニー(メグ・ライアン)は、サムの告白に思わず涙を流してしまう。結婚を間近に控えたアニーだが、まるで運命の“マジック”に操られるかのように、見ず知らずのサムに引かれていく―。

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駆込み女と駆出し男
  • 駆込み女と駆出し男
  • 『駆込み女と駆出し男』
  • ■発売日:発売中
  • ■発売・販売元:バンダイビジュアル
  • ■価格:¥3,800+税
  • 監督:原田眞人
  • 出演:大泉 洋 戸田恵梨香 満島ひかり
    樹木希林 堤 真一 山ア 努
    内山理名 陽月 華 キムラ緑子
    木場勝己 神野三鈴 武田真治
    北村有起哉 橋本じゅん 山ア 一
    麿 赤兒 中村嘉葎雄 他
 

(C) 2015「駆込み女と駆出し男」製作委員会

江戸時代の離婚事情を描いた人情劇

作家の故井上ひさし氏が10年の歳月をかけてつづった時代小説「東慶寺花だより」を原案に、『わが母の記』などの原田眞人監督が映画化した人情ドラマ。3組に1組が離婚しているという現代ですが、一説によると江戸時代の離婚率は現代の約2倍にも及んだとか。とはいえ、夫側の申し出による離縁しかなかなか認められなかったこの時代に、女性側から離縁するのはとても大変だったようで、幕府公認の縁切り寺へ駆け込むことが思いを遂げる唯一の手段でした。しかし縁切り寺も、駆け込めばすぐに入れるわけではなく、離縁調停人による夫との示談交渉、決裂した場合は2年間寺入りをし、晴れて離縁できるというシステム。本作では縁切り寺・東慶寺に駆け込んだ、3人の“駆込み女”たちの人生模様が、美しい映像と共にテンポよく紡がれます。

豪商の愛人お吟(満島ひかり)、鉄練り職人のじょご(戸田恵梨香)、武士の娘ゆう(内山理名)。それぞれ境遇も、離縁を願う理由も違えど、東慶寺での修練を通して本来の自分を取り戻していく女性たち。まばゆいほどに美しくなっていく彼女たちの姿はこの映画一番の見どころです。そんな3人を温かく見守るのが“駆出し男”こと戯作者志望で医者見習いの信次郎(大泉洋)。お調子者でどこか憎めない彼は、狂言回しの役どころで物語をぐいぐいと引っ張ります。口八丁手八丁、「立て板に水」のごとくうそ八百を並べ立て、女性を取り返しにきたやくざの親分をも丸め込む姿は、まさに彼の真骨頂! 落語に似た心地よいせりふ回しととぼけた演技に終始、笑わせられます。この時代、女性たちは夫に忍従しているイメージがありますが、意外にも働き手としての地位があり離縁後も生活には困らなかったとか。本作からはそんな江戸時代の女性たちのりんとした強さと粋な思いが伝わってくるでしょう。

泣いたあとには、笑いましょうよ。
■Introduction

井上ひさしが10年をかけて紡いだ時代小説「東慶寺花だより」を原案に、『クライマーズ・ハイ』『わが母の記』の原田眞人監督が初めて手掛けた人情時代劇。幕府公認の駆け込み寺に離縁を求めてやってくる女たちの、新たな人生の出発を手助けする信次郎役を大泉洋が演じる。駆け込み女を演じるのは戸田恵梨香、満島ひかり。その他、樹木希林、堤真一、山崎努らベテラン俳優陣が脇を固める。

■Story

質素倹約令が発令され、庶民の暮らしに暗い影が差し始めた江戸時代後期。鎌倉には離縁を求める女たちが駆け込む幕府公認の縁切り寺・東慶寺があった。ただし、駆け込めばすぐに入れるというわけではない。門前で意思表示をした後、まずは御用宿で聞き取り調査が行われるのだ。戯作者に憧れる見習い医者の信次郎(大泉洋)は、そんな救いを求める女たちの身柄を預かる柏屋に居候することに。柏屋の主人・源兵衛(樹木希林)と共に離婚調停人よろしく、口八丁手八丁、奇抜なアイデアと戦術で男と女のもつれた糸を解き放ち、訳あり女たちの人生再出発を手助けしていく。そこへある日、二人の女(戸田恵梨香・満島ひかり)が駆け込んでくる―。

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