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今月のオススメの一冊

イルミネーション・照明デザイン

『LOVE THE LIGHT, LOVE THE LIFE 時空を超える光を創る』

LOVE THE LIGHT, LOVE THE LIFE 時空を超える光を創る まだ日本に“ライトアップ”という概念がなかった時代から現在に至るまで、第一線で活躍し続けてきた日本を代表する照明デザイナー、石井幹子氏の自伝的意味合いも持つ本書。東京芸術大学美術学部を卒業後に単身フィンランド・ドイツへ渡って学び、日本のライトアップデザインの先駆者となった著者は、東京タワーやレインボーブリッジ、白川郷など、国内の有名スポットのみならず、上海、パリ、ブダペスト、ローマ、ベルリンなど海外でも数多くのライトアップ作品を手掛けてきました。近年、節電やエコという言葉が日常化してきましたが、明かりの省エネの推進にも取り組みつつ、上手に点せばライトアップは決して無駄遣いではないと著者は語ります。人びとの心を温かく癒すと同時に人を集める経済効果もあり、街興しに役立った事例が数多くあるのです。ライトアップが本当はどういうものなのか、プロジェクトがどのようにできていくのか。そんな著者の照明への考え方がギュッと詰まった一冊です。

『LOVE THE LIGHT, LOVE THE LIFE 時空を超える光を創る』 LOVE THE LIGHT, LOVE THE LIFE 時空を超える光を創る

『行為から解く照明デザイン』

行為から解く照明デザイン人の行為をひもといてみると、その空間で求められる光の性能が見えてきます。それを成すための照明設計の考え方や手法について書かれているのが本書です。例えば、「座る」という行為に着目してみると、人間は椅子に座る時、まず座る場所を認識し、次に座る場所の形状を確認してから椅子に座ります。ですから、座る場所を人に教える、座る場所の形状を人に認識させるという2つの基本的な役割を持つ照明設計が必要になります。さいたま新都心の歩行者デッキを例としてみると、屋外に座面の明るい椅子が設置されています。座面を照明とする椅子は2つの役割を果たすとともに、座面の状態を把握しやすくさせる役割もあります。また、ホテルのロビーなどは空間性も求められます。そこで空間の境界が見えるように光を設置すると、エリアが認識しやすくなり、エリア内の人が安心してくつろぐことができるのです。このように行為や空間の特性に応じて必要な光を求めていくと、その解答が多様だという事に気付かされます。

『行為から解く照明デザイン』行為から解く照明デザイン
  • ■発行:彰国社
  • ■編著:角舘政英、若山香保、ぼんぼり光環境計画
  • ■参考サイト:彰国社のウェブサイト
  • ■価格:¥2,520(税込)


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