合格発表分析

令和4年12月26日(月)に、令和4年度 一級建築士 設計製図の試験の合格発表がありました。概要は下記の通りです。

実受験者数 10,509人(前年 10,499人、対前年 10人増)
合格者数 3,473人(前年 3,765人、対前年 292人減)
合格率 33.0%(前年 35.9%)
採点結果の区分等

〇採点結果については、ランクI、II、III、IVの4段階区分とする。
〇採点結果における「ランクI」を合格とする。

ランクI (33.0%):「知識及び技能」※を有するもの
ランクII (6.1%):「知識及び技能」が不足しているもの
ランクIII (32.4%):「知識及び技能」が著しく不足しているもの
ランクIV (28.5%):設計条件及び要求図書に対する重大な不適合に該当するもの

※「知識及び技能」とは、一級建築士として備えるべき「建築物の設計に必要な基本的かつ総括的な知識及び技能」をいう。

総評

令和4年12月26日に、令和4年度1級建築士設計製図試験の合格発表がありました。 令和4年度試験の実受験者数は10,509人、合格者数は3,473人となり、合格率は33.0%でした。

試験年度 ランクI ランクII ランクIII ランクIV
H30 41.4% 16.3% 16.5% 25.9%
R01
10月13日実施(※)
36.6% 3.0% 29.2% 31.3%
R01
12月8日実施(※)
34.2% 5.3% 31.9% 28.6%
R02 34.4% 5.6% 24.3% 35.7%
R03 35.9% 6.3% 26.9% 30.9%
R04 33.0% 6.1% 32.4% 28.5%

※ 令和元年度試験(10/13実施試験と12/8実施試験の合算)のランクⅠ(合格率)は35.2%

採点結果の区分については、ランクⅠ:33.0%、ランクⅡ:6.1%、ランクⅢ:32.4%、ランクⅣ:28.5%となり、合格率(ランクⅠ)については、平成21年度の新試験以降、最も低い結果となりました。

また、合格者以外のほとんどが「ランクⅢ:知識技能が著しく不足している」以下という明暗のはっきり分かれた評価からは、建築士に求める知識・技能の水準(合格基準)がより厳格なものとなってきていることが伺えます。

『受験者の答案の解答状況』に見る今回の試験の特徴

令和4年度の試験において、「ランクⅢ」「ランクⅣ」の該当要件として、以下のような内容が発表されました。

・設計条件に関する基礎的な不適合:「要求している主要な室等の床面積の不適合」、「階段の不成立」、「地盤条件や経済性を踏まえた基礎の構造不適格」
・法令への重大な不適合:「道路高さ制限」、「避難経路」等

試験実施機関が公表している標準解答例では、『設計条件のうち今回の試験において不十分な答案が多かった「道路高さ制限」、「避難経路」等に関する一つの考え方をこの標準解答例に示しています』と記載があることからも、法知識を十分に備えた建築士を輩出していくという意図が読み取れます。

『標準解答例』に見る今回の試験の特徴

●(1)事務所ビルの構成について

「標準解答例」の構成では、片側コアタイプ7階建て、センターコアタイプ6階建てとなっており、道路高さ制限を考慮して、計画した平面検討により、階数の違いがありました。 事務所部門のシェアオフィスについては要求室数「以上」の出題に対して、最低限の室数の計画であることから、「まずは要求された内容を正しく計画にする」ことに適切に対応できたか、といった建築士としてあるべき実務レベルの力が求められたといえます。

●(2)建物の平面構成について

標準解答例①と②の構成に大きな違いはありませんでした。床面積及び階数の指定がない課題でしたが、「道路高さ制限」「貸事務室の面積」等から構成を検討する難度は高くはなかったことがわかります。アプローチについて事務所ビルが並ぶ南側の歩道付道路がメインとなっていること、また屋上庭園は東の公園側に計画されていることから、事務所ビルという用途を踏まえ、周辺環境に配慮することや、要求室等の「使われ方」「建物としての機能」など、設計として考慮すべき基本原則をいかに意識して計画ができたかがポイントであったことが読み取れます。 法令及び設計条件の遵守については、両解答例ともに十分意識されており、評価のポイントであったことが伺えます。

上記の内容は、計画の要点記述の設問でもそれぞれ問われており、出題者の意図を正しく読み取り、図面・要点記述で正しく答えることが重要であることがわかります。発表された「合格基準」を確認すると、採点のポイントと計画の要点の設問がほぼ同じとなっています。「建築計画」では、「貸事務室の収益性、可変性、快適性等に配慮した計画」、「シェアオフィスの収益性、快適性及び多様な働き方に対応可能な計画」、「省エネルギー及び二酸化炭素排出量削減に配慮した計画」、「構造計画」では「無柱空間や耐震性等に配慮した構造計画」、「設備計画」では「貸事務室の排煙計画」が挙げられています。

「20代の合格者」が 6割を突破

「年齢別」において、「20代の合格者」の割合が、平成21年度の新試験以降、初めて6割を突破しました。また、「23歳以下」の割合においても、令和3年度から1.7%増加し9.3%となり、令和2年度の建築士法改正後、最高の割合となりました。

建築士法改正により、大学、専門学校等において指定科目を収めて卒業すれば、実務要件なしに受験ができるようになりました。若いうちに受験をすることは、学習時間を確保しやすく、学生の方であれば、就職時のアピールポイントとなる等、数多くのメリットがあり、企業によっては、建築士試験に合格したうえでの入社を推奨している企業もあることからも、新卒や在学中に建築士試験を受験する方が増加してきていることが考えられます。

令和5年度試験 合格に向けて

総合資格学院では、令和5年の3/1(水) ・3/5(日)から、「1級建築士設計製図完全合格対策コース」を開講いたします。
本コースは、課題発表前【124.5時間】にランクⅠの「作図力」「計画力」を養成し、課題発表後【96時間】には、令和5年度課題に特化した学習に取り組むことで、確実な製図試験突破をめざす「学科試験免除者向け」のコースです。

また、当学院では現在、講座受講料の大幅割引を実施しており、1級建築士設計製図完全合格対策コースにおいても最大で17万円の割引(※)を実施しています。令和5年度に1級建築士の設計製図試験の合格をめざされる方は、ぜひ受講をご検討ください。

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