『実証・仮設住宅 東日本大震災の現場から』
1923年に起こった関東大震災の教訓を忘れないために制定された防災の日。2年前に起こった東日本大震災の教訓を、今一度振り返ってみるよい機会ではないでしょうか。当時、避難者の数は最大で45万人を超え、混乱の中、仮設住宅の建設が手探りで進められていました。本書では、岩手県県土整備部建築住宅課総括課長として陣頭指揮にあたっていた著書が東日本大震災における仮設住宅の建設状況を振り返りながら、大規模な災害時における課題と今後のあり方を語っています。仮設住宅の完成は、震災の5か月後に岩手県、年内に宮城県、福島県の建設が一段落してほとんどの避難所が閉鎖されましたが、その間、資材の不足、仮設住宅の建設場所となる用地の不足など様々な壁にぶつかっていました。また、建設後も仮設住宅の不具合に関する被災者の声にも心を砕いていました。完成後に行った対策も詳しく記載されており、仮設住宅の建設の貴重な資料となりえる一冊です。
- ■発行:学芸出版社
- ■著者:大水敏弘
- ■参考サイト:学芸出版社のウェブサイト
- ■価格:¥2,625(税込)
『NA選書シリーズ 天井大全』
東日本大震災の際、多くの施設において天井材の落下が続出したことをご存じでしょうか。特に公立小中学校施設における天井材の落下は多く報告されています。文部科学省が平成 23 年6月に報告した文書によれば、非構造部材の被害件数は天井材1,636件、照明器具410件、外装材963件にものぼり、天井材の落下による負傷などの人的被害や、学校施設が応急避難場所として使用できないという事態が発生していました。震源地に近い場所だけではなく、東京などでも同様の事故が起こっています。本書は、そんな東日本大震災で起こった天井被害を克明に伝えるとともに、2013年5月に告示、2014年4月から施行される「安全上重要である天井および天井の構造耐力上安全な構造方法を定める件」等の天井設計の新基準についても解説しています。また、天井の新しい造形やデザイン、空調や温熱に配慮した天井の環境設計などにも触れており、天井に特化した、天井設計の決定版となっています。
- ■発行:日経BP社
- ■編集:日経アーキテクチュア
- ■参考サイト:日経BP社のウェブサイト
- ■価格:¥3,990(税込)