『山手線の名建築さんぽ』
本書は、山手線の全30駅を徒歩で散歩しながら、各駅の周辺建築を鑑賞するためのコンパクトなガイドブック。2駅ごとに写真と文章でわかりやすく説明されているので、山手線になじみのある方もあまり詳しくない方にも読みやすく楽しい1冊。都内に住んでいても、こんな建物があるのだと新しい発見を与えてくれます。浜松町の天童木工 東京支店ショールーム、西日暮里の旧安田楠雄邸庭園、高輪ゲートウェイの高輪消防署 二本榎出張所、鶯谷のレボン快哉湯、池袋の自由学園明日館、五反田の東京デザインセンターなど、明治から令和まで幅広い時代の建築が取り上げられており、掲載件数は100件以上。昭和レトロなビルや、洋館、大学、銭湯など建築物もさまざまで眺めるだけでその場へ行った気分になれます。写真集として楽しむも良し。スケッチ用に活用するのも良し。街歩きのお供にするのも良し。といったいろいろな楽しみ方ができるでしょう。著者は、慶応義塾大学、中央大学等でも非常勤講師を務める建築史家、博士(学術)の和田菜穂子氏。カバーを外してもかわいいイラストが書かれているのは著者のこだわり。晴れた天気の良い日にぜひ、本書を手に取って、山手線一周の旅に出掛けてみてはいかがでしょうか。普段はあまり降りない駅に降り立ってみると、きっと新しい出会いがあるはずです。
『東京の名建築ぬりえ』
一度は訪れてみたい、東京近郊のレトロな建築をぬりえで楽しめる一冊。絵が描けない人でも、見本を参考に色を塗ることでオリジナルの1枚が完成します。著者は、都市の建物などを中心にスケッチをしているイラストレーター茶木よしたか氏。温かみのあるタッチが、レトロな趣のある名建築にぴったりです。掲載されているのは、東京駅・丸の内駅舎ドーム、東京復活大聖堂(ニコライ堂)、自由学園明日館、旧原宿駅、前川國男邸、山の上ホテル、東京都庭園美術館など、洋館や教会、駅舎に美術館と、24のバラエティ豊かな建物たち。カラーページは発色の良い紙を、そして白黒のぬりえページは描きやすいよう色をのせやすい紙を採用している上、開きのよい製本とすることで、ストレスなくぬりえを楽しめます。各建築のぬりえページには、特徴や見どころ、手掛けた建築家など簡単な解説を掲載。ぬりえを楽しみながらも、「国の重要文化財に指定されている」「レトロでかわいらしいが館は街のシンボルとなっている」といった基本情報を知ることができます。西イングランド大学の研究チームが行った調査によると、ぬりえには読書よりも不安を軽減し、マインドフルネスを向上させる効果が見られたそう。ぬりえをしながら憧れの名建築巡りができる本書なら、なおのこと心を癒やしてくれそうです。