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今月のオススメの一冊

空き住宅

『空き家・空きビルの福祉転用:地域資源のコンバージョン』

空き家・空きビルの福祉転用:地域資源のコンバージョン 近年大きな問題になりつつある空き家や空きビルの増加。本書はそれらを福祉施設として有効活用している実例をまとめています。既存建物を再活用する最大の利点は、“環境への馴染みやすさ”です。住居であった建物を活用することで、利用者は自分の生活をそのまま持ち込むことができるのです。福祉施設として利用する場合には改修を行う必要がありますが、元々あるもの活かしていければ大きな改修は必要ありません。例えば一軒家を高齢者のデイサービス施設として転用した場合、介護者の見通しを考えて部屋を隔てていた襖を外しましたが、あえて一部を残すことで人目に触れない静養スペースを確保しました。また、介護に不向きな住宅のバリアをあえて残すことで自助力を発揮できるような施設もあります。従来の制度上では解決すべき課題も残ってはいますが、同時に新たな可能性も示してくれています。

『空き家・空きビルの福祉転用:地域資源のコンバージョン』 空き家・空きビルの福祉転用:地域資源のコンバージョン

『空き家急増の真実―放置・倒壊・限界マンション化を防げ―』

空き家急増の真実―放置・倒壊・限界マンション化を防げ―現在、日本では人口減少が始まり世帯数がだんだんと減少してきています。2050年には日本の総人口が1億人を切るという予測も出ており大きな問題となっています。それに伴い、地方や郊外では空き住宅が急増しており、治安への悪影響が心配されています。本書は実際の統計的なデータを元に空き住宅の現状を取り上げ、この問題に取り組む自治体や欧米などの取り組みとその成功例を見ながら、今後日本はどういう施策を進めるべきかを説いています。この問題を解決するためには、新築抑制と中古住宅活用を同時に進めていく必要ありますが、根本的な解決には現在の新築を促進するような政策を改め、中古住宅の活用や賃貸住宅への居住が促進されるような体制を作り直す必要があると述べています。今後建築士を目指す人間にとっては避けて通れない空き住宅の問題を根本から知ることの出来る一冊です。

『空き家急増の真実―放置・倒壊・限界マンション化を防げ―』 空き家急増の真実―放置・倒壊・限界マンション化を防げ―

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