『健康・快適なZEHのつくり方 工務店と設計者の新常識』
「ZEH(ゼッチ)」とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、住まいの断熱性・省エネ性能を上げる、または太陽光発電などでエネルギーをつくることにより、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指した住宅のこと。ZEHの新築件数は2017年度で約4万2000件と、注文戸建住宅を中心に順調に増加しています。本書はそんなZEHについて、概要と関連諸制度、高断熱住宅設計の第一人者による具体的な設計指南など、設計に役立つ内容はもちろん、快適性や健康効果の解説など、施主のニーズを引き出す知識までまとめられた一冊です。第1章「全国の先進ZEH事例」では、写真や図面を多用し、全国のZEHから8例をピックアップ。「エネルギーの見える化で光熱費を節約」「室内に風が抜けるように格子や引戸を採用」といった細かな手法のみならず、どのような「省エネコンセプト」を持った上で建てられたのかが紹介されており、ZEHにおける“全体の考え方“を知ることができます。続く第2章「ZEHの住まいのつくり方」では健康・快適なZEHのつくり方に関する基礎知識を、第3章「健康・快適なワンランク上の住まいをつくる」では住宅産業において他社と差別化できるワンランク上の設計手法が、一流執筆陣によって分かりやすくまとめられています。政府は「2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」と目標を設定しています。今後、必ず広がるZEHについて基礎から勉強したい人は、まず読んでおきたい一冊です。

- ■発行元:学芸出版社
- ■著者:荒川 源 今泉太爾 小山貴史 金田真聡 小林直昌 高橋 彰 晝場貴之 松尾和也
- ■参考サイト:学芸出版社のウェブサイト
- ■価格:¥2,800+税
『エコハウス現場写真帖』
エコハウスや高断熱住宅について書かれた本はたくさん存在しますが、その多くが“仕組み・設計”を中心にしたもので、“施工・工事”について詳しく説明した本はありませんでした。しかしどれだけよい設計をしても、正しく施工されなければ、十分な効果は発揮できません。そこでエコハウス・高断熱住宅を長年施工してきた著者が、実際の現場での施工写真や詳細な図面、イラストと共に、造り方の極意を解説したのが本書です。本書のポイントとなるのはやはり、“写真帖”とタイトルにある通り、膨大な数の現場写真。写真や解説が各工事の作業順に並んでいるため、数字の順番に見ていくと、エコハウスの工事を追体験できる内容になっています。「基礎」や「土台敷き」、「窓・玄関」、「外壁」と、エコハウスの重要なポイントを章ごとに詳しく紹介する構成で、見やすさも、理解のしやすさも申し分なし。また巻末には「充填断熱」、「桁上断熱」、「シート気密」など、エコハウスならではの専門用語を分かりやすく解説した「エコハウス現場用語辞典」を収録。この現場用語辞典を参照することで、1章から7章までをより深く理解することができます。エコハウス施工のノウハウを大公開したぜいたくな内容は、これからエコハウスや高断熱住宅を建てたい人や、より施工精度を高めた家造りをしたい人におすすめです。