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今月のオススメの一冊

ユニバーサルデザイン

『建築・都市のユニバーサルデザイン その考え方と実践手法』

建築・都市のユニバーサルデザイン その考え方と実践手法 ユニバーサルデザインとは、文化、言語、国籍、年齢、性別、障害、能力の差異を問わずに利用することが可能なデザインのこと。ユニバーサルデザインの考え方や取り組みは多用に存在しており、絶対的な原則というのは存在しません。そんな中でユニバーサルデザインを実現していくために、本書ではいくつかのキーワードを提示しています。例えば、ユニバーサルデザイン実現への5つの鍵(安全性、使いやすさ、心地よさ、わかりやすさ、美しさ)、人間の身体機能の属性、デザインを行う上でのプロセス、関係者や利用者が参加しやすい仕組み、専門家・関係者との協働、情報の共有、デザインの評価などを挙げています。また、ユニバーサルデザインの参考例の章では、前述の5つの鍵に照らし合わせた説明がなされています。ユニバーサルデザインの基本的な考え方を学び、事例と参考図を見ながらその理解を深めることができる本書は、設計者や研究者、行政関係者はもとより、この分野を学ぼうとする人たちへの基礎的専門書として活躍します。

『建築・都市のユニバーサルデザイン その考え方と実践手法』 建築・都市のユニバーサルデザイン その考え方と実践手法

『井上眼科病院の実践から学ぶユニバーサルデザイン』

井上眼科病院の実践から学ぶユニバーサルデザイン本書は1日1000人の外来患者が訪れる「井上眼科病院」が、2006年に開設したクリニックに実践したユニバーサルデザインを紹介しています。同病院は患者数の増加により、空間の広さ、デザイン、利便性、安全性に問題を抱えており、新たなクリニックを開設する際、「見えづらさ」に配慮したインテリア・空間になるよう工夫がなされたといいます。例えば、目の見えづらい人は照明器具の並びを見て空間の方向を確認することがあるため、通路部分の天井を低くしてライン状の照明器具を設置し、そこが通路であることを分かりやすくしています。さらに、部屋の中にはセンサーを設置しており、どんな時でも室内の明るさが一定になるよう、照明器具の明るさが調整されています。また床の通路部分にはタイルが埋め込まれており、足の裏の感触や杖を突いた時の音で通路が分かるようになっています。矢印のような白い模様も順路を分かりやすくするための工夫です。本書は病院の実践例を紹介していますが、誰にとっても快適で便利な空間づくりのコツがたくさん詰まった一冊です。

『井上眼科病院の実践から学ぶユニバーサルデザイン』井上眼科病院の実践から学ぶユニバーサルデザイン

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