『ヘヴンリーハウス――20世紀名作住宅をめぐる旅
イームズ・ハウス/チャールズ&レイ・イームズ』
20世紀の世界的傑作住宅と建築家を厳選し、案内していく「ヘヴンリーハウス――20世紀名作住宅をめぐる旅」シリーズの第2巻は、建築家チャールズ・イームズとその妻レイが暮らした自邸「イームズ・ハウス」をピックアップ。撮りおろしの写真、お蔵出しの図面資料とともに、建築家である筆者が、「ロサンゼルスの海を見下ろす高台という敷地を選びながら、なぜ樹木と崖に挟まれた場所にイームズ・ハウスを建てたのか?」という疑問を発端に、「イームズがこの家で何をしたかったのか」を推理していく内容となっています。そのなかで筆者は、「イームズ・ハウスを、世界を映し取るための装置として捉えることができる」と述べています。その分析から、映像作家としても活動していたイームズの映像作品との関係性も、図らずとも見えてくることになるのです。家具デザイナーとしても有名なイームズですが、本書ではそこには一切触れず、建築家としてのイームズをしっかりと体験する事ができるような充実の一冊になっています。
イームズ・ハウス/チャールズ&レイ・イームズ』

- ■発行:東京書籍
- ■著者:岸 和郎
- ■編者:五十嵐太郎、後藤 武
- ■参考サイト:東京書籍のウェブサイト
- ■価格:¥2,400(税抜)+税
『もう一つの名作住宅 ハンドクラフテッド・モダン』
“イームズチェア”に代表されるように家具デザイナーとしても著名なイームズですが、自身が暮らしていた「イームズ・ハウス」に置かれているインテリアに注目した写真はそれほど多くありません。本書では、あまり着目されてこなかったイームズ夫妻が収集した家具、書籍、オブジェを写真で見ながら、夫妻がくつろいだであろうプライベートな空間の魅力を余すところなく伝えています。イームズ・ハウスのインテリアで印象的なのは、民芸、郷土芸術、テキスタイルが自由な感覚で組み合わされており、それらはバラバラでありながら、見事な調和を生み出しているところです。無数のラグ、ブランケット、ピローのさまざまな色彩やパターンがこの家には溢れています。また、2階部分の寝室部分の貴重な写真も掲載されており、その暮らしぶりがうかがえます。本書にはイームズ夫妻のほか、ミッド・センチュリー・モダンに活躍したデザイナーたちの自宅写真がたっぷりと詰まっており、デザイナーたちのポートレートのような一冊となっています。

- ■発行:エクスナレッジ
- ■著者:レスリー・ウィリアムソン
- ■翻訳:和田侑子
- ■参考サイト:エクスナレッジのウェブサイト
- ■価格:¥3,800(税抜)+税