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今月のオススメの一冊

建築とソーシャル

『リアル・アノニマスデザイン ネットワーク時代の建築・デザイン・メディア』

リアル・アノニマスデザイン ネットワーク時代の建築・デザイン・メディア 本書はプロダクトデザイン、建築都市、メディアのデザイナー、クリエイター、批評家が「アノニマスデザイン」を起点にそれぞれの活動を論じ、その現代的な可能性を問うという試みから生まれたものです。「アノニマスデザイン」は、プロダクトデザイナーの柳宗理氏が提示した考えで、芸術性と実用性の両方を同時に成し遂げたデザインを指しています。それを起点に考えたとき、建築家やデザイナーが“つくるべき”物とは一体どんな物なのでしょうか。また、物と情報に溢れ、誰もがネットで自由に表現できる現在では、その意味に変化が生じているのではないでしょうか。本書で、著者・編者を務めた建築家の藤村龍至氏は「アノニマスデザイン」の今日的な姿を、ソーシャルな人々のネットワークからニーズを抽出する仕組みなのではないか、と考察しています。建築家として、今後のソーシャルなものとどのように関わりあっていくべきかを様々な視点から教えてくれる一冊です。

『リアル・アノニマスデザイン ネットワーク時代の建築・デザイン・メディア』 リアル・アノニマスデザイン ネットワーク時代の建築・デザイン・メディア

『ソーシャルデザイン・アトラス 社会が輝くプロジェクトとヒント』

ソーシャルデザイン・アトラス 社会が輝くプロジェクトとヒントタイトルにもなっている「ソーシャルデザイン」について、本書では各地域が抱えている課題を解決するための力を持ったデザイン、と解釈する事ができます。現在、世界中の各地域で行なわれている、災害復興、生活支援、環境保護といった活動を、デザインの力で支えている事例を多数収録し、建てながら学ぶ、想像力を拡げる、誇りを取り戻す、たしかな暮らしのために、という4つの目的別に編集されたプロジェクトを、豊富な写真を交えて紹介しています。芸術性の高いデザインの紹介というだけではなく、社会背景についても端的にまとめられており、まるで空腹の人に魚の獲り方を教えるような、そんな思考の元に書かれた一冊です。プロジェクトのポイントは、いずれも外部の人間が何かを実行するのではなく、地域の人々が中心となって推進していくことです。本書に掲載のアイデアを学ぶことにより、デザインの持つ力をより一層高めることができるのではないでしょうか。

『ソーシャルデザイン・アトラス 社会が輝くプロジェクトとヒント』ソーシャルデザイン・アトラス 社会が輝くプロジェクトとヒント

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