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今月のオススメの一冊

農家・農場と地域

『食と農のコミュニティ論 地域活性化の戦略』

食と農のコミュニティ論 地域活性化の戦略 グローバル化で幾多の難問を抱える日本の農業。そんな厳しい環境下で消費者と生産者の距離を縮小し、一体化したことで活性化された地域が注目を集めています。例えば、豊かな森を持つ陸地の環境保護と生態系をベースに考えられた、地域の自治、「自然生態系農業」(有機農業)と森林環境保護、循環システム、グリーンツーリズムの特徴が一式備わった町づくりを行う宮崎県綾町。また、農村コミュニティの衰退という問題に対し、主産物である「柿」を軸に異なる業を持つ農・商・工を結びつけ、地域の活性化、地域経済の衰退を阻止する奈良県の取り組みなど、本書にまとめられた多くの事例により、各所に存在する“コミュニティ”が問題解決の鍵であることを教えてくれます。建築家にとっても考慮しなければならない地域問題。本書に詰まったたくさんのヒントを得ることは、地域デザインとその活動の中における建築の在り方も同時に教えてくれるのではないでしょうか。

『食と農のコミュニティ論 地域活性化の戦略』 食と農のコミュニティ論 地域活性化の戦略

『垂直農場 明日の都市・環境・食料』

垂直農場 明日の都市・環境・食料2010年の国連の発表では、世界人口は2050年までに90億人を突破すると予測されています。地球温暖化に加え、世界人口の急増もまた解決しなければならない問題のひとつです。特に人口急増により引き起こされる食糧不足は深刻です。ある資料では2050年に食糧需要は2倍に増えると見積もっています。そんな難題を解決するため、コロンビア大学教授ディクソン・デポミエ氏が提唱したのが“垂直農場”というもの。これまで森を切り開き作ってきた農場を都市ビルに作ってしまおうというものです。この方法は人口増加による食料不足にも対応できるほか、生産・流通・消費サイクルの向上、動物・自然生態系への影響の減少など様々な利点を持っています。2012年にシンガポールのスカイグリーンズ社により商用垂直農場が設立され、今後ますます多くの行政が興味を持つであろうこの施策を現実のものとするには、“農場”をデザインする建築家が大きな役割を果たすこととなるでしょう。

『垂直農場 明日の都市・環境・食料』 Ahaus NO.8
  • ■発行:NTT出版
  • ■著者:ディクソン・デポミエ
  • ■翻訳:依田卓巳
  • ■価格:¥2,730(税込)
  • ■参考サイト:NTT出版のウェブサイト


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