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今月のオススメの一冊

ホテル建築

『コンパクト&コンフォートホテル設計論』

『コンパクト&コンフォートホテル設計論』 ホテルといえば外国人旅行者向けのぜいたくな施設であった日本に、国内の出張旅行者をターゲットとした「第一ホテル」が誕生したのは、太平洋戦争が始まる直前の1936年のこと。“アイデアの神様”と呼ばれた旧・阪急東宝グループの創始者・小林一三が計画立案したこのホテルのコンセプトは、シングルルームを主とし、宴会場などは作らないという「宿泊部門重視」のホテルでした。そしてこのコンセプトは、高度成長期からバブル期にかけて高級志向に走りすぎたホテル業界への警句として、今の時代によみがえってきています。生き残りを懸けて利益率の低いレストランや宴会・会議施設を縮小させたシティーホテルと、宿泊機能の付加価値戦略で高いコストパフォーマンスを実現させたアッパーミドルのビジネスホテル。両者の境界線が薄くなりつつある昨今、「ビジネスホテル」に変わる新しい呼称を思案していた著者と編集部によって生み出された言葉が「コンパクト&コンフォートホテル」なのです。本書には3人のホテルデザイナーによる“つくってみたい客室”についての座談会や、知られていない法令・条例事情など、業界内外の人が読んで楽しめる内容が収録されています。

『コンパクト&コンフォートホテル設計論』 『コンパクト&コンフォートホテル設計論』

『熱帯建築家 ジェフリー・バワの冒険』

『熱帯建築家 ジェフリー・バワの冒険』スリランカが生んだ世界的建築家ジェフリー・バワ。本書はそんな「バワ建築」を知るための初のガイドブックです。巻頭には、新国立競技場の建築を手がけることで話題の日本が誇る建築家・隈研吾が、最大の敬意を表して解説文を寄せています。隈氏によれば、ジェフリー・バワとは「建築の時代から庭の時代への転換に際して、大きな役割を果たしたキーパーソン」。そんなバワはスリランカで生まれ、“庭の国”イギリスで育ちました。そして「価値を生み出すのは建築ではなく土地」という文化を20世紀によみがえらせたのです。本書では、自然と一体化するバワ建築を実際に体感できる14のホテルを、豊富なカラー写真と共に紹介しています。海へとつながっていくプール、山に抱かれる建物…、“常識”にとらわれていては想像することさえできないような奇想天外で美しい建築の数々。写真を眺めているだけで「本物をこの目で見てみたい!」「あぁ、旅に出たい!」と心を突き動かされることでしょう。また、「バワ建築をもっと知る・楽しむ」と題し、バワ建築に使われたテキスタイルデザイナーについてや、バワゆかりのカフェについてなどのコラムも掲載されています。

『熱帯建築家 ジェフリー・バワの冒険』『熱帯建築家 ジェフリー・バワの冒険』

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